きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

モアナと伝説の海

海と特別な絆で結ばれた少女モアナが世界を救うため冒険の旅に出る姿を描いた2016年の長編ディズニーアニメ「モアナと伝説の海」を実写映画化したミュージカルアドベンチャー。
神秘的な伝説が息づく南海の楽園モトゥヌイ島。海と島の人々を誰よりも愛し、家族の誇りとして育てられた16歳の少女モアナは、祖母のタラおばあちゃんから、島に語り継がれてきた伝説の真実と自分の運命を告げられる。邪悪な闇が迫るなか、「海に選ばれし者」として使命を託されたモアナは、伝説の英雄マウイを探し出し、共に女神テ・フィティの心を返しに行くため、小さなカヌーに乗り込んで大海原へ旅立つ。
主人公モアナ役にはオーストラリア出身の新人俳優キャサリン・ラガイアが抜擢され、力強い歌声を披露する。半神半人の英雄マウイ役は、アニメ版で同役の声優を務めたドウェイン・ジョンソンが引き続き担当。名作ブロードウェイミュージカルを映像化した「ハミルトン」のトーマス・ケイル監督がメガホンをとり、実写映画ならではの臨場感あふれる映像と珠玉の音楽で描き出す。(映画.comより)

2016年の大ヒット映画「モアナと伝説の海」初の実写化!近年のディズニー作品の中でも高い人気を誇る同作で、ディズニーとしてもこの夏の肝入りの作品だったのでは?と思いますが、夏の大作ラッシュに埋もれて興行的には苦戦を強いられているとか?しかしオリジナルのアニメは過去二作共鑑賞しているワタクシ。どの様に実写で表現されているのか気になったので8月21日にMOVIX日吉津で鑑賞しました。

さて、本編レビュー前に簡単にモアナについておさらい的に触れておきます。村長(むらおさ)の娘でいわゆるディズニー・プリンセスとしては16歳という思春期の女の子なのですが、性格がアクティブで冒険が大好き。お話に恋愛要素が入らないことがひとつ特徴としてあげられます。多様性を重視する昨今のディズニーらしく、西洋の伝統的な物語ではなく、世界あちこちの神話や昔話、さらには民族学的な視点を反映したポリネシア文化、特にサモアの文化を作品に写し出し更には海や島がまるでそれ自体生き物であるかのような動きを見せる物語で、それをアニメ表現としてチャレンジングに見せていたこともまたポイントです。また、『マッドマックス 怒りのデスロード』を思わせる近年のヒット作の要素をうまくオマージュしたりと映画好きも思わずニヤリとしてしまう要素等が面白い作品でした。

また、近年頻発するディズニー・アニメの実写映画化という文脈で言えば、「白雪姫」や「リトル・マーメイド」、「ライオン・キング」、「美女と野獣」「アラジン」に「リロ&スティッチ」と枚挙にいとまがありませんが、ではなぜ、こんなに実写化をするのか。まずひとつは興行的なリスクが低い事です。完全な新作でオリジナルの話を一から宣伝することを思えば、タイトルだけでおおよその雰囲気が理解されるような実写映画化はおいしいです。日本でも多い人気漫画やアニメーションの実写化がまさにディズニーでも踏襲されているという事ですね。とりわけディズニーは現場も新作を作ってはいますが、ディズニーだから何でも当たるというわけではなくなっているのもまた事実。新作を打ってでるより既に実績のあるオリジナルで実写リメイクの方が手堅いというわけです。次に、オリジナルのアニメ版が世に出てから時間が経ち、人々の価値観は当然変化しているわけなので、古くなっているところに現代的な修正・補正を施して現代の視点で作り直すということ。たとえば、今だったら差別的に感じたり古臭く感じる笑いや演出をアップデートすることによって現代の親子やカップルも安心して観られるという事ですね。

とモアナのアニメ版の特徴と近年のディズニーの実写化の傾向についてかなりざっくりと分析しましたがそれでは、実写映画『モアナと伝説の海』はどうだったのか。はっきり言って面白かったです!CGを駆使しながらの海の映像などは夏の映画館で見てこそだと思いましたし、そもそもがオリジナル版の1作目の日本での公開は3月、2作目が12月と何故夏に公開しないんだろうとモヤってましたが、実写版で初めて夏のレジャー要素も絡めた公開スケジュールにしてくれたなと感謝すらしますし、正直オリジナルより面白いと思ったくらいです。ただ、実写化に関して時期尚早だったのではないかと思いました。というのがオリジナルがあまりに記憶に新しいんですよ。観ていて既視感ありまくりでね。新鮮味がなかったというのが率直な印象です。例えば「アラジン」でも「ライオン・キング」でも他の一連の実写化は、数十年、ものによっては半世紀以上も前のアニメがオリジナルだから、実写化の意義が強くあったんですが、10年前のものはさすがによく覚えているし、今回の実写化で刷新された要素は特に見当たらないです。だって、価値観が大きく変化したとは言えないから。確かに2010年代辺りからジェンダーや多様性等の視点で語られる事が増えコロナ禍で劇的に変化したというのはありますが、とは言え2016年ですよ。コロナ禍前とは言え、現在の価値観と大きな変化はありません。そして、「実写」と謳ってますが、ほとんどの場面でCGが使われているので、結局はアニメっぽくなっちゃうんです。アニメでドウェイン・ジョンソンが声を担当していたマウイは、魔法の釣り針を使って自在にその姿を変えることができるキャラクターですが、そんなの本当の実写でできるわけがないので、もちろん全部CGです。マウイの身体にはサモアの伝統文化であるタトゥーがたくさん入っていて、その中の人の形をしたタトゥーが、ひとりでに動き出して時にマウイにツッコミを入れるという面白い設定があるのですが、これも実写ではCGでやるしかない。しかも、CGの技術もこの10年で誰もがあっと驚くような変化があったかと言えば、そうでもないですよね。じゃあ、オリジナルのアニメで良いんじゃないかと感じてしまう観客が出てくるのはしょうがないですよね。

う〜ん、そりゃ「ちいかわ」や「スパイダーマン」に流れるのは無理もないかなと思いました。時系列的にモアナより前の「塔の上のラプンツェル」や「アナと雪の女王」だって実写化はされていないわけですから、クラシカルなディズニー作品で未だ実写化されていない作品はまだまだありますから、正直実写化に走りすぎる傾向はあまり褒められたものではないと思いますが、もし今後も実写化の予定があればまずはそちらからという方が良いのではないでしょうか?

しかし何度も言いますが、作品自体は面白かったです!『モアナと伝説の海』というオリジナル作品から離れたいち海洋アドベンチャー物としても楽しめる作品かと思います。

オススメです!是非劇場でご覧下さい!