きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ドラゴンクエスト ユアストーリー

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1986年の第1作発売以来、シリーズを重ねて国民的RPGとして人気を誇る「ドラゴンクエスト」の5作目で、92年に発売された「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を原案に3DCGアニメ映画化。総監督に山崎貴、監督に八木竜一、花房真と「STAND BY ME ドラえもん」を手がけたスタッフが結集し、オリジナルゲームの生みの親である堀井雄二が監修、同じく「ドラクエ」テーマ曲などで知られる作曲家すぎやまこういちが音楽を担当した。声優は佐藤健有村架純、波瑠、坂口健太郎山田孝之ら豪華俳優陣が務めた。少年リュカはゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母マーサを取り戻すため、父パパスと旅を続けていた。しかし、道中での魔物たちとの激闘により、パパスはリュカの目の前で非業の死を遂げてしまう。それから10年後、故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」と書かれた父の日記を発見。パパスの遺志を受け継ぎ、冒険へと旅立つ。次々と立ちはだかる試練の数々、ビアンカとフローラをめぐる究極の選択など、リュカの壮大な冒険が描かれる。
(映画.comより)

今でこそゲームを全くやらない私ですが、かつては寝ても覚めても…とまでは言わないまでも、ゲームを日常的にやっていた時代がありました。
とりわけよくやったのが、やはり『ドラクエ』でして、特に3~6までは何回もプレイしたものです。
もちろんこの映画の題材となってる5なんかはかなりやり込んだものです。
したがってこの映画にはかなりの期待がありましたね。
しかも、監督は山崎貴
つい先日、『アルキメデスの大戦』を見て、その出来があまりに素晴らしかったので、本作も楽しみに劇場へ足を運んだ次第です。

まず冒頭から。
ドラクエⅤ』の懐かしいゲーム映像によるダイジェスト。
そしてもちろん音楽も。
この段階では僕のテンションはかなり上がってました!
何しろこの映像や音楽に触れる事が20数年振り。
懐かしさとは時にかくも感動を与えるのかとばかりに僕は鳥肌と同時に目がにじんでくる程。
「前半の幼少期のエピソードをポリゴンではしょりすぎ」という意見もわかりますが、個人的には良かった!
そもそも映画という決められた尺の中でましてや原作の壮大なストーリーを考えるとある程度の省略はやむなしと思います。
むしろ、その部分を映画の延長戦でCGを使ってやるより原作の今見たらアナログ的なポリゴンを使う辺りに当時、プレイした人へのサービス精神を感じ好感がありましたけどね。

そして本題となるストーリーが始まりますが、以前の『ドラえもん』の時もそうでしたが、3DCGになると妙にキャラクターが可愛くなるんですよね。
多少の違和感は禁じ得ませんが、でも『ドラクエ』の世界観は巧く表現されていたし、『ドラクエ』をやった事がある人なら誰もがわかるあるあるネタを盛り込んだりと思わず笑みが浮かぶ様な光景もしっかりと表現されています。
原作のストーリーに必ずしも忠実ではありませんでしたが、その昔1990年頃にやってたアニメ版の『ドラクエ』なんかも完全オリジナルだったし、まぁこれはこれでありかなといったところ。
ただ、『ドラクエV』における名シーンである父・パパスの死があっさりし過ぎたせいで今ひとつ感動出来なかったのとその後のヘンリーと奴隷になるくだり、あそこってゲームだとその音楽も相まってかなり絶望的で悲壮感漂う場面なんですよね。
ところがこの映画だとそこまでの重さがうまく表現出来ていなかった。
そこが何とも残念でしたね。
後、これは個人的な願望なんだけど、主人公とヘンリーは対等な関係であってほしかった。
主人公が「ヘンリー」と呼び捨てにするクセに会話する時は敬語ってのが何で?て感じ。
ちなみに僕が『ドラクエⅤ』やってた当時のイメージとしては主人公とヘンリーの関係は身分を超えた「ツレ」ってイメージでした。

ビアンカとフローラさぁ、どちらを選ぶ?問題ですね。
これはいまだに同年代のヤツと『ドラクエ』の話しをすると出てくる話題(笑)
ドラクエ』というシリーズはいちゲームの枠では計れない物語性があるのですが、これはその最たるものです。
でもその実、フローラという女性はゲームを進めている過程でひょっこり現れるのに対し、ビアンカは子供の頃からよく知る間柄。
僕はどうしても情というものが先に立つのでしょう。
ドラクエⅤ』は何回もやってますが、その都度ビアンカを選択していました。
この映画に関しては、フローラが登場するにあたって改変がありました。
でもその方が、ストーリーとしてはスマートになりましたね。
良い改変だったと思います。

CGに関しては見事でした!
とりわけドラクエならではの繰り出される呪文の数々。
ベギラゴンバギクロスメラゾーマetc
ゲームで度々使ってきたこの呪文がCGで再現となると難しいものがあったハズ。
しかし、そこをかなり迫力たっぷりに見せてくれました。

佐藤健有村架純、波留等々の人気俳優陣を起用しながら新しい『ドラクエ』の世界を見せてくれた素晴らしい作品。
何よりもう随分長く『ドラクエ』をやっていない僕に懐かしさと感動、そして久しぶりに『ドラクエⅤ』をやりたいなぁと思わせてくれたそんな作品でした…。そう、あの時がくるまでは…。



実はこの映画、後半ははっきり言って闇です。
ん?大魔王が世界を絶望で支配するそんな闇?
いや、違います。
それはあくまで作中における登場人物への闇じゃないですか?
この映画を見ている僕らを徹底的に陰鬱な気持ちに陥れる、下手なホラー映画を見るより遥かに怖いそんな闇です。
映画もいよいよクライマックス。
大魔王・ミルドラースとの戦いを残すのみ。
すると『ドラクエ』の世界観にはまず似つかわしくない言葉。
一瞬何が起こったの?と困惑してたら、更に不可解な現象が。
「えっ、何これ?レディプレイヤー1?シュガーラッシュ:オンライン?」
あ~~~~、もうこれ以上は言いません!
見るも恐怖語るも恐怖です。
これ、子供が見たらトラウマですよ!
で、実際これがかなりショックを与えたのでしょう。
真っ暗なスクリーンがざわざわするという異様な光景に。
上映終了後も何とも言い表せない様な空気。

で、僕もやはり皆さんと同じ心境でしたが、同時に「すげぇもん見た!」という肯定的に捉えた面もあるんですよ。
僕が映画を日常的に見る様になって10数年。
その中でもここまでインパクトのあるラストは見た事がないですよ!
約100分の時間で映画の世界に引き込んでから完膚なきまでに叩き落とすんですよ。
山崎貴自身が大魔王なんじゃねぇの?というww

それと同時に腹立たしい限りの不快感。
お金払って映画見て俺達の思い出を踏みにじられる様な行為じゃん。ふざけんなよ!という面。

最高と最悪、肯定と否定、称賛と罵倒が混在する様な問題作じゃないですか。
何てもの作ったんだ、山崎貴
ネットでのレビューを見ると否定的意見で炎上レベル。
でも僕はこの映画、ベスト級でもあり、ワースト級でもあるという何とも評価しづらい作品となりました。
よく実写版『デビルマン』や『進撃の巨人』と並列で語る意見も目にしますが、この二作とは単純に比較出来ないと思います。
この二作との違い。
圧倒的な技術を駆使し、質の高い映像を見せながらも最後の最後に『ドラクエ』的に言えばパルプンテをとなえてわけわかんなくしちゃった上でメガンテで自爆した、みたいな(笑)

今回は全ての人にはオススメしません。
特に『ドラクエⅤ』で遊んだ事ある人は相当な覚悟を持って鑑賞に臨んだ方が良いと思います。
2019年夏、後にまで語られる問題作が生まれました。
あ~、何だろすっげぇモヤッとするし、イラッとしたな~。