きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

アリータ バトル・エンジェル

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木城ゆきとによる日本のSF漫画「銃夢(ガンム)」を、同作の映画化を長年にわたり熱望していたジェームズ・キャメロンの脚本・製作により、ハリウッドで実写映画化したアクション大作。監督は「シン・シティ」のロバート・ロドリゲス。主人公アリータ役は「メイズ・ランナー」シリーズのローサ・サラザールが務め、いずれもオスカー俳優であるクリストフ・ワルツジェニファー・コネリーマハーシャラ・アリが共演。数百年後の未来。スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータは、サイバー医師のイド博士によって新たな体を与えられ、目を覚ます。しかし彼女は、自分の過去や今いる世界についてなど、一切の記憶が失われていた。やがてアリータは、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知り、そんな兵器としての彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。アリータは、あどけない少女の外見とは裏腹の驚異的な格闘スキルをもって、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。
(映画.comより)

元々は2018年年末に公開予定だった本作。
当初の予定より約二ヶ月遅れての公開となりました。
まずは20世紀FOXによるファンファーレとロゴが登場。
ここは凝ってましたね。
お馴染みのファンファーレが鳴り終わると「20」が「26」に変わり、背景も荒廃した街へと変わる。
本作の舞台となる2563年・26世紀へと誘ってくれます。
思えばこの20世紀FOXのファンファーレについて言えば、あの『ボヘミアン・ラプソディ』ではブライアン・メイによる演奏からフレディの「ヘイヘイヘイヘイ~」の掛け声により気持ちを高めてくれたものですが、たかがロゴとファンファーレ・されどロゴとファンファーレ。
ここ最近は作品の世界観を投影されたものがよく作られるな~と感じた次第です。

さて、巨匠・ジェームズ・キャメロンか久しぶりに手掛けた事でも話題の本作。
元々は監督のロバート・ロドリゲスが日本で生まれた原作をジェームズ・キャメロンに見せたところ、作品を気に入り、本作の製作に踏み切ったとの事です。
あの3Dブームを生んだ2009年の『アバター』以来、久しぶりの作品とあって期待に胸を弾ませながら鑑賞して参りましたが、さてさてどうだったでしょう。

予告でも再三目にしてきたアリータの姿。
目の大きさやサイボーグ特有の肢体を持つ為、やや見た目は怖い。
しかし、それはあくまで始めだけ。
基本的にアリータを中心にストーリーが展開され、彼女がサイボーグでありながらまるで人間の女性の様に感情の機微が描かれるし、一人の男性と恋に堕ちる。
するとどうでしょう。
あれほど不気味にすら見えていた彼女が次第に可愛く映り、ややもすれば萌えさえもする。
そう、この映画。
アリータを愛でる事が出来るかどうかで楽しみ方がかなり変わってくる作品だと思います。
そして何よりこのアリータ自体はCGで作られているのですが、まるで実態が存在しているかの様にリアル。
アバターなんかでもそうですが、やはりこういった特異性のあるキャラクターに息吹を吹き掛け、見ている人へ愛着を持たせるのはキャメロンの真骨頂と思います。

そしてバトルシーンなんかは見応えバッチリ!
基本的には敵も含めて特異性強いキャラばかりなのですが、最新のVFXでもって終始飽きさせないアクションが続く。
また、サイバーな街並みやモーターボールなる本作特有のスポーツ等どれを取っても素晴らしい!
ただ、欲を言えば26世紀という『ドラえもん』がやって来た未来よりも遥か先の時代の話しの割に今の南米辺りにありそうな街が出てきたり統一感に欠ける感は否めなかったですね。
しかし、全体を通しての映像は美しいの一言に尽きます。
昨年『レディ・プレイヤー1』或いは一昨年『ドクター・ストレンジ』を見た時にも思ったのですが、いわゆるVRの世界を具現化した時の映像美に関して言えばハリウッドの凄さというのはとんでもないなと感じます。
日本の技術ではなかなかここまでの物は作れない。
だから日本ではSFは育たないんですね。
いや、手を出さない方が懸命です。
日本には日本の独自の映画文化があるわけだから。

で、とにかく映像面での素晴らしさには太鼓判を押したいところですが、個人的にこの映画が好きかどうかで言えばあまり好きにはなれなかったと言うのが正直な感想です。
いや、もっとはっきり言います。
のれませんでした。

と言うのがキャメロンならではでもあるのですか、大味過ぎる脚本がね~…。
いや、一応大筋としてアリータという少女サイボーグの成長の過程を見守るというのはわかるんですよ。
一人の戦士として覚醒し、戦う。
果てはこの打ちひしがれた時代の救世主になる様な話しかと言えばそうでもない。
何というかまとまりがないんですよ。
バトルもあれば、この映画特有の見慣れないスポーツで競ったり、恋愛もする。
しかも、恋愛の対象となる男の子は人間の青年なのにサイボーグになってしまうし。
ストーリーが散漫になり過ぎてついていけなかったです。
2~3回程うとうとしました。
で、ただでさえ話しが散漫な上に、アリータの記憶探しの話しも出てくる。
まぁ、百歩譲って恋仲の青年・ヒューゴとアリータの間に300年前何かしらの因果関係があったとかならまだいいんだけど全く関係がないんだよね。
更にラストの方では如何にも感動げなストーリーを盛り込んでこちらのご機嫌を伺うんだけどそれに至るまでの過程が支離滅裂なもんだから感動も出来ないし、その感動げなシーンが何とも大味なんですよね。
何とも残念な印象が拭えない。

最後にまとめます。
アリータは思ってた程、グロテスクな存在ではなく、見る毎に可愛く思えてきます。
そしてそんな彼女が少女から大人へ。
成長を見守る気持ちで鑑賞に臨みましょう。
キャメロン一流のアクションシーンやVFXは必見です!
僕はこの映画の価値はそこにあると思っています。
映画をストーリー重視で見る人にはあまりオススメ出来ないです。

今回は辛口になりましたが、あくまで僕の感想です。
皆さんの目で是非劇場鑑賞をして下さい。