きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本 劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME

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令和仮面ライダーシリーズの2作目として2020年9月から放送の「仮面ライダーセイバー」の短編劇場版。主人公の神山飛羽真/仮面ライダーセイバーをはじめ、聖剣を抜くことで変身するライダーたちの戦いを描く。聖剣に選ばれた剣士たち「ソードオブロゴス」の前に圧倒的な力をもつバハト/仮面ライダーファルシオンが現れる。封印されていたはずの破滅の本がバハトによって解放され、本からあふれた闇によって現実世界とワンダーワールドが飲み込まれていく。終焉に向かう運命を前に、飛羽真はソードオブロゴスの仲間たちとともに、バハトとの決戦に挑む。敵役となるバハト/仮面ライダーファルシオンは、「仮面ライダーアマゾンズ」の鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファ役で知られる谷口賢志。「劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」と2本立て上映。
(映画.comより)

この時期恒例の『仮面ライダー』の劇場版。
僕は二年振りの鑑賞となります。
テレビシリーズを見ない僕にとってはこの冬の劇場版を見る事によって最新の仮面ライダー事情を勉強させて頂くわけですが、今回は短編作との二本立てなんですね。
この感覚がどこか僕の子供時代の東映まんが祭り的な懐かしさを感じましたね。
僕が見に行ったのは12月21日。
子供達が冬休みに入る直前の平日でしたが、客層は皆大人。
とりわけイケメン目当ての主婦が中心かな?と思いきや、仮面ライダーと共に育ったであろう男性が中心の客層。
そんな中での鑑賞だったのでキッズ対象映画ではありながら、かなりハードルは低めのライダータイムでございました。

さて、そんな仮面ライダーの劇場版ではありますが、現在放送中の『仮面ライダーセイバー』の短編はそこそこに『仮面ライダーゼロワン』の単独映画を比較的長めに作られておりまして、そちらを中心に話しをしていきます。

俳優・伊藤英明や山崎紘奈等をゲストに迎えた本作。
この二人を中心に据えたオリジナルストーリー。
どうやらこれはTVシリーズの後日談となっている様です。
ところで以前『仮面ライダー』劇場版の比較対象として僕はMCUやDCEUのいわゆるアメコミ映画を挙げました。
勧善懲悪なヒーロー物しかしその中に見ている人へ向けたメッセージやテーマが織り込まれており、子供向けとして片付けるにはあまりにも惜しいものがあると。
奇しくもこの劇場版鑑賞の前日、『ワンダーウーマン 1984』を見ており、その感情を乗せながら映画を楽しんで参りました。 
そしてやはりこの劇場版ですが、深いテーマを感じさせてくれました。
ではそのテーマとは何か?

それはズバリ、「AI等に見られるテクノロジーと人間の向き合い方」と言ったところ。
更に詳しく言えば「進化したそれは人間に幸福をもたらすのか?」という点でしょう。
2020年はAIと人間社会への影響を取り上げた映画で『AI崩壊』という作品がありました。
人類がこの先AIに頼りっぱなしの社会を選択した時もたらされるであろう悲劇を取り上げ衝撃を与えたのは記憶に新しいところです。

仮面ライダーゼロワン』においてはこのAI、ヒューマギアをストーリー全体で展開させ、人間社会へ与える影響ひいては人間を幸せに導くのかを投げ掛けてきます。
これはどうやらTVシリーズから一貫して描かれている点との事で近年のAIがクローズアップされる時代に即した仮面ライダーシリーズとしての新基軸として見るべきかもしれません。
今回ゲストとして登場した伊藤英明演じるエスという男の行動への動機こそ恋人を思ってという人道的な物ではあるもののその後の手段から展開・帰結に至るまで徹頭徹尾テクノロジーと隣接していきます。
そして同時に旧来からある例えば新興宗教的な洗脳と集団心理の恐ろしさがヴィランであるこのエスから生み出されていくこの展開。
重ね重ねではありますが、下手なアメコミより凝った作りをしていち映画ファンとしてもかなり見ごたえを感じましたね!

更にヒーロー活劇としての面白さももちろん健在でして、SFX・VFXもふんだんに盛り込まれ、同時にSEにも趣向が凝らされており、圧倒的なアクションシーンに思わず身を乗り出したくなります。

ただ、一方では登場人物の行動理由や動機付けが弱かったり説明不足やご都合主義等が悪目立ちしてしまった感は否めません。
更に言えば無理矢理なお笑い描写はちょっと冷めてしまったかなぁ。
今回はアキラ100%が出てるんですが、お馴染みのあのネタに結びつけるくだりが作画との相性も感じられなかったし、違和感ありまくりでした。
ただ、アキラ100%さんのネタに入るまでの演技は良かったですよ!
最初アキラ100%さんとわからなかったし。
今後、俳優としての活動を軸にしても良いのではないですか?
ちょうど劇中では俳優としても活躍してる児嶋さんが良い演技をされてただけによりそう思いましたけどね。

さて、そろそろまとめに入りますが、テクノロジーについての問題提起と可能性の示唆。
新たな技術との共存は既存の価値観の変容或いは破壊を余儀なくされる事でしょう。
そしてそれは折しもコロナ禍における現在の倫理観との結び付きも感じられるテーマでもあります。
ヒーロー活劇である仮面ライダーがこういった問題提起をするなんて正直映画を見るまでは考えもしませんでした。
見た後に我々は一連の問題を見つめ直すきっかけに
なるのではないでしょうか。

伝統ある仮面ライダーシリーズの最新の技術と一流のスタッフが100%でぶつけた作品です。

是非劇場でご覧下さい。
安心して下さい、HIGHになります。