きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

シュガー・ラッシュ:オンライン

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人間たちが知らないゲームの裏側の世界を舞台に、アーケードゲームのキャラクターである悪役ラルフと少女ヴァネロペの冒険と友情を描いたディズニーアニメ「シュガー・ラッシュ」の続編。好奇心旺盛なレーサーでプリンセスのヴァネロペと、心優しい悪役キャラクターのラルフは大親友。ある日、ヴァネロペが暮らすアーケードゲームシュガー・ラッシュ」が故障し、廃棄処分の危機に陥ってしまう。シュガー・ラッシュを救うべくゲームの世界から飛び出した2人は、刺激的だけど恐ろしい危険も潜むインターネットの世界に足を踏み入れるが……。アナとエルサ、シンデレラ、白雪姫らディズニー作品やピクサー作品のプリンセスたちをはじめ、多数のディズニーキャラクターが登場する。前作も手がけた「ズートピア」のリッチ・ムーアと、両作で脚本家としてコンビを組んだフィル・ジョンストンが共同で監督を務めた。
(映画.comより)

個人的に好きなディズニー作品に『インサイド・ヘッド』(2015)があります。
この作品で度肝を抜かされたのは人間の脳内を舞台にカナシミやイカリといった感情を擬人化し、その中でドタバタ繰り広げたその発想力でした。
そしてその過程では人間の記憶あるある等を可視化したりと作った人の想像力には敬服したものです。

そして次は何とインターネットの中の世界を舞台にするという荒唐無稽な発想力。
そういうアイデアが無尽蔵に生み出されるクリエイターの凄さたるやですよ!

まぁ、インターネットの中の世界なんて言われてもピンと来ないかもしれませんのでその辺りを詳しく見て参りましょう。
例えば普段ネットを使用するにあたって検索エンジンを使いますよね。
そんな時に頭二文字程度を入力したらドバドバ~と該当しそうな言葉が出てきます。
それすらも検索してくれるキャラクターが登場します。
そして探してる単語が見つかってもそれを当たり前に思ってしまうのが僕達人間でもあります。
すると検索してくれた彼が言うんですよ。
「見つけてもお礼も言われないんです。」と。
まぁ、確かにそうだ。
今度からお礼を言お。「グーグルさんありがとう」みたいにね(笑)

で、そのグーグルと言えば。
出てくるんですよ。
グーグルもAmazonSpotifyも。
Googleを「ゴーグル」と読んじゃうラルフが笑いを誘ってくれるんですけどね。
ネットオークションも出ればYouTubeも出る。
好きな動画につける「イイネ」のシステムもあれば、TwitterFacebookも出てくる。 
何て楽しいんだ、ネットの世界!
それからネットという顔の見えない場所だから、好き勝手に書き込む罵詈雑言ってありますよね。
それが人間の醜さを現す象徴としても登場するのですが。
それからポップアップについてもしっかり可視化されます。
ラクにお金を稼げます」、「人妻と出会えます」、「確実にやせます」等々見た事ない人は居ませんよね。
そんなインターネットの世界には昼も夜もない。
常にきらびやかでかつて手塚治虫が描いた未来の姿をイメージさせる近未来都市そのもの。

そして更に見所と言えばディズニーの自虐を惜しげもなく披露するその太っ腹ぶり!
今やスターウォーズもマーベルも傘下に置く巨大エンタメ帝国・ディズニー。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートも出れば『スターウォーズ』からも大量にキャラクター投入。
ズートピア』のニックがなに食わぬ顔で歩いてたりする。
そしてディズニープリンセス大集合!
白雪姫にシンデレラに人魚姫、アナとエルサも居るしモアナもラプンツェルも!
それだけでも華やかなのですが、何とそのキラキラプリンセスの皆さんにパーカーやスカジャン、Tシャツを着せてしまうという大胆さ(笑)
更にディズニー映画ではまず見ない事はない急に唄い出すあのミュージカルシーンをもパロディにしてしまう。
でもこのシーンって別の見方も出来るんですが、ドレスを脱いでカジュアルな服装になるプリンセス達ってめっちゃリラックスしてるんですよね。
綺麗なドレスを着飾ってるプリンセスだってたまには解放されたいんですよね。
そしてC-3POがこの楽屋に居るプリンセス達を呼びに入った時、プリンセスの面々が口を揃えて「またドレスに着替えないと~」なんて事を口にしてたりする。
プリンセスだってたまには楽になりたいなんてシーンでもあるんですよね。
ちなみにこのプリンセス達の中でやや浮いてたのがメリダ
メリダがよくわからない事を口にするのを聞いたヴァネロペが何て言ってるのか他のプリンセスに聞くんですよ。
すると「私たちもわからないの、だって彼女だけ別のスタジオだから」と答えます。
そう、『おそろしの森メリダ』ってピクサーの製作なんですね。
いや~、そういうところも細かい(笑)
ちなみにこのプリンセスの楽屋に現れたヴァネロペを当初、不審者と思い各々が武器を手に戦おうとするのですが、ディズニープリンセスってキラキラしてるイメージがあるけど、それぞれ映画内では戦ってたりもするし、何気に戦闘能力高いんだよな~と改めて感じた次第です。


更にこれは前作でもそうでしたが、オールドゲームからもしっかりキャラを拾う。
ストリートファイターⅡ』のザンギエフがめちゃくちゃよく出てくる(笑)
ゲーム内では戦う同士の春麗とは「お前ら付き合ってんのか?」て位仲良いし、終盤にはゲームキャラを集めて読書会なんて開いたりします(笑)
更にヴァネロペとラルフの間ではザンギエフはムダ毛処理をしてるかどうかで話しが盛り上がったりするし。
後、ゲームキャラではソニックも登場してましたね。

2018年は『レディプレイヤー1』が話題となりましたが、一つの映画作品内で多様なキャラクターを登場させ、視覚的な楽しさを生み出す作品は今後も生まれるかもしれません。
ちなみにそういう映画っていくらキャラクター使用料使ってんだろう。
素朴な疑問…。

さて、この作品で描かれる肝となる部分について。
ラルフとヴァネロペは見た目こそ親子とも思える年の差ですが、二人は年齢を超えた大親友です。
彼らの友情が生まれたきっかけ等については前作に譲るとして、今作では二人の間にギャップが生まれていきます。
まず、好奇心旺盛で変化を求めるのがヴァネロペ。
対してラルフは前作で見つけた自分の居場所とヴァネロペとの関係を維持したい。
いわば保守的なラルフと革新的なヴァネロペ。
二人の考えがぶつかります。
両者の考えはいずれよくわかります。
しかし、そこにどう折り合いをつけていくかそれが本作においての最大のポイントでしょう。
心優しいラルフの行動がとんでもない事態を引き起こしてしまうのも事実です。
しかし、例えば友人でありカップルであり夫婦であり、二人の関係では考え方の相違という問題は避けては通れません。
その問題提起がしっかり描かれていました。

それからヴァネロペがネットの世界で友人となるシャンク。
彼女はレースゲーム「スローターレース」のキャラクターなのですが、『ワイルドスピード』に出てきそうなクールな女性レーサー。
僕は吹替版で見ましたが、菜々緒さんの雰囲気にピッタリでした!

ちなみにこの作品はエンドロールが流れてもすぐに立たないで下さい。 
ヒントを言えば「うさちゃんかわいそう~!!」
とだけ伝えておきます。

インターネットの世界で繰り広げられる一級のエンターテインメント作品。
この冬、是非親子でご鑑賞下さい。