きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

くるみ割り人形と秘密の王国

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チャイコフスキーのバレエで広く知られる「くるみ割り人形」を、ディズニーが実写映画化。監督は「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレムと、「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」のジョー・ジョンストンが務め、くるみ割り人形に導かれて不思議な世界に迷い込んだ少女の冒険を壮大なスケールで描き出す。愛する母を亡くし心を閉ざした少女クララは、クリスマスイブの夜にくるみ割り人形に導かれ、誰も知らない秘密の王国に迷い込む。「花の国」「雪の国」「お菓子の国」「第4の国」という4つの王国からなるその世界でプリンセスと呼ばれ戸惑うクララだったが、やがて「第4の国」の反乱によって起きた戦いに巻き込まれていく。「インターステラー」のマッケンジー・フォイが主演。キーラ・ナイトレイモーガン・フリーマンヘレン・ミレンら豪華キャストが脇を固める。さらにバレエ界からも、ミスティ・コープランドやセルゲイ・ポルーニンといったトップダンサーたちが参加した。
(映画.comより)

西洋ではクリスマスにくるみ割り人形を贈るという風習がある様ですね。
古く伝わる童話でもありますし、何よりチャイコフスキーのバレエで有名なくるみ割り人形
ところが、日本に居るとくるみ割り人形がどういう話しか知らないし、馴染みがないというのが正直なところです。
そこを、ピクサー・マーベルからスターウォーズまで取り込んでいく映画界の大帝国・ディズニーがその有り余る資金力と高い技術力をもって映画にしたのが本作『くるみ割り人形と秘密の王国』なのです。
物語は至ってシンプル。
母の死にショックを受ける少女が叔父の主催するパーティーに参加。
そこから非日常の世界に迷いこむというファンタジー作です。
まず、冒頭でこの主人公の少女・クララを端的に紹介する場面が登場します。
暗い屋根裏部屋。ピタゴラスイッチの装置を用いてその物理的根拠を弟に説明するシーン。
彼女が如何に聡明な少女であるかを物語る上で実に効果的なシーンであったかと思います。

その後、現実世界から異世界へ迷いこむ辺りも実にディズニーらしくサラッと違和感なくやってのけ、見ている側としても自然に物語の世界へと投入させていく事が出来ます。

その世界というのもディズニー的というのかイメージとしては、『アリス・イン・ワンダーランド』のそれに近かったなぁ。
とにかく色彩鮮やかでまさに絵に描いた様なおとぎの国感。
城の内装だって『美女と野獣』さながらのゴージャス感に満ちていて視覚的にも楽しめる。
様々な仕掛けも用意してあってそのポップ感なんかは好きな人にはとことんハマるんだろうなと思います。
更に本作において言えばCG帝国・ディズニーにしては(?)CG抑え目。
むしろ贅を尽くしたきらびやかな衣装であり、ゴージャスなセットであり、本来の映画的演出を余すところなく見せてくれるつくりです。

更に映画のテンポとしても悪くない。
無駄なシーンがなくサクサクと進む一方、コメディ要素も用意してあるので、飽きさせない。

また、クララに仕えるくるみ割り人形の兵士はここ近年のディズニーの傾向ですね、黒人を起用していますが、クララと彼の関係性もよかったですね。
亡き母に仕えていた彼。
当初はクララにも女王陛下として仕える一兵士としての登場でしたが、上下関係を嫌う女王・クララの「敬語をやめて」の命令を服従
あっさりバディの関係へと変わり、そこからは共に冒険を繰り広げていきます。
それでいて、ヘンに恋愛関係におとしこまない辺り
も懸命。
その脚本には好印象です。
それから敵の黒幕も最近のディズニー的でしたね。
端的に言えば『ズートピア』や『リメンバー・ミー』のパターン、これ以上言えばネタバレになりますからここからは広げないですけどね(笑)

また、ポップなんだけど妙にホラーというのが、本作の特徴でもありまして、例えば廃墟になった遊園地に表れる体が真っ二つに割れるピエロなんてなかなかカオスですよ。
かれこれ一年前になりますが、『IT~’それ’が見えたら終わり』って映画がありましたよね?
僕はあの作品を紹介する時にピエロとホラーの親和性についてかなり触れました。
だって、怖いもん、ピエロって。
メルヘンと恐怖って決して対極にはない事を語る上で、これほどぴったりなキャラクターっていないんですよ。
ピエロが夜道を走ってきてまともでいれますか(笑)
僕は無理です。
そしてこの映画ではこのピエロがポップにぴょんぴょん跳ねながら恐怖を与えてくる。
ホラーのツボ抑えてるなぁ(笑)

あらゆる要素てんこ盛りでいち映画としては非常に楽しめました!
そこは腐ってもディズニー。
良い感じにエンタメしてる!


しかし、最近見た映画でも群を抜いて面白かったかというとそうでもないんです。
もっと言えば物足りなさを感じました。
では、その辺りについて触れていきますね。

メッセージ性もあるし、演出とか装飾面はよかった。
しかし、テンポの良さが仇になって主人公の心理描写とか他キャラの深堀り、もっと描くべき部分を省略していたりそんな部分が否めません。
例えば、クララが母親からのメッセージの意味を理解した部分なんかあまりにあっけなくて、もっと盛り様はあったんじゃないかなと思うし、前述の様に冒頭で彼女が科学や物理に強いクレバーな子であるという振りが活きてないんですよね。
もっと見ている側にとっての目から鱗の戦闘方法を見せてほしいのにそれもないし。
そもそも後半の展開は何であんな行動に出たのかな?
俺の頭が悪いのかな?
他にはお菓子の国とか第四の国なんかはかなり大々的に登場するんだけど、花の国と雪の国に関しては全くフィーチャーされていないし。

なんて突っ込みたいところは色々あるけどま、いっか。

映画好きのいちオッサンがあれやこれや講釈垂れるよりもこの映画は子供が楽しんでナンボです。
色彩豊かでテンポもよく、ストーリーもシンプル。
笑える部分もあるし、ちょっぴりホラーな要素もあったりで飽きさせない作りである事は保証します!

この冬休み、ファミリーで楽しめる映画です!
おすすめです!