きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

シン・仮面ライダー

1971年放送開始の特撮テレビドラマ「仮面ライダー」を、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「シン・ゴジラ」の庵野秀明が監督・脚本を手がけて新たに映画化。
主人公・本郷猛/仮面ライダー役に「宮本から君へ」の池松壮亮、ヒロイン・緑川ルリ子役に「賭ケグルイ」シリーズの浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー第2号役に「ハケンアニメ!」の柄本佑を迎え、新たなオリジナル作品として描き出す。
ルリ子の兄・緑川イチロー森山未來、父・緑川弘博士を塚本晋也、秘密結社SHOCKERの上級構成員・ハチオーグを西野七瀬、同じくSHOCKER上級構成員のコウモリオーグを手塚とおるがそれぞれ演じる。テレビアニメ「ヨルムンガンド」「天元突破グレンラガン」などで知られる作曲家・岩崎琢が音楽を担当。(映画・comより)

ハイ、やって来ましたお馴染み庵野秀明特撮シリーズ『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』に続いての『シン・仮面ライダー』です。

待望の作品。ゴジラウルトラマンと続いて果たして仮面ライダーはどの様な仕上がりになっているのか公開前から楽しみにしていた私。公開週明けての3月20日MOVIX日吉津で早速見て参りました。

さて、早速ですが、これまでの特撮シリーズとの大きな違いがあります。それはアクションのスピードで感です。

ゴジラウルトラマンはいずれも巨大不明生命体と対峙してきました。故に戦闘場面であってもそこまで大きな動きがなくとも成立します。

しかし、仮面ライダーの場合は対するものは怪人です。怪しい人と書くくらいですから等身大の人間ですよね。ショッカーの戦闘員だって人間の身長で向かってくるわけですから主人公の本郷猛/仮面ライダーと同じ目線のバトルになる。そしてそのシーンで要求されるのがアクロバティックな動きを伴うアクションです。風を切る音が聞こえそうなくらいの軽やかな動きが求められるし、映像的には如何に派手な映像を見せる事が出来るのかそれが非常に試されるわけですね。

そこに関しては早速冒頭で豪快なカーチェイスシーンが用意されており、これまでの庵野さんの特撮と一線を画す場面が良い掴みとなるんですね。バイクと大型トラックによって展開されるこのカーチェイスで一気に作品に引き込んでくれます。

次に戦闘シーン。やっぱり仮面ライダーと言えばこれがなくっちゃなんですが、ここでかなりショッキングな映像を見せられる事になります。それは結構生々しいって事です。近年の仮面ライダーに至るまで基本仮面ライダーのバトルシーンってライダーと怪人達のアクションの応酬というイメージが強いです。仮面ライダーは基本的には勧善懲悪の分かりやすいストーリーですし、何より対象は子供です。そこには悪い怪人を懲らしめる正義のヒーロー・仮面ライダーであって映像にはグロさなんて物はありません…ところが今作で見せるバトルシーンには衝撃をおぼえましたね。それはショッカーの戦闘員を倒す度に流れるおびただしい量の血。画面いっぱいに広がる真っ赤な血ですよ。マジか〜?と思わず目を疑ってしまいましたよ。白石和彌監督が撮ったのか?と思うくらいの生々しい光景。でもこれこそが大人の仮面ライダーなんですよね。僕はこれで一気に作品へのボルテージが高まっていきましたね。これは間違いなく面白いヤツだ!…と。

また悪役の怪人達も実に魅力的。コウモリオーグにハチオーグにサソリオーグ等等。しかもこれらを人気俳優達が演技或いは声の出演等で作品を盛り上げてくれます。

40過ぎのオッサンを男の子目線に戻してくれる様なワクワク感をストーリーが進む毎に煽ってくれる。そうそう、こんな仮面ライダーを見たかったんだ!と終始テンションは上がりっぱなしでした。

また、主人公の本郷猛の心理面をフォーカスしていくのですが、彼にとってのテーマがズバリ優しさと強さの折り合いでしたね。優しいからこそ闘うだけどそれが度を越して制御出来なくなってしまった際に見せる暴力性。故に彼は強い葛藤に苛まれるのですが、この心理的葛藤がストーリーに深みを生み出していました。

また、そんな彼の姿に碇シンジをダブらせるという声もある様ですね。その流れでのヒロインのルリ子の綾波レイ感また彼女はミサトさんの役割を示す面も多分にあるのでエヴァのファンの目線はそこに向かうのもムリのない話しですね。

僕は初代で仮面ライダーを見た事がなく、また本作鑑賞に当たっての予習等も一切していないのですが、それでも十分楽しめました。

池松壮亮柄本佑浜辺美波という主要どころもさることながらキャストの面々も非常に魅力的でした。

また、驚いたのが「シン・ゴジラ」の竹野内豊、「シン・ウルトラマン」の斎藤工といった具合に過去の特撮シリーズからのサプライズキャスティングがありました。その中でも長澤まさみのサソリオーグが妖艶で魅力バツグンでしたね!怪しげ〜な英語を使いながら無慈悲に人を殺していくその様が悪女…というかダークヒロインっぽくってたまりませんでした!個人的には女性の悪役という文脈で語った場合、マーゴット・ロビーハーレイ・クインに勝るとも劣らない存在感を発揮していたなと思います。それにしても長澤まさみさん。『シン・ゴジラ』では巨大化するし、今作ではこのサソリオーグといった具合に庵野作品でのチャレンジングな試みが続いてますね〜。ただ欲を言えばこんな魅力的なキャラを出してきたんだからバトって欲しかったな〜…。

それから蜂オーグを演じた西野七瀬。彼女は彼女で『孤狼の血 LEVEL2』以降着実に女優としての幅を広げていってるなと感じます。彼女の演技は良かったし、蜂オーグのキャラクターも大変魅力的でした。

ただ、ルリ子との関係性をもっとフォーカスしていって欲しかったな〜。二人の関係は会話の流れからある程度理解は出来るし恐らく原作?71年の『仮面ライダー』を見たらわかるのかもしれないけどあまり『仮面ライダー』に詳しくない人に向けてもっと深掘りして欲しかったというのはありますね。ストーリー全体にも深みが生まれたと思うし、彼女のラストもより胸を打つものになったんじよないかなんて思います。

まぁ、ガチ勢が聞いたら「何言ってんだよ、流れで読めよ」なんて言われる事なのかもしれませんが。

さておき、これまでの庵野さんの特撮シリーズの中でもアクションが多めな分躍動感がたっぷりな作品となっていました!

個人的には楽しく鑑賞致しました。

是非劇場でご覧下さい!