きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ルパン三世 THE FIRST

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モンキー・パンチ原作による国民的アニメ「ルパン三世」を初めて3DCGアニメーション化して描いた劇場版。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどVFXを駆使したヒット作を数々生み出し、「STAND BY ME ドラえもん」「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」など3DCGアニメも多数手がけてきた山崎貴が監督・脚本を担当し、ルパン一世が唯一盗むことに失敗したという伝説のお宝「ブレッソンダイアリー」に挑むルパン一味の活躍を描く。20世紀最高の考古学者ブレッソンが遺した最大の謎・ブレッソンダイアリー。その謎を解き明かした者は莫大な富を手に入れることができるとされ、第2次世界大戦時にはナチスもその行方を追い求めたという。ルパンの祖父であるルパン一世でさえ盗み出すことに失敗した、史上最高難度の秘宝を手に入れるべく奔走するルパンたちだったが……。
(映画.comより)

実はですね~、この3DCGによる『ルパン三世 THE FIRST』を見るにあたってはいささか不安な部分もあったんですよ。
やはり昨年夏に公開され評価的にかなり厳しい目を向けられた『ドラゴンクエスト/ユア・ストーリー』ですよね。
リアルタィムで『ドラクエⅤ』で遊んだ世代程あのラストへの目の向け方が厳しくなり、私もあの当時最高であり最悪な問題作という評価をしました。
しかし、「最高であり~」とつけた辺り良い部分もちゃんとありまして、途中までは確かに『ドラクエⅤ』の完全再現であり、一気に気持ちをプレイしていた当時まで戻してくれたそんなノスタルジック補完はしっかりしてくれていたのでその部分は良かったと思っています。
同時に「最悪~」と評した点については山崎貴監督の攻めの姿勢があってのもの。
単なる『ドラクエV』リメイク映画に終始させず、冒険を試みたというそんなスピリットは評価出来るのかもしれませんが、それが裏目に出てしまったと言うべきでしょうか。
で、今回はあの国民的アニメである『ルパン三世』のCG再現です。
それにあたって山崎監督は大のルパン好きとの事。
本作製作にあたっては本人のルパン愛を作品にぶつけつつ、ルパンファンの求めるものをひたすら追及し、作り上げたとの事。
で、その結論をはじめにお伝えすると決してチャレンジングな作品ではなく、ただただ「らしさ」が溢れているルパン映画。
誰が見ても純粋に楽しめるお馴染みのルパン三世ワールドを味わえる3D再現映画だったと思います。
実は私、偉そうに語りながら大変気が引けるのですが、めちゃくちゃルパンが好きなわけではない。
決して大ファンとは呼べないのです。
小学生の時に夕方アニメの『ルパン三世』を軽く見ていたという程度です。
なのでマニアの視点から見るとまた別の意見が出るかとは思います。
でも、僕はライトな観客ではありますが、『ルパン三世』ってとりわけそんな層が極めて多いアニメという印象はあるんですよ。(例えば『ONE PIECE』とか『ドラゴンボール』等はかなりコアなファンが多いのに対し、『ルパン三世』は比較的コア層よりライト層の方が多い感がありますが、どうでしょうか?)
で、そんな「らしさ」と監督の愛が詰まっていると感じる部分としてはやはり音楽の使い方とかタイプライターで打ち込む『ルパン三世』のロゴの出し方。
ルパンのキャラクターや不二子、次元、五右衛門、銭形等お馴染みキャラクターの使いところや登場シーンのあるあるや、皆が親しんできたあの『ルパン三世』そのものの完全再現なんですよね。
とりわけ今回『ルパン三世』の映画公開としては22年振りとかなり間が空いた分久しぶりの再会気分に浸りたいというのがファン心理としてはあるハズなんですよ。
その点で2019年には『シティハンター』の新作が話題になりましたけど、あれなんか正にオヤクソク満載でかつてのファンにとってのサービスがかなり行き届いておりましたよね。
この『ルパン』なんかも鉄板音楽がある分、大野克雄によるお馴染みのテーマ曲によって一気に気持ちが高ぶるわけですよ。
で、オリジナルキャストの声優陣もさる事ながらゲスト声優の広瀬すず藤原竜也吉田鋼太郎の面々もキャラクターに合っておりました。
時代設定に関してもナチスの残党がヴィランとして登場する辺り、戦争系映画に定評のある監督らしさを作品に反映していたなと思います。
で、各登場人物の行動動機の共通点として過去との対峙というものを落とし込み、なるほど作品としての一貫性なんかも感じさせますね。
映画の尺もちょうど良いし、全体的なテンポも良かった。
ドラクエ』では挑戦的な試みをし、それがファンの反感を買ってしまったのは事実ですが、本作は忠実に『ルパン三世』の世界観を崩さず、その結果が功を奏した形になりました。
ただ、一方では気になる点もありまして、某カップラーメンの描写ですよね。
いや、それ自体はいいんですよ。
『天気の子』でも有名商品がかなり登場してそれが妙に美味しそうに見えたりとかありましたけど、この『ルパン三世』の場合、商品と時代設定が合ってないんですよね。
一応、1960年代が舞台ではあるものの、その某カップラーメンが普及するのって日本では1970年代前半(正確に言えば浅間山荘事件の時です。)
ましてや本作の舞台ってヨーロッパであり、その商品が海外で人気になるのってかなり後なんですよね。
そういうところが気になっちゃいました。
まぁ、他にも気になる点がないと言えば嘘になりますが、しかし映画自体は悪くなかったです。
ドラクエ』の評価の挽回は出来たのではないでしょうか。