きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

マスカレード・ホテル

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東野圭吾のベストセラー小説「マスカレード」シリーズの第1作「マスカレード・ホテル」を映画化し、木村拓哉が初の刑事役に挑んだミステリードラマ。都内で3件の殺人事件が発生した。現場にはいずれも不可解な数字の羅列が残されていたことから、連続殺人事件として捜査が開始される。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介は、その数字が次の犯行場所を予告していること、そしてホテル・コルテシア東京が4件目の犯行場所になることを突き止める。犯人を見つけるためホテルのフロントクラークに成りすまして潜入捜査に乗り出した新田は、教育係である優秀なフロントクラーク・山岸尚美と衝突を繰り返しながら、事件の真相に近づいていく。ヒロインとなるホテルマンの尚美役に長澤まさみ。「HERO」シリーズの鈴木雅之がメガホンをとり、「ライアーゲーム」シリーズの岡田道尚が脚本を担当。
(映画.comより)

動員ランキング二週連続一位
木村拓哉の人気はまだまだ健在とばかりに目下大ヒット中のマスカレード・ホテル。
ワタクシも公開早々に見て参りました!
1月20日日曜日。
公開初週の週末とあってかなり多くの人が入ってましたよ。
そんな『マスカレード・ホテル』
どんな作品だったでしょう。
今週も張り切って行ってみよう!

昨年夏に公開された『検察側の罪人』という作品。
あの作品を見た僕が見た木村拓哉の印象をSMAPのキムタクではなく、俳優の木村拓哉像を見事に確立していたとお伝えしました。
これまでの木村拓哉のイメージを180度変える様な実直で深みのある人物像。
それでいてラストの意外性のある展開に「えっ、キムタクにこんな事させるの?」という驚きと共に新鮮さを感じたものです。
詳しくは過去のブログ記事を見て頂きたいのですが、ことこの『マスカレード・ホテル』においては『検察側』で見せた新たな俳優としての木村拓哉と以前のキムタクらしさがうまく調和した演技だったと思います。
前提として言えば木村拓哉が今回演じたのは新田という刑事。
ボサボサの髪に無精髭というややもすればアウトローな匂いを醸し出す跳ねっ返りの刑事なんです。
そんな彼が潜入捜査の為にやってきたのが今作の舞台となるホテル。
こともあろうに彼はそのホテルの顔とも言えるフロントを担当するわけです。
しかし、そんな格好でフロントに立たせるわけにはいかない。
整髪をさせ、ユニフォームをパリッと着させる。
すると見違える程スマートなホテルマンの出来上がりとなるわけです。

そんな彼を指導する言わば教育係となるのが、長澤まさみ演じる山岸尚美。
当然、そんな二人は価値観の違いから当初はぶつかったりもするのですが、次第に変化が生じてくる。
要は『HERO』等でこれまで見てきたお馴染みの展開ですね。
その辺りを見ると以前の木村拓哉が好きな人にとっては何とも取っつきやすい事でしょう。
「キムタクはこうでなくっちゃ」なんて安心感が生まれるかもしれませんね。
しかし、あくまで捜査の為、仕方なくホテルマンをやっている新田も接客の場をこなすうちにホテルマンとしての自覚が生まれ、人間としても成長していく。
そうなるとあの『検察側』で見せた俳優・木村拓哉へと変わっていきます。
とんでもなく理不尽な要求を客から突きつけられても応対する新田。
お客様をお迎えする上での姿勢も変わってくる。
その時はまさにホテルマンそのものになっていきます。

一方の長澤まさみについて。
僕はここ近年の長澤まさみさんはホント作品に恵まれているなと思います。
銀魂』シリーズではこれまでのキャリアでなかなか見せる事のなかったはじけたコメディエンヌっぶりを見せたかと思えば『50回目のファーストキス』で見せた真っ直ぐでピュアなヒロイン。
演技のバリエーションも豊富で、女優として今最も脂がのってる時期ではないかと思います。
この『マスカレード・ホテル』の上映前に流れた『コンフェディマンスjp』の劇場版の予告を見ても思いましたね。
で、そんな彼女が本作で演じる出来るホテルウーマンなんですよね。
これがまたキレッキレで良いんですよ。
はじめはギスギスしてるんですけど、新田のホテルマンとしての成長に相まって彼女もまた、次第に彼の捜査に協力する様に。
いつの間にか良いバディになってたりします。

他にも渡部篤郎小日向文世生瀬勝久前田敦子濱田岳、奈々緒、石橋凌笹野高史宇梶剛士梶原善松たか子等豪華キャストが勢揃い。
とりわけ木村拓哉松たか子の二人をこんな形で見るなんて!という驚きがありました。(ネタバレになるので詳しくは言いませんが)
ストーリー的にもわかりやすいですし、カップルで見るデートムービーとしても最適かもしれません。

ただ、ここからは敢えての苦言ですが、邦画の悪いところ。まぁ、邦画と十把一絡げにするのは良くないかもしれませんが、いわゆるテレビ局製作にありかちな粗が出てしまったのば事実ですね。
生瀬勝久演じるクレーマー気質の客が新田を罵倒し、土下座を強要するシーン。
こういうシーン自体もありがちなんですが、周囲の客が動きを止めて固唾を飲みながら棒立ちでこの二人を見続けるとか。
後、豪華キャスト勢揃いなのはいいけどキャスティングがドラマ寄り更に言えば三谷幸喜寄りかな。
いや、それ自体が悪いとは言いませんよ。
欲を言えばもっと意外性のある人が出てほしかったな…て思ってたら出てたわ、意外な大物。
しかもエンドロールに特別出演として。
でも、あの人一体どこに出てたんだ、誰か教えて~!!
ホント、誰もが知ってる超ビッグネームです!

それからこの映画、ホテルを舞台としてるだけあってホテルの見せ方が素晴らしい!
ホテルのロビーならではのあのキラキラ感!
少なくとも「こんなホテルに泊まってみたい」と思わせる様な見せ方でしたね。

それからホテルの宿泊客をいち出演者ではなく、彼らにまつわるストーリーを織り込んだ群像劇としても楽しかったし、ホテルの仕事を写し出したお仕事ムービーとしても見せてくれる作品でした。

後、個人的に良かったのが、エンディングでは敢えて主題歌をつけず、サウンドトラックからのインストゥルメンタルでしっかり終わらせてくれた事。
どれだけ内容が良くても主題歌が「あれ?」て感じだとすっきり劇場を後に出来なかったりします。
更にそのエンドロールでの背景画も良かったです。
テレビ型映画という点に不安はあったのですが、細部へのこだわりが感じられ、思ってたよりは良い映画でしたよ。