きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

AI崩壊

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「22年目の告白 私が殺人犯です」の入江悠監督が自身のオリジナル脚本で、AIを題材に描いた近未来サスペンス。2030年、天才科学者の桐生浩介が亡き妻のために開発した医療AI「のぞみ」は、年齢、年収、家族構成、病歴、犯罪歴といった全国民の個人情報と健康を管理していた。いまや社会インフラとして欠かせない存在となった「のぞみ」だったが、ある時突然、暴走を開始。AIが生きる価値のない人間を選別して殺戮するという、恐るべき事態が巻き起こる。警察庁の天才捜査官・桜庭は、AIを暴走させたのは開発者である桐生と断定。身に覚えのない桐生は逃亡を開始する。桐生は「のぞみ」を管理するHOPE社の代表で、義弟でもある西村悟とひそかに連絡を取りながら、なんとか事態の収拾を目指すが……。大沢たかおが主人公・桐生を演じるほか、賀来賢人広瀬アリス、岩田剛典、松嶋菜々子三浦友和らが共演する。
(映画.comより)

AI。ここ数年でホントよく耳にしますよね。
昨年末の紅白歌合戦では美空ひばりをAIとして甦らせ、日本中の人を驚かせ、AIの技術的進化を証明さ
させたのも記憶に新しいところです。
ただ、一方ではAIの進化によって人間の多くの仕事が奪われるなんて事も耳にします。
そんな時代だからこそと言うべきでしょう。
遂にそのAIを題材にした映画が登場しましたね。
メガホンを取ったのは入江悠監督。
実は僕、監督の前作『22年目の告白』は好きなんですよ。
特に後半にかけて畳み掛けられるあの展開は劇場鑑賞しながら久しぶりに手に汗握ったものです。
そんな監督がどんな形でAIを映し出すのか公開前から楽しみにしていました。

結論から言いましょう。
邦画にしては破格の製作費用がかけられている、だからこそでしょう。
近年の邦画としてはかなりのスケールの映像表現が盛り込まれており、見る人を近未来の世界へと誘ってくれます。
まず、本作の時代は今から10年後の2030年。
でもその辺りの時代的な調整もいいんですよ。
自動車はAIが認識し、自動運転が当たり前。
医療現場や至るところにAIが導入されるも、街の外観なんかは今と変わらないんですよね。
その辺り何と言うかリアルなんですよね~。
で、前半はとにかくワクワクさせてくれるんですよ。
映像的な部分も大きいですが、ストーリーとしてもAIの技術面の提示にただただ魅了されていく。
想像力豊かな人が描き出す近未来に心を一気に持っていかれるんですよね。
それでいてその時代に人類がAIに頼りきり、そして遂にAIが意思を持ち、暴走を始めたらかくも怖いのかとリアルに伝えてくれる。
進化したAIの功罪を分かりやすく我々に伝えてくれるのにここまでリアリティたっぷりな映像で表現されるとただただ圧倒されるばかりですよ。


ただ、楽しかったのは正直前半だけでしたね。
後半…いや、正確に言えばSF要素よりサスペンス要素が強まっていく辺りからごくごくありふれた邦画サスペンスになっていくんですよね。
とにかく逃げる逃げる、逃げる!という逃亡劇であり、しかもそれがひたすら長い。
更に言えば「こいつ怪しくね?」という奴が案の定犯人だったりとか。
残念ながら脚本がうまくないんですよね~。
で、そうなってくると前半のワクワク感さえ見ている内に褪せてしまうんですよ。
勿体ないな~。
キャストは豪華な面々が顔を揃えているので申し分ないんですよ。
映像面も前述の様にここ近年の邦画ではかなりのスケールで見せてくれる。
だけど話しの展開かな?
大味なハリウッドのアクション映画に近いものを感じますよ。
ただその中にも特筆すべき点はあるのでお伝えしておきましょう。
それはAIが進化した時代での警察の捜査。
街に監視された、カメラや個人のスマホカメラ、ドライブレコーダーなどにいとも簡単にアクセスし、リアルタイムで特定の人物を追跡するというシステム。
個人情報も何もあったもんじゃないと憤りも感じますが、技術が進化すればここまでの事も有り得るというのをまざまざと見せつけてくれるし、もしや我々の知らない内に秘密裏に作られているのではと恐怖を与えます。
悪い事は出来ないね~、いやするつもりはもちろんないけどさ(笑)
ストーリーに何だかんだと言いましたが、AIという近年のトレンドを映像化したその試みは買うべきだと思うし、むしろ日本でこういう映画が作られたという面で言えばかなり画期的ですよ。
決して悪い映画ではないというのは断言しておきます。
是非皆さんも映画館で近未来体験をしてみては如何ですか?