きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ホリック ×××HOLiC

創作集団「CLAMP」の大ヒットコミック「xxxHOLiC」を、「Diner ダイナー」「ヘルタースケルター」の蜷川実花監督が実写映画化。人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が見えてしまう男子高校生・四月一日君尋(ワタヌキ・キミヒロ)。その能力のせいで孤独な人生を歩んできた彼は、能力を消し去って普通の生活を送りたいと願っていた。そんなある日、一匹の蝶に導かれて不思議な“ミセ”にたどり着いた彼は、妖しく美しい女主人・壱原侑子(イチハラ・ユウコ)に出会う。侑子は四月一日のどんな願いでもかなえてくれると言い、その対価として彼の“一番大切なもの”を差し出すよう話す。侑子のもとで暮らしながらミセを手伝うことになった四月一日は、様々な悩みを抱えた人たちと出会ううちに、思わぬ大事件に巻き込まれていく。孤独な高校生・四月一日神木隆之介、ミセの女主人・侑子を柴咲コウが演じる。「センセイ君主」の吉田恵里香が脚本、「ミッドナイトスワン」の渋谷慶一郎が音楽を担当(映画.comより)

蜷川実花監督と言えば色彩美豊かな映像表現とひと癖もふた癖もある原作を選びながら蜷川実花ワールドをこれまでに展開してきました。父親譲りの独創性の高い作風はこれまでの『さくらん』、『ヘルタースケルター』、『Diner ダイナー』、『人間失格 太宰治と三人の女たち』を見てきた人であれば誰もが認める事でしょう。かくいう私もこれまでの作品は全て目を通しており、その都度インパクトを感じながら楽しく鑑賞して参りました!

そんな僕だからこそ本作の公開も楽しみにしておりました。原作は読んだ事ないですが、きっと蜷川実花の極彩色溢れる映像世界に今回も魅了されるであろうと胸高らかに5月のファーストデイにMOVIX日吉津で見て参りました。ゴールデンウィークの前半でしかも日曜日とあり、たくさんの人で賑わっていましたが、本作に関してはまぁまぁの人入り。やはりコナン君がダントツ人気というのは疑い様がないみたいです。

さて、鑑賞後しばらくはお馴染みのコッテリとした極彩色の映像を堪能。蜷川実花ワールド今回も裏切らない!とりわけ侑子の居るミセはその雰囲気が非常に映えていましたね。非常に濃い赤や紫、青等が入り混じる色彩に侑子の存在感が光ります!

その侑子を演じた柴咲コウがまた何とも妖艶で美しいんですよね!如何にも怪しいミセの中に佇む謎の美女というミステリアスさ。もちろん他の女優さんが侑子を演じても魅力的なんでしょうが、本作においては柴咲コウの新たな魅力を引き出していた様でした。

神木隆之介くんもまた特殊な能力を秘めた高校生という役ではありましたが、こういうミステリアスなシチュエーションに遭遇した役柄は見事に合いますよね。『屍人荘の殺人』もそんな感じでしたよね。ただ、いつまで高校生役やるんだ問題は個人的には気になっちゃいました。

で、前半の展開はとにかくスリリングで見応えがありましたね!望みを叶える変わりに対価を払うというミセのシステムに乗っ取り女性は願望を成就させるのですが、ある縛りを破る事によってとんでもない目に遭ってしまうという『笑ウせえるすまん』を思わせる破滅的展開で一気に作品世界へ引きずり込んでいきます。

ここまでは実に面白かったです、そうここまでは。全体で110分の尺内の前半30分くらいですね。

じゃあそれ以降はどうかというとこれが正直ね〜、しんどかったですね。

ここまでお話しした30分というのは物語の世界観を伝える為のいわば説明描写なんですよね。で、実際に引き込まれていき期待値もグングンと上がっていくんですよ。

で、ここからなんですが、神木くん演じる四月一日を巡る話しに変わっていくんですよ。これまで人と打ち解ける事が出来なかった四月一日にも仲間が出来る。ここまではいいのですが、その後に遭遇するアクシデントのシーンですね。はっきり言って地味なんですよ。詳しくは話しませんが、同じシーンの繰り返しなんですね。もちろんそれにはきちんと意味があるんですが、この下りがあまりにしつこいんですよ。一度見せればわかる内容ですが、これを何度も見せられると飽きてくるし、「この後話し進むの?」ってはがゆくなってきます。

で、ようやくこのループから脱したと思ったら吉岡里帆演じる女郎蜘蛛とのあれこれが始まるし、これこそがハイライトシーンなんですよね。

ただ、蜷川実花監督がこういうバトル物が不得手なのかどうにもアクションの撮りが弱いんですよね。『Diner ダイナー』の時は割と良かったんですけどね。ただ、女郎蜘蛛の衣装とか色気は良かった!この女郎蜘蛛に限らずだけど女性のキャラクターはかわいいキャラはとことんキュートを突き詰め、セクシーなキャラはまるで男性の嗜好を心得ているかの様にツボを刺激してくる。一方、男性のキャラクターは世の女性全てを虜にするかの如くセクシー&イケメンに撮る。これまでの蜷川実花作品でもそうでしたが、蜷川実花さんのアーティスティックな感性はやはり際立ったものがありますよね!

それだからこそ勿体ないんですよね。せっかくキャストを上手く活かしてアートな世界観を構築しているのに肝心のストーリーや展開等がそれについていけてないというのが。ずば抜けた才能のある方だからこそその辺りを磨けば更に質の高い作品を生み出せるのでは?というのが僕の感想です。

ちなみに僕の好きなキャラクターは橋本愛ちゃんが演じた座敷童です。四月一日の事を好きになるのですが、正直現世には居ない妖怪であってもこんな座敷童になら取り憑かれたいと思った僕ちゃんでした(笑)

今回はやや辛口になってしまいましたが、蜷川実花さんの作品は今後も見続けていきたいと思っています。『ヘルタースケルター』や『Diner ダイナー』の様な作品とまた巡り会いたいと心から思ってます!

カラフルな色彩とイケメンや美女を見たいという方にはオススメです!

是非ご覧下さい!