きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

マレフィセント2

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名作ディズニーアニメ「眠れる森の美女」でオーロラ姫に永遠の眠りの呪いをかけたマレフィセントを主人公に、アンジェリーナ・ジョリー主演で実写化した「マレフィセント」の続編。前作に続き、マレフィセントをジョリー、オーロラ姫をエル・ファニングが演じる。マレフィセントがオーロラ姫との間に、恋愛でも血の繋がりでもない“真実の愛”を見つけてから数年後。オーロラ姫とフィリップ王子は、めでたく結婚することに。しかし婚礼の日、フィリップ王子の母イングリス王妃が仕かけた罠によってマレフィセントとオーロラ姫の絆は引き裂かれ、究極の愛が試されることになる。イングリス役に「アントマン&ワスプ」のミシェル・ファイファー。「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のヨアヒム・ローニングが監督を務める。
(映画.comより)

それにしても今年のディズニーはかなりハイペースで新作を公開してますね~、11月には『アナ雪2』も控えてますしね。
更に去年の『ヴェノム』といい、大ヒット中の『ジョーカー』といいこのところ悪役=ヴィランに焦点を当てた作品というのも多いですね。
確かに魅力的な悪役というのは時に主人公を食ってしまう様な人気があったりするわけで、今後もこのパターンは増えていきそうな気がします。
でも思えば2014年の『マレフィセント』がその起点になったのではないかな。
この『マレフィセント』。
『眠れる森の美女』のヴィランであるマレフィセントそのものをフォーカスしたファンタジーであり、この年社会現象となっていた同じ『アナ雪』の連続1位をストップさせたのも当時は話題となり、興行収入は65億円の大ヒットとなりました。
そして今回5年振りに公開となったのがこの続編です。

前作ではオーロラ姫に呪いをかけたマレフィセントの真相に迫る様な内容でした。
決して邪なものではなく、純粋な母の愛がマレフィセントを駆り立てたその辺りが描かれていたわけです。
特に日本だと意外と知らない『眠れる森の美女』の世界を非常にわかりやすく描いており、何と言ってもアンジェリーナ・ジョリー妖しくも美しい存在が作品の世界観を作り上げていました。
非常に面白かったし、アンジーマレフィセントに萌える要素もありました。

ただ、前作で既に完成されていたものに続編を作るのは如何なものかというのは感じていました。
一作目で出来上がったものに続編を製作し、残念な結果になるのはよくある事です。
同じディズニーのファンタジーものの『アリス・イン・ワンダーランド』なんかはその典型ですよね。
2010年の3Dブームに乗っかり興収100億以上叩き出した一作目から大きく興収を落としたティム・バートンがその後苦戦しているのは映画ファンならよく知るところです。(個人的には『ミス・ペレグリン』も『ダンボ』も好きなんだけどね。)

で、この『マレフィセント』もかなり興行的にはかなり苦戦を強いられてる様でしてまさかの三週目の『ジョーカー』に破れるという状況。
公開前の期待値も低かったのがそのまま反映されてしまってるみたいですね。ちなみに僕は「10月の注目はマレフィセント2です!」なんて臆面もなく話しましたが(笑)

で、実際見たのですが、やはりと言うべきか気持ちが乗らなかったというのが正直な感想。
そのまま残念なポイントを羅列していきたいところですが、その前に割と好意的に見れた点は素直に挙げておきましょう。
この『マレフィセント』でのアンジェリーナ・ジョリーはやはり美しいし、存在そのものにカリスマ性がある。
魔女としての佇まいを前作に続いて醸し出していたのはさすがでした。
オーロラ姫を演じたエル・ファニングも前作からの続投。
5年経ちより大人になった彼女もまた魅力的ですよ。
それからさすがはディズニー帝国の本領発揮。
マレフィセントが繰り出す魔術のCGであったり戦闘シーンなんかはかなり作り込まれているのがよくわかります。
でも、言い換えればそれくらいしか良さが見当たらないという事。
まず、全体的にどこを取っても既視感ありありで『マレフィセント』だからこその面白さがうまく引き出せていないんですよ。
敵キャラの意外性もないし、「あ、こいつ怪しいな」ていうのが早い段階でわかるんですよ。
後、本来魔女であり悪役のハズのマレフィセントがいい人に映りすぎだったり。
でもその辺りは何を伝えたいのかわかるんですよ。
マレフィセントとこの作品で敵キャラとして描かれるある人物。
大衆はどちらを信じるかと言えば後者の方なんですよね。
この人物の肩書きや地位、立ち居振舞い等単純な視覚で、という事。
そしてそこから何を伝えたいのかと言えば見た目のイメージだけにとらわれていませんか?というメッセージなんですよね。
確かにそれを伝えるのにはマレフィセントの存在は絶妙な比較対象としては機能する。
でもその割には敵キャラの思惑がぼんやりしてるし、何よりスマートではない。
もっと工夫できたハズなんだけど、これまでのディズニーファンタジーのやり方をコピーしただけにおわってしまってるんですよね。
後は脚本の面でも悪目立ちしてしまってる感があり、深みを感じないんですよね。
あかん、こりゃ『アリス』の轍を踏んでるわ~と早い段階でネガティブな視点に変わってしまったんですよね。

正直今年公開された映画の中でも、残念な部類に入ってしまいましたね。
キャストの演技、映像面での技術、明確なメッセージ性等ありましたが、ここにもうひと工夫あればといった感じです。

少々辛口にはなりましたが、一作目が好きだったからこそというのもあるんですよ。
あくまで僕にとっては物足りなかったですが、皆さんの視点ではまた違うかもしれませんからね。
一作目鑑賞した上で是非、『マレフィセント2』を鑑賞して下さい。