きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

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1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのジェイデン・リーバハー、『シンプル・シモン』などのビル・スカルスガルドをはじめ、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリスらが出演。

とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが……。

シネマトゥデイより


11月3日に日本公開され、高推移をキープし続け三週目に動員ランキング1位に輝いた話題のホラー映画『IT』。
後れ馳せながら先日鑑賞して参りました。
その日は祝日という事もあって多くの人で賑わっていたシネコン
本作も9割方の客席が埋まるという賑わいでしたが、驚くべき事にそのほとんどが10~20代の若者。
老若男女ならぬ若男女で埋められた劇場に突撃したアラフォー男。
さて、どんな作品だったのでしょうか。

本作は言うまでもなくホラー作品です。
ホラーと言えばやはり恐怖の対象と言うべきジェイソンや貞子の様なホラーアイコンが当然登場するわけですが、本作はピエロです。
ピエロと言えば遊園地やサーカスの人気者というイメージですが、そんなピエロ見ようによっては凄い不気味な存在だと思いませんか?
例えばあなたが夜道を一人で歩いているところ、背後からピエロが迫ってきたら滅茶苦茶怖くないですか?
それもアメリカで起こった殺人事件のイメージも起因してるのですが、本作はそんな殺人ピエロをモデルにしており本作に登場するピエロ・ペニーワイズはただただ怖いです。

冒頭では幼い兄弟のエピソードが始まります。
雨の日に兄が作った船を雨水に浮かべながら遊ぶ弟。
ふとした不注意から船は道端の溝に入り込んでしまいます。
何とか溝から船を取り出そうとするのですが、そこに現れるのが件の殺人ピエロ・ペニーワイズです。
そして幼い弟が犠牲になる様子はグロテスクな描写ゆえ胸を締め付けられる様な痛々しさを感じます。


その後は冒頭の兄弟の兄が仲間と共にペニーワイズと対峙する展開が中心となるのですが、彼らはクラス内においては決して満足な生活を送れていないいわゆるスクールカーストの下層部にいる子供達です。
乞音の症状があったり喘息持ちで病弱な子であったりヒロインの女の子も父親と確執があり、学内でもあらぬ噂を立てられていたり、転校してから友達も出来ず本ばかり読んでいるでぶっちょな少年も居たり。

そんな彼らはいつもいじめっ子にも目をつけられいじめの標的になります。
このいじめの描写も生々しく顔をしかめてしまいます。
ナイフで腹を切り刻んだりともはやいじめの範疇を超えてるので見ていて胸糞悪くなります。
このいじめる連中の思考はひたすら下劣で銃の練習台に猫を捕まえて標的にしたりする根っからのクズでありクソガキです。
そんな奴らですから当然報いを受けなければならない。
しかしその点はなかなか良く描かれており彼らはペニーワイズによりそれ相応の裁きが下されます。
あ~、よかった。このクズヤローと主人公の少年達の共通の敵がペニーワイズで最終的に共闘するという展開だったらかなり萎えるところですよ(笑)

ちなみに本作はホラーであると同時に少年達の成長ストーリーでもあります。
それぞれが心に闇を抱えながらもペニーワイズと恐怖対象との対峙から生まれる友情や強者へ向かっていく強さそして逞しく成長するまでの過程が丁寧に描かれており思春期を通り越した人であれば共感性が生まれる作品なのではないでしょうか?
スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』等に相通じるものがあります。

多少のご都合主義ややや上映時間が長いという感も否めませんが、作品自体は非常に良かったです。

決してグロすぎずカタルシスも生まれる作風が若い子に人気なのかな?と思いました。
早くも続編が予定されているそうなので今から期待が高まっております。