きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

インサイド・ヘッド

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「ねぇ、お父さん(お母さん)人間ってどうして泣いたり怒ったりするの?」なんてお子さんに言われたお父さん、お母さん。そんな事を聞かれたら迷わずこの映画を一緒に鑑賞してみては如何ですか?

私がこの映画を鑑賞したのは2015年夏。ちょうどTOHO のフリーパスをゲットした時でして(TOHO のフリーパスについてはシネマイレージカードをググってみて下さい)
数ある大作と共にこの『インサイド・ヘッド』を鑑賞しました。(あの夏は大作揃いだったなぁ。)
しかし、本編上映前に気恥ずかしい思いをしたものですよ。こ~んな顔(苦虫を潰した様な顔をイメージして下さい・笑)で大勢のファミリーに紛れて鑑賞したのも今となれば良き思い出です(笑)
…というのもドリカムの曲と共に市井の人達が笑顔で写ったスナップ写真が次々に画面いっぱいに出てくるんですよ。周りはファミリーやカップル、スクリーンには幸せそうな人達のスマイル写真。
いや~その場から逃げ出したかったですよ。
実際かなり悪評だったみたいですが、そんな私のトラウマがふと甦った『インサイド・ヘッド』を先日久し振りにDVD 鑑賞したという次第です。

本作の主人公は11歳の女の子・ライリー…の脳内に潜む感情のヨロコビです。
他にもカナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ等のキャラクターが登場してライリーの感情をコントロールしていきます。
また、ライリーの父親や母親にも同様の感情キャラクターが登場し、夫婦間のやり取りやライリーを叱りつける描写をコミカルに演出していきます。

面白いのは人間の脳内あるあるとでも言うべきか例えば日々の性格の中で人生の何の役にも立たないくだらない事をふとしたタイミングで思い出す事ってありませんか?
本作の中では以前見たガムのCM がその題材として使われてますが、心当たりのある描写だけに思わずクスッとしちゃいましたよ。
私も昔作ったかかりつけの眼科のテーマソングを思い出したりしますもん。
山田邦子大江千里が作った『やまだかつてないテレビ』のテーマソングを日常のなんて事ないタイミングで思い出す事も多々あるし(笑)あ、ここに食いついた人、飲みにでも行きましょう(笑)
また、妄想で作り上げたボーイフレンドがクサイ事を言ってたりね(う~ん、10代の時に脳内で付き合ってた奥菜恵似の彼女はこんなトコロに潜んでいたんだな・笑)
また、人間の記憶の処理についても面白かったですね。
まるでゴミでも捨てるかの様に必要な記憶と不要な記憶を分別し、処理するという描写。
ただ、この記憶については外せないキャラクターがおりまして、涙なしでは見れないですが、一旦ここで置いといて…と(笑)
睡眠中に見る夢に関する場面もありましたね。
映画の撮影でもするかの様なスタジオではセットもあって指示を出す監督もいて演じる役者にカメラ、照明、音声もスタンバイ。
さながら「夢」という名の舞台裏をみせてくれるかの様な演出に思わずニヤリです。

そして何と言っても外せない存在がビンボンです。
ビンボンは3歳の時のライリーが作り出した空想のキャラクターで、猫と像を掛け合わせた様な容姿でわたあめの様な肌の質感、イルカの鳴き声で涙はキャラメル味のキャンディーという子供ならではの発想から生まれた独創的なキャラクター。
指令室から飛び出し、道に迷ったヨロコビとカナシミの案内役なのですが、なかなか道案内もままならない困ったちゃんです。
すっかり11歳のライリーの記憶からは薄い存在なのですが、ビンボンは昔の様にライリーと一緒に遊びたいのです。
しかし、子供の成長は残酷なものです。
いつまでも幼い頃の空想のお友達と同じ時を過ごす事は出来ません。
ビンボンが遂にその姿を消してしまう時がやってくるのですが、そこが本作最大の泣きドコロです。(あかん、思い出しただけで涙腺が…・泣)

出来れば『インサイド・ヘッド』は続編があれば是非見たい作品です。
でもそれ以上に3歳のライリーとビンボンによるスピンオフが見たいですね。
ライリーとビンボンの冒険譚とか出来そうじゃないですか。

ちなみに人間の脳内を題材にしたものだと日本では『脳内ポイズンベリー』(2015)があります。
あれはあれで面白かったのですが、『インサイド・ヘッド』程の構成力が足りなかった感がありますね。その内機会があれば『脳内ポイズンベリー』も紹介していきたいと思いますが。

ワンダーウーマン

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女だけの島で男を知らず成長した美しき美女戦士・その名もワンダーウーマン
全米では1億ドルの興行収入をあげ、全世界で大ヒットとなったマーベルと双璧をなすアメコミ映画の雄・DCエクステンデッドユニバース、DCEU制作のアクション映画。
日本では今年8月に公開され、現在も大ヒット上映中です。
話題作でありながらかなり遅れをとってしまいましたなぁ。
と言うのも宣伝に引っ掛かってたんですよ。
戦う女性の話しでありながら強さよりも天然ぶりを押した様な予告、乃木坂の曲をテーマソングにしたアイドル売りのプロモーション等が引っ掛かってしまい、なかなか鑑賞する意欲に駆り立てられずで。
ただ、その一方では第一次大戦を舞台にした戦争映画要素もあるし、アメコミ映画としては珍しいモダンな描写もあったりして気にはなってたんです。
そんなこんながありまして、上映終了も近い様なので一度くらいは鑑賞しておこうとやっとの事で『ワンダーウーマン』を見て参りました。その結果…。


ワンダーウーマンことダイアナを演じたガル・ガドットが美し過ぎる!
アクションシーンが見応えバツグン!
140分という上映時間が長く感じない快作!!

でありました。
ではざっとあらすじチェック!

世界から隔離された女だけの暮らす島。ダイアナはそこでプリンセスとしてまた女戦士として鍛練を積んでいたところ、海へ飛行機が墜落。ダイアナによって救出された操縦士はトレバー(クリス・パイン)という男性でダイアナにとって生まれて初めて目にした男でもあった。トレバーと共にロンドンへ行くダイアナだったが、目下第一次世界大戦のさなかなのであった。


ダイアナが成長していく過程は幼少期にはじまり、割と長目の尺で描写されております。
母親からは武術の鍛練を禁止されるのですが、強くなりたいと思うダイアナはひたすら鍛練を重ね、そして美しき美女戦士へと成長していきます。

彼女の暮らす島は原始的で武器も剣と盾です。
そこにトレバーと共にロンドンへ行き、ロンドン到着後に至るまでの彼女のこれまでの生活からのギャップを描くシーンが印象的です。
ロンドン移動までの手漕ぎボート内。夜になっても就寝しないトレバーに一緒に寝ないのか?と聞きます。しかし、トレバーとしては若い女性と隣り合わせで寝るという事は出来ない。
成人男女であればそれが何を意味するのか理解出来るのですが、男を知らないダイアナにしてみればそれを理解する事が出来ません。
男と女という性的観念がないゆえの描写ですね。
また、ロンドン到着後には露出度満載のワンダーウーマン戦闘服を着て街を歩こうが何のその。
今であればコスプレイヤーという人達も居るのでまだ許容の範囲内かもしれませんが、時は20世紀の前半です。
明らかに異質な人物としてマークされてしまう事でしょう。
ただ、そこはトレバーの機転により上着を着させられるのですが、何とその下に戦闘服を身にまとうダイアナ。恥じらいなんて物はありません。彼女にとってはこれが普通ですから・笑
ブティックでオシャレなコートと帽子、メガネを装着しても剣と盾だけは手放せません。
戦う女戦士・ダイアナにとっては命の様な大事な武具ですもんね。
そして生まれて初めて目にする回転ドアには思わずとまどってしまうダイアナなのでした。
予告編で押してた天然エピソードとはこの一連のくだりなんですよね。
でも天然と言うよりは隔世された世界から異次元の世界へ放り込まれたゆえの未知との遭遇感とでも言うのでしょうか。
でも、めっちゃかわいいんですよ、ダイアナのこんなところが(笑)
最強の女戦士の最大の萌え要素が集約されてる様な描写となっておりました。

その隔世のギャップは時に人間社会の価値観でも生じてきます。
上司、先輩、年長者等人間特有の縦社会。
例え自分の意見と上司に食い違いが生じていても組織に属していれば自分の主張は控え、上司に従わなければならない事は多々あります。
例えモラルに逸脱する様な事であってもです。
しかし、ダイアナにとっては不正、不義に対しての主張は相手が誰であろうとぶつけてしまいます。
また、目的遂行の為とか自分達の身を守る為にとか何かしらの名目を掲げた時に犠牲を伴う事はやむを得ず生じる事があります。
トレバーはあくまで人間としての都合優先主義があるのですが、ダイアナにとってはそれが許されません。
慈愛や義を貫き通す為ならば身を挺する事も辞さない性格ゆえ戦線においても勇猛果敢に敵陣へ踏み込んでいきます。
敵の放つ銃弾を盾であるいは素手でと交わしながら突撃し、ちぎっては投げちぎっては投げの大活躍!ダイアナの圧巻たる無双シーンは後半まで続くのでとにかく「ダイアナつえ~」の印象を与えます。
しかし、ただ強いだけでは面白みに欠けてしまいます。
はっきり言ってラスボスと思われてた相手ですら労せず勝ち続けます。
しかし、その後です。
ダイアナにとっては20世紀初頭の帝国主義とは無縁の生活を送り続けてきたわけです。
そこには戦争という概念など生じません。
支配者により、地上が荒廃している事実をギリシャ神話の戦いの神・アルスの仕業と考え続けていたダイアナにとってはアルスによって身体を乗っ取られていた男を倒せば争いはなくなると信じて疑わなかったのです。
しかし、その男を倒しても争いは消えません。
そこで初めて戦争という名の人類が生み出した悪魔の実態を知るに至ります。
ダイアナを襲う絶望感。
その心理描写が胸を打つものとなっておりました。

そしていよいよ真のラスボスの登場。
これまで無敵のダイアナを初めて苦しめる事になります。


本作においては粗探しをすれば割とよく出てきます。
しかし構成がしっかり組み立てられていたのと適度に盛り込まれたコメディ要素、ダイアナとトレバーの恋愛要素、戦争映画としての要素、そしてヒーローアクション要素。どれも絶妙なバランスで取り入れられており、終始飽きさせない内容は良かったと思います。


ワンダーウーマンは11月に公開の『ジャスティス・リーグ』にも登場するのでそちらも気になるトコロ。だけど上映時間170分は長過ぎだろ~。もうちょい編集で何とかならんかったのかな?

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三度目の殺人

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そして父になる』、『海街Diary』、『海よりもまだ深く』といったハートフルな作品を作り続けてきた是枝裕和監督。
先月公開された最新作はこれまでの監督のイメージから一新。法廷を舞台としたサスペンス作品となっておりおす。

勝つ事にこだわりを持ち続ける弁護士の重盛(福山雅治)は殺人の前科を持つ男・三隅(役所広司)の弁護を担当する事に。解雇された工場の社長を殺害し、死刑を免れないとされる三隅。しかし、犯行動機に釈然としない重盛は三隅との面会を重ねるもますます真相がつかめなくなる。


福山雅治役所広司の他、広瀬すず斉藤由貴、吉田網太郎等の豪華キャスト陣によりひとつの事件と殺人犯の真実に迫っていく。

そんなキャスト陣の演技は素晴らしいです。
特に印象的なのは三隅を演じた役所広司
さすがは大ベテランであり、日本を代表する俳優でもあるのでうまいのは当たり前なのですが、今作の三隅です。
役所さん=徳川家康というくらい『関ヶ原』が記憶に新しすぎるのですが、そんな中でこの三隅というのは殺人事件の被告。
一見めちゃくちゃ腰が低く、真面目そうな男性なんですよ。
しかし、それがよりリアリティを与えている様なイメージです。
私の持論なのですが、凶悪事件の殺人犯に典型的な悪人面は少ないと捕らえているのですが、どうでしょう?
私の持論はともかく上記イメージに当てはめた場合、実はこういう人がいわゆる凶悪犯として拘置所に収監されているのであろうと想像を掻き立てられる上では限りなくイメージに近いタイプという印象です。

また、今作で光ったキャスト陣では広瀬すずですね。
ここ近作ではすっかり天真爛漫で明るい女子高生イメージが強いのですが、元々『海街Diary 』だともっと素朴な少女の役でしたもんね。
そんな『海街』以来の是枝作品ですが、本作では足に障害のある被害者の娘役として出演しておりました。
前回『少女』での本田翼について触れましたが、タイプこそ違うものの広瀬すずの陰のある女子高生像はここ最近の広瀬すずの中でもかなり印象強い演技で新たな一面を見せたかと思います。

また、ミステリー作品としてはかなり異色で最後の最後まで真相が明らかにされません。
あくまで鑑賞した人にその結末の想像を委ねるというつくりの為、モヤモヤする事でしょう。
しかし、各自の想像力を働かせて顛末を作り上げるのもよし、また友人やカップルと鑑賞した場合はその後、食事でもしながら語り合うには良い映画でしょう。

しかし、しかしです。あくまでこの映画を楽しめた人限定という話しになって参ります。


この作品実は見る人をかなり選んでしまいます。

基本的に作中に登場する舞台となるのは弁護士事務所と法廷、重盛と三隅が接見する留置所です。
その他の場所が出ない事はないのですが、極めて少なくだいたいが上記の三ヶ所くらいです。
会話劇という事もあり、重盛と三隅の接見でのやり取りからその心理合戦でもあったりするので舞台設定としても必要最低限にという監督のこだわりかもしれません。
ただ、絵的には非常に味気ないんですよ。
登場人物のカメラアングル等の細かい部分での演出はよく出来てるとは思うのですが、基本テンポも淡々としてるので飽きやすい。

なおかつ法律用語もよく飛び交うので気軽には見れないし、内容も重いので鑑賞する人を意識した作りが欲しかったですね。
予告編でもよく目にした雪景色の中でのシーンも意味不明だったな。
三隅と被害者の娘との関係性や距離感を表すシーンとして用いられてたのですが、何故重盛もそこにいるのか理解に苦しみました。

この作品は確かに作品としての世界観とか内容面での一定の評価は出来ると思います。
しかし、映像的な描写が物足りないのと独自性を強めた事によってともすれば監督の自己満足と思われかねない部分が多くついていけなかったというのが正直な印象です。
映画は難解なもの=深みのある作品というわけではありません。
ましてや300館以上で公開される大作である以上ライト層の共感性も得る様なエンタメ要素はほしいですね。
一部の意識高い系の人が満足する雰囲気映画なら60館くらいの小規模上映で十分ですよ。

まぁ色々と言いたい事を言わせて頂きましたが…。

斉藤由貴昔好きだったのにな~。

何か今年って公開中の映画のキャストのスキャンダル多くない?

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少女

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湊かなえ原作と言えば『告白』、『白ゆき姫殺人事件』といったセンセーショナルな作風で映画界でも旋風を起こしてきました。
ブランド力のある作家でもあるので映画業界にとっても最重要なコンテンツになってるのかもしれません。
しかし、そんな作家力をもってしても週末動員ランキングに一度もランクインする事なくひっそりと公開され、ひっそりと消えていった作品があります。今回紹介する『少女』はちょうど一年前に公開され、私もT- ジョイ京都にて鑑賞したのですが、新作の公開とは思えない程ガラッガラでしたね(笑)

しかし、そんな閑古鳥鳴き鳴きの客入りに反して内容は悪くなかったです。
そんな本作を先日久し振りにDVD 鑑賞した次第です。



幼なじみで親友同士の由紀と敦子。二人は同じ女子高に通うクラスメイトでもあった。小説を書く事を生き甲斐とする由紀、剣道の実績で推薦入学を果たすも試合で結果を出せない事を機にいじめを受けている敦子。ある日、敦子が書き続けていた小説が紛失。その後、担任の教師が小説で賞を受賞した事で話題に。他ならぬ由紀が書いた小説なのであった。


そんな事は私が言わずともなんですが、主演の本田翼と山本美月が少女じゃない問題。
まぁ過去には『ヒロイン失格』の桐谷美玲が26歳で女子高生役をやるという前例はありますけどね。
ただ、この二人が少女じゃない問題についてはさておき、演技は良かったです。
特に本田翼のそれは今までのイメージとは全く逆をいく祖母から虐待を受けるというトラウマを持ち、「死」というものに並々ならぬ関心を抱く陰のある女子高生という難役が見事にハマってました。
こんなホラー顔もしてます(笑)
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本田翼の新境地といったところでしょうか。
キャスティングで魅力的な人と言えばアンジャッシュの児島さん。
生徒の書いた小説を盗み賞を受賞する更には生徒と淫行に及ぶというクズ中のクズ教師。
バラエティでいじられる児島さんとはまた違う好演でした。

演出的にも暗めの色彩でダークな雰囲気に満ちており、それが作品全体に漂ういびつさを上手く表現していたのではないでしょうか。

しかし、脚本的にはしっくりこない部分もあるので触れないわけにはいきません。
直接人の死をその目で見たいという動機で敦子は老人ホーム、由紀は難病の子供が入院する小児病院へボランティアに出掛けるまでは良いのですが、その後がしっくり来ないのです。
良い子になり過ぎなんですよね、特に由紀が。
入院中の少年二人と仲良くなって父親探しに出掛ける辺りとかね。しかも女子高生に足を洗わせ「♪泡立て泡立てぶ~くぶく」なんて唄い出す変態オヤジに捕まりながら(笑)
ま、結果的に敦子が老人ホームで出会う男性(稲垣吾郎)と少年を結び付ける伏線となっておりそこの回収は見事でしたけどね。
個人的には由紀が死への関心からサイコパスになるくらいの凶気的な内容を期待してただけにやや肩透かしだったかな。
しかもラストは由紀と敦子の清々しい友情を全面的に出す様な感じでしたもんね。もっと毒のある展開にしてほしかったですね。

本作に登場する人物は全編にわたって人として救われない様な連中がぞろぞろと出て来ます。
前述のクズ教師、由紀と仲良くなった人の死や不幸をもてあそぶ男子高校生、由紀に足を洗わせた中年男性、更に子供や老人に至るまで一癖も二癖もある様な人ばかり。
中でも由紀と敦子に近づいて敦子に痴漢冤罪詐欺を仕向けた転校生。人の人生を狂わせるクズでビッチなJK ですが、ラストシーンの描写に胸がすくわれます。
そこに至までの経緯は不明ですが、この映画のテーマ「因果応報」にふさわしい描写でしたね。

子供に読み聞かせる紙芝居で「因果応報、地獄に堕ちろ~!」と熱演する本田翼好きです。こんなばっさーをもっと見たい(笑)

少女 DVD通常版

少女 DVD通常版

サバイバルファミリー

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私達が当たり前のように使っている電気・ガス・水道。そのライフラインがある日突然使えなくなったらあなたならどうしますか?

ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』、『ハッピーフライト』等のヒット作を生み続けてきた矢口史靖監督。
男子シンクロや航空業界はたまた林業とこれまで矢口監督が作ってきた作品は実在しているが、なかなか我々が知る事の出来ない特殊な世界をコメディタッチの作風を通して私達に見せてくれる様なそんなエンタメ作品を届けてくれました。
今回紹介する『サバイバル・ファミリー』は極限状態に追い込まれた人間の生還劇というこれまでと違う設定と作風でストーリーが展開されていきます。



とかく若手の人気俳優を主人公にキャスティングする昨今の日本映画界において中年のオッサンを主人公に置くなかなか愛すべき作品でもありますが、これまでの矢口作品を知る人であればこの作品の異質性にはすぐに気付く事でしょうね。
コメディではなくかなりシリアスな内容ですからね。
正直私も事前に見ていた予告編のイメージが強すぎてかなりとまどいましたから。

しかし、そんな事はどうでも良いのです。
この『サバイバル・ファミリー』という作品は2017年に公開された作品中でもかなり特異性を持ち、見る人へ投げかけるメッセージ性も含めて今の時代にこそ見るべき宿命を持った作品でもあると思います。

鈴木家は父(小日向文世)、母(深津絵里)、兄(泉澤祐希)、妹(葵わかな)という東京で暮らすどこにでもいる普通の家族。
大学生の息子はヘッドフォンで音楽を聴き、PCで大学の課題に取り組み、女子高生の娘は四六時中友達とのラインのやり取りをし、いかなる時でもスマホを手放さない女の子。
つけまつげとスマホが彼女の狭い世界を象徴している様なザ・東京のJKです。
しかし、彼らが寝静まり夜が明けると一転。
日常生活崩壊のはじまりです。
目覚まし時計が鳴らずに寝坊する父親
すると電気が一切使えずテレビも携帯ももちろん使用する事が出来ません。
それでも彼らは日常のルーティンを今日も歩まねばならない。
会社に学校にと向かうべく一歩外へ出ればマンションの住民で大混雑。
どうやらエレベーターが使用出来ない様です。
階段を下り、マンションを出るとそこにはいつもと違う光景が。車もバスも動かない。
まさに日常に立ちはだかる未曾有の緊急事態の始まりだったのです。
当初はまだそこまで緊張感がありません。
「そのうち、電気も再開するだろう」
という何の根拠もない希望的観測で日々が過ぎていきますが、数日も経過すると流石に直面してる現実からの脱却をすべく動き始めます。
鈴木家は妻の実家のある鹿児島へ避難するという結論に至ります。
東京生活に染まる女子高生の娘は当初は鹿児島の人が聞いたら怒りそうなまた母親の故郷をよくまぁそこまで言えるもんだと思わせる拒絶感を見せます。
しかし、流石に現況を打開すべく父親の意見に従います。
では、鹿児島までどうやって?
何と羽田まで自転車で行き、飛行機で行くと言います。
「この状況で飛行機飛ぶのかよ?」というこちらの予測通り案の定飛行機は運行しません。
そこからは東海道をひたすら西に東京→鹿児島自転車の旅というバラエティ番組さながらのサバイバル道中が始まるのです。

ここまでの流れを通して感じたのが停電発生からの
心理的描写や徐々に荒廃していく街や人間の捉え方が実にうまくあらわれていると思います。
また、海外であれば起こりうる暴動等の混乱はなく至って日本的。
ペットボトルの水が高騰する、飛行機の運行不可を告げる警官と衝突するという程度で『北斗の拳』さながらの無法地帯と化す…なんて事はなく緊張感溢れる中にも良心的で道徳感ある描写であったと思います。

小日向さん演じるお父さんがまた特徴的で一家の大黒柱を気取りながらもその実臆病者で父親としての器の大きさに欠けるある種愛すべき日本の父親像を抽出しています。(作風は違うけど『家族はつらいよ』の橋爪さんに近いかも?)
そんなお父さんですが、「せめて子供達の分だけでも」と食糧を乞う為土下座をするシーンは追い込まれる中で取り戻していく父性を物語る上では非常に効果的なシーンだったと思います。

また、都会と地方を対比させながらも環境や人間性のギャップを反映させていく構成は良かったです。
車、電車、人の流れといった都会の生活音が機能停止によって初めてそこに生まれてくる不気味な静寂。(音楽を一切使わない演出がよりその気味悪い空間を作り上げていました。)
一方、元から静かでのんびりとした田舎では人間も空気もゆったりとしています。
大地康雄演じる豚を飼育する農家のおじさんが醸し出す雰囲気は田舎の「らしさ」をより強調したものでした。
東京でセカセカ生きてきた鈴木一家ナチュラルな人間味を取り戻していく過程とも絶妙にマッチしてました。
この農家のおじさんに限らず地方を描写する光景は実に綺麗に表れ、荒廃した人間の本質的なものを浄化してくれるかの様な機能を果たします。
例えば山口県を走るSLであったり鹿児島の雄大な自然であったり。
人間的にたくましくなっていく鈴木家の人々とそれらの風景が重なりあう事でこの映画の持つテーマ「すべてがOFFになると人間はON になる」の意義を初めて感じる事が出来ます。
日常生活を取り戻した鈴木家の人々。
どこにでもいるごくごく普通の家族。
しかし、彼らが乗り越えてきた生と死をさまよう壮絶な体験が彼らの家族としての結び付きを強くさせた事でしょう。
この映画はとある家族の生還劇として語られるべき名作だと思います。


ところで…ブックオフ撮影に全面協力だったなぁ。どうでもいいけど店から持ち出した地図、ちゃんとお金払ったのか?(詳しくは本編で)

ガールズ&パンツァー 劇場版

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まず前提としてお伝えしておきますが、私はいわゆる萌え系アニメに関しては全く知識を有さないいわゆる門外漢です。
しかし、劇場公開作はいち映画として鑑賞するという習慣があり、この『ガルパン』も例外ではありません。
あくまでそんな私の視点から見た『ガールズ&パンツァー』であるという事をご理解した上でお読み頂ければ幸いです。

ガルパン』の熱狂的人気というのはいち映画ファンとしてもよく耳にしました。興行収入25億という数字面でも物語っていると思います。
そこで『ガルパン』とは何ぞや?と止まらない好奇心から遅ればせながら先日初めてガルパンなるものに接してみた次第です。(そういえば『けいおん!』も『ラブライブ!』もこういう経緯で接して参りました。)

さて、何の予備知識もなく初めて『ガルパン』を鑑賞した印象ですが、


何じゃこりゃ~!

松田優作ならずとも衝撃的でした!
女の子が戦車に乗ってひたすら砲撃を続ける。しかも舞台は日本の商店街と思われる様な平和な街中で。
しかもそれが前半の20分ひたすら続きますからね、てっきり二時間延々とこの展開かな?と思いましたよ。
しかし、温泉に入るシーンに変わりどうやらこの一連の流れはエキシビションとの事。
ここでようやくこの作品は戦車道といういわば剣道や柔道等の競技を題材にしてるものと理解しました。
そこからは視点を変え、なるほどこれは『ちはやふる』を鑑賞するスタンスで見れば良いのかなと自己解釈に至るのです。

とはいえ戦車を街中でぶっ放す部活なんて現実にはあり得ない話しなんですよ。
それも街中を破壊するわけですからね。
あくまでバーチャルな世界であって、おいおいなんて突っ込んだ者負け、そんな行為そのものが野暮なんです。
日本の茨城県大洗では今日も少女達が戦車に乗って過激に防弾を放っている。その視点で作品に接するか否かでガルパンの満足度はぐっと変わってくると思います。

ガルパン所見で圧倒されたのはやはり銃撃シーンですね。
実際の戦場さながらの戦術も取り入れられたりするのでリアリティもとことん追及している。
実在の戦車も使われているのでミリタリーマニアにしてみたらたまらないんでしょうね。
『マッドマックス 怒りのデスロード』を引き合いに出す声もある様ですが、これは劇場で見たかったな~なんて今更の後悔。

その一方で、しっかり学園モノ要素もしっかりあったりします。学校の廃校か存続かを賭けて試合に挑むとかね。

それにしても登場人物多いわ~、そこはきちんとTVシリーズも見ろて事なのかもしりませんが。
でもハマる人の気持ちはよ~くわかりました。

ガルパン所見でひたすら圧倒されてしまったワタクシ。
ツッコむのは野暮ですよね、ツッコんだ者負けですよね、でも…あえて…あえて突っ込ませて下さい。箇条書きでどうかお許し下さい。

・城の石垣等史跡を壊すな~
・街中で戦車ぶっ放して死人は出ねぇのかよ!
・お店やら街を破壊されてんのによく試合を観戦する余裕があるな、地元の人よ。
・そもそも戦車購入費どこから出てんだよ!
・存続か廃校か試合の勝敗で決めるくらいなら存続でよくね?

もちろん掘り下げません。『王様の耳はロバの耳』みたいなものです。ためこみ続けたら苦しいので一気に吐き出すみたいな。
それはさておきボコられ熊のボコが可愛い!!
ぶっちゃけ登場する女の子よりも萌えたぞ、オレ(笑)

ガルパン』の劇場版新作は12月に公開される様ですね。

ガルパンはいいぞ

亜人

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それにしても『東京喰種』だとか『亜人』だとかこういうの多すぎ!
デスノート』辺りからでしょうかね、アクション系人気漫画の実写化って。
20世紀少年』の大ヒットで更にそのジャンルが量産されて2015年の『進撃の巨人』辺りでひと段落ついた様な感じですが、とはいえやはり作りやすいからなのか知名度もあって興行的成功も見込めるからか知りませんが相変わらず日本の映画界では量産されている分野ではあります。
最新の興行ランキングでも1位と好発進となった『亜人』。
果たしてどんな作品なのでしょうか。

亜人とは見た目は人間と同じですが、彼らは死ぬと即座に蘇るという特殊な能力を持ちます。
本作の主人公である研修医の永井圭(佐藤健)はある日交通事故に遭遇した事により自らが亜人である事を知ります。その日以来政府に捕らわれ人体実験を受ける事になります。しかし、そこに現れたのは同じく亜人の佐藤(綾野剛)。佐藤の救出により脱出を図る永井だったが。


私自身実は『亜人』の原作は未読です。なので公開前にひと通り『亜人』とはどんな作品かと毎度ながらの付け焼き刃で予習はしておきました。
ただ気になったのが本作の監督。
本広克行監督には過去何度か痛い目に遭わされましたからね、回を重ねる度に劣化していった『踊る大捜査線』シリーズはもとより柴咲コウ黒歴史・『少林少女』とか長澤まさみが大火傷を負わされた『曲がれ!スプーン』とかその一方ももクロちゃんの魅力を最大限に引き出してくれた『幕が上がる』という名作もあります。当たり外れの振り幅で言えば三池崇史と並ぶ二大巨匠と思っております。
果たして今回は吉と出るか凶と出るか?その結果や如何に?


アクションめっちゃ頑張ってるや~ん!!

正直はじめは不安だったんですよ。
このテのアクション系だと『進撃』や『テラフォーマーズ』で痛い目にあってますからね、ダメな方の本広作品の数々も脳裏によぎりましたし。
ところが意外と悪くなかったんですよ。
日本映画としてはかなりアクションに力入ってますからね。
綾野剛もキレッキレだったし、佐藤健も『るろうに剣心』さながらの見事なアクション…と思ったら本作のアクションは『るろ剣』のアクションコーディネーターが担当してるんですね。
ジョジョ』のスタンドを彷彿とさせる分身も登場してバトルを展開します。
これはIBMと言う名称で亜人のみが出す事の出来る特殊能力との事。
そちらのCGにも力が入っておりました。
とこの様に日本のアクション映画としてはかなり良く出来た作品だと思います。
感動系ばかりで刺激が足りないという日本映画好きにはオススメな映画ではないでしょうか?



その一方、心ゆくまでの満足感を得られたかと言うとそれはまた別の話し。
以下ツッコミさせて頂きます。

まず本作で感じたのがやたら説明が足りないせいで原作知らない人にとっては不親切でした。
まず、前述のIBMについて。
スタンドプレイそのものは悪くなかったですよ。
ただ、説明なくいきなり限りなくスタンドっぽいものが出てきたせいで一瞬何が起こってるのかと「?」マークが三回くらい頭の中で回ってましたよ。
後半になれば当たり前の様に頻出するので次第に慣れてはいくのですが、IBM という名称は一切登場しないですし、そもそもIBM という単語も自分で調べて判明したという有り様ですよ。原作知らない人だっているんですよ。もっとその点の配慮があれば良かったのですが。

後、人体実験で人間に虐げられてたハズの永井が何故人間側につくのかの心理的描写が希薄です。佐藤が人間を憎み、テロ行為に及ぶ同情するには余りある動機等はかなり詳細に描かれていたのとは対照的でしたね。

『君の膵臓をたべたい』の桜良役で注目された浜辺美波ちゃんも出てましたね~。
病人の役ばっかやらすなよ~なんて心の声はさておき、永井の妹役も良かったです!
ただ、後半以降めっきり登場しなくなるんですよね。
「美波ちゃんを出せ~!」なんて言うつもりはないですが、本作において重要なキャラクターでもあるんだし、ラストに兄・永井とのエピソードを挿入する必要もあったのでは?なんて思います。(あったらあったで何かしら言うかもしらんけど)

後、飛行機で厚生労働省のビルに特攻するというシーン。
不謹慎承知で言えば迫力は凄かったし、監督の挑戦が伺えました。スクリーン映えする様なシーンだったと思います。
しかし、どうしてもあのテロ事件を想起させる様でしたが、そこは大丈夫なんですかね?


総じて言えば話しの内容自体はファミレスのドリンクバーくらい薄いです。
しかし、それを補う以上のアクションシーンは近年の邦画史上においても屈指の出来だったと思います。
アトラクション感覚で楽しんだもん勝ちな映画となってますよ。

それにしても綾野剛めっちゃいい体してる(笑)

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