きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

天外者

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三浦春馬が主演を務め、近代日本経済の基礎を構築し希代の“天外者(てんがらもん)=すさまじい才能の持ち主”と称された偉人・五代友厚の人生を描いた歴史群像劇。「利休にたずねよ」「海難 1890」の脚本・小松江里子と監督・田中光敏がタッグを組み、オリジナルストーリーで描き出す。江戸末期、ペリー来航に衝撃を受ける日本。新たな時代の到来を察知した青年武士・五代才助(後の友厚)は、攘夷か開国かの内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな中、遊女はるとの出会いから「自由な夢を見たい」との思いに駆られた彼は、誰もが夢見ることのできる国をつくるため、坂本龍馬岩崎弥太郎伊藤博文らと志を共にする。五代の盟友・坂本龍馬を三浦翔平、後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎西川貴教、初代内閣総理大臣となる伊藤博文の若かりし頃を森永悠希、遊女はるを森川葵がそれぞれ演じる。
(映画.com)

三浦春馬さんが亡くなり間もなく半年を迎えます。
改めて言うまでもないですが、日本映画界にも多大な貢献をされ、俳優としての短い生涯を終えました。
そんな三浦春馬さん最後の出演作であり主演を努めた本作の主人公・五代友厚
商都・大阪の礎を築き、近代経済に大きな影響を与えた人物にも関わらず歴史の教科書にも載らないですし、知名度も高くありません。
そんな五代友厚の伝記映画である本作は監督が田中光敏、脚本小松江里子
これまでにも時代劇を中心に製作されてきた方々ですが、とりわけ私が好きなのは『利休にたずねよ』でして、この映画をきっかけに千利休に魅かれたものです。
そして本作は舞台を幕末に坂本龍馬伊藤博文岩崎弥太郎といった超有名人も登場しての一代記です。
ちなみに僕が見に行ったのが12月13日
MOVIX日吉津での午前の回。
平日ではありましたが、まずまずの人入りでした。
年齢層は比較的年配が多かったのですが、若い方も目にしました。
性別は三浦春馬さんへの想いが深いであろう女性が圧倒的に多かったですね。

では作品についてお伝えさせて頂きます。
まず、何と言っても三浦春馬さんを語らずにはいられませんね。
薩摩の下級武士であった青年期にはじまり明治維新を経ての経済人へと成長していく様。
青年から壮年~中年への変遷を三浦春馬さんの演技を通じ見届けていく流れとなります。
言うまでもなく魅了されていきますね。
喜怒哀楽全ての表情に訴えかけてくるものがありますし、その佇まいから漂う貫禄そしてこの姿を目にするのもこれが最後かとふと現実に戻る瞬間に感じる悲しさ。
見る人は誰しもこの心境へと至るのではないでしょうか。
もっとも三浦春馬さんが亡くなった直後に見た『コンフィデンスマンJP プリンセス編』でもやはり似たものを感じましたが、この作品の場合五代友厚という人物の佇まいがより三浦さん自身と重なり、胸に訴えかけてくるものがあります。
エンドロール後のメッセージには落涙必至かと思いますので決してエンドロール終わるまで席を立たない事を強くオススメします!

坂本龍馬を演じた三浦翔平さん・岩崎弥太郎西川貴教さん・伊藤博文森永悠希さん等の主要キャストの布陣も素晴らしかったですね!
坂本龍馬の豪放快活な雰囲気も良かったですが、岩崎弥太郎を演じた西川貴教さんは普段のミュージシャンのイメージと違い、維新を生き抜いた一人の男としての恰幅がありました。
森永悠希さんも『ちはやふる』のつくえ君のイメージ止まりだった僕ですが、若き伊藤博文の雰囲気と見事に合っておりましたね。

で、これはあくまで僕が感じた事ですが、どこかNHK的それでいて大河ドラマの持つそれではなくむしろ夜10時とかにやってそうな時代劇感がありましたね。
落ち着いたテイストでゆったり鑑賞するにはもってこいの作品だと思います。
また、幕末から明治にかけての激動期の持つ雰囲気が作品全体から伝わる様なつくりは引き込まれました。
ただ、一方では五代友厚の一代記を中心に見せればより作品に深みが生まれたのに少々サイドストーリーを詰め込んだり安易なお涙頂戴に走ってしまった感は否めませんでしたね。
ちょっとそこが勿体ないというのが正直な印象です。

なんて最後にちょこっとだけ言いたい事を言わせて頂きましたが、歴史にそこまで詳しくない方でも楽しめる人間ドラマとなっています。
ラストシーンは三浦春馬さんの姿と重なり、客席からは涙をすする声も聞こえてきました。
三浦春馬さん最後の姿をしかと劇場で目に焼き付けて下さい。
2020年の締めくくりに鑑賞を強くオススメします!