きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

花束みたいな恋をした

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東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将暉有村架純の主演で映画化。坂元脚本のドラマ「カルテット」の演出も手がけた、「罪の声」「映画 ビリギャル」の土井裕泰監督のメガホンにより、偶然な出会いからはじまった恋の5年間の行方が描かれる。東京・京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹。好きな音楽や映画がほとんど同じだったことから、恋に落ちた麦と絹は、大学卒業後フリーターをしながら同棲をスタートさせる。日常でどんなことが起こっても、日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。
(映画.comより)

久しぶりの恋愛映画ですね。
数々のヒットドラマを生み出した坂元祐二脚本そして『ビリギャル』や『罪の声』を手掛けた土井裕泰監督がタッグを組みメインキャストには菅田将暉有村架純を配した純愛ストーリーが誕生しました。菅田将暉君と有村架純ちゃんの共演は『何者』以来5年振りとの事です。

ドラマにしろ映画にしろ恋愛を題材にした物は数多あるわけですが、本作はかなりリアルなカップルが主役の作品。
というのもあらゆるサブカルチャーを愛するヲタク寄りな男女の恋愛なのです。
なんて言うと2011年の名作『モテキ』を思い出す方も多いでしょうが、ポップカルチャー全面にフィーチャーしていた『モテキ』と比べるとより濃さが増しているというか都会に住むディープな趣味を有する男女の出会いからの5年間をかなりリアルに描いていたのが印象的です。

終電を乗り過ごした二人がたまたま会話したところ、趣味があまりにも合いすぎ意気投合。
そこからデートを重ねて交際へ発展。
そんな展開出過ぎだろ!
なんて突っ込みたくもなるが俺はこの感じめちゃくちゃわかるのよね。
京都の二条駅前でストリートライブをしていた女の子に話し掛けaikoの話しで盛り上がり、即メルアド交換。
何度かのデートを重ねて交際へ発展してその後7年付き合った末別れたそんな恋愛を過去にしていたもんで、そんな元カノと出会った時を思い出してついつい感情移入しちゃいました(笑)
しかも、しかもよ有村架純ちゃん演じる絹ちゃんはミイラ好きでデートにミイラ展をチョイスするというマニアックぶり。

「何これ、俺めっちゃこういうコ好きやねんけど(笑)」
しかもこの辺も似た経験…ていうか前述の元カノ話しですが、彼女はめちゃくちゃ廃墟マニアでしてね。
日本全国の廃墟が載ってる写真集なんかを見せられましてね、以来私も廃墟を見るのが好きになってしまったわけですよ。

他にもひたすらファミレスのドリンクバーだけでめっちゃマニアックな話しで何時間も過ごしたりとかね。
今まで色んな恋愛映画は見てきたけどここまで自分の経験した恋愛とダブる作品もなかったです!

で、この作品の裏側にあるテーマ。
それは恋愛の始まりは終わりの始まりでもあるという何とも中島みゆきの『わかれうた』的恋愛観なんですよね。
二人が大学を卒業してしばらくフリーター生活をするのですが、この時が一緒に居て最も楽しい時間。
だけど現実的にはお金もないし、次第に現実という言葉が脳裏によぎる日々。
二人は就職をするのですが、そこから次第にすれ違いが起こっていきます。
これは実際の恋愛だってそうだし、こういったテーマを盛り込んだ映画は古今東西よく見かけます。

男は仕事に生き、それを彼女を養う為とか言いつつも彼女の想いに気付かずいや向き合おうともせずデートもしなければセックスもしなくなる。
そして元々はイラストレーターを目指すその夢の事も忘れ好きだったゲームや音楽の話しよりも仕事の話しばかりになる。
一方、彼女は彼女で多少給料が下がっても自分のしたい仕事を優先し前向きに生きるのだが、それすらも否定されてしまう。
どこで心がスレ違うのか渦中にいるとなかなか気づけないんだよね、こういうのって。

そして最終的に出す答えが別れになるんだけど何度も言う様に俺自身がこの作品に近い恋愛を経験してたからこのシーンでは昔を思い出して涙が流れてしまいました。
そして共通の趣味だったからこそ色々感じるわけなのよ。
東京事変の再結成を彼女はどんな想いで受け入れているのかな?」とか。
「別れて以降のM-1の優勝コンビをどう思っているのかな?」とか。
aikoが新譜を出す度にどんな想いで聴いているんだろう?とか。

…ってアカン、俺めっちゃ引きずってるやん!
もう8年経つのに(笑)

なんて公共の電波で俺の未練がましさを惜しげもなく披露してますが、つまりこの映画は俺に過去を蘇らせたわけですよ!

で、恐らくこの映画は過去に一度でも誰かと恋愛を経験した人であれば大なり小なり共感するんじゃないかな?
そんな内容でした。
現実的にありえねぇだろ?みたいなご都合主義モリモリの恋愛映画が多い中、ここまでリアルに恋愛を描写し、そして心を過去の恋愛していた頃に呼び戻す作品もないかなと思いました。

でもね、ラストの展開。
あれはあれでおじさんは羨ましかったぞ!
ま、そこは是非ご鑑賞頂くとして個人的にはオススメ度の高い作品でした!