きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ミックス。

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ミックスとは?…男性一人と女性一人のペアで戦う卓球の種目のこと。2020年に開催される東京オリンピックの追加種目として採用されるなど、大きな注目を集めている種目でもあります。
このミックスとロマンティックコメディを融合させた作品がこの『ミックス。』です。
ドラマ『リーガル・ハイ』や映画『エイプリルフールズ』の古沢良太が脚本を担当、石川淳一が監督を手掛け、新垣結衣・瑛大のW主演で展開されます。

母・華子(真木よう子)のスパルタ指導により天才卓球少女として将来を期待された多満子(新垣結衣)は、母の死後、卓球とは決別し普通の青春時代を過ごし普通に就職し平凡な日々を過ごしていたが、会社の卓球部のエース・江島(瀬戸康史)に告白され付き合う事に。しかし、新入社員の美人卓球選手・愛莉(永野芽郁)に江島を寝取られてしまう。会社も辞め、田舎へ帰る多満子だが。


ハイ、というわけで新作『ミックス。』について語らせて頂きます。
まず、キャストについてですが、脇を固める面々が非常に充実してます!
広末涼子瀬戸康史永野芽郁真木よう子小日向文世蒼井優田中美佐子遠藤憲一吉田鋼太郎生瀬勝久、斎藤司(トレンディエンジェル)など。
そして主演は新垣結衣瑛太です。
何といっても注目はガッキーですね。社会現象ともなったドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(通称・逃げ恥)後初の映画出演ともあって実際、『逃げ恥』前と『逃げ恥』後では彼女に対しての注目度も期待度もその空気感そのものが変わってると思います。
そんなガッキーの魅力は満載で試合でのアクティブな彼女も恋愛要素を強めたかわいいガッキーも楽しめるし、ファンサービスの様に学生時代のセーラー服にガングロギャル、OL、チアリーダーそして卓球のユニフォームとコスプレもたっぷり盛り込まれているのでガッキーファンなら満足出来るのではないでしょうか。

個人的には中華料理店に居る中国人・楊を演じた蒼井優が印象的でした。
瑛太演じる萩原のひょんな一言から旦那の張(森崎博之)と共に卓球のコーチをする事になるのですが、キレッキレです(笑)
どう見ても達人級の上手さを持つ中国人そのものでエンドクレジットを見るまで蒼井優さんとは気づきませんでした。
他、広末涼子演じる吉岡弥生らフラワー卓球クラブの抱える卓球以外の生活にもブラッシュアップしてましたが、何故卓球をするのか?彼らにとっての卓球とは何か?がきちんと描かれており、キャラクターも明確でわかりやすかったですね。

ストーリー的には卓球と恋愛を文字通りミックスさせるという内容だけにテンポもよく飽きさせないつくりでした。特にラストは意外な展開でしたね。フツーこういうスポーツを題材にしたものって主人公側に有利に運びがちじゃないですか?しかし、本作では現実を見せつける様な結末となっております。敢えて王道的な展開を外し、それよりも試合を通しての主役二人や登場人物たちの人間的変化に重きを置くつくりは個人的には良かったですね。


ただ、その一方ではやはり気になる点もあるので拾い上げてみます。
まず冒頭。現在の多満子の目線で自分の生い立ちを紹介するシーンがあります。
スパルタ指導で卓球に打ち込んでいた時代の描写が登場します。
その時に「鬼の様な母親」で紹介した後、本当に鬼の顔を当て、消えると真木よう子の顔が現れるという描写があります。
あれ見た瞬間「うわ~、やっちゃった~」て思いましたよ。フジテレビ×東宝の組み合わせによるよくある悪い癖ですね。『グッドモーニングショー』とかに通じる様な(たびたび引き合いに出しますが)
まぁ、その後はしっかり見る事が出来たのでよかったのですが、アレ面白いと思ってやってるのでしょうか?
今作はリアリティを追求したいから卓球の試合で必殺技を繰り出したり荒唐無稽な描写は控えたとの事でそこは良かったのですが、冒頭のアレはいつもの東宝アンビリ作品にありがちな安っぽい演出に見えたので残念なところです。

後、遠藤憲一田中美佐子の落合夫妻の卓球に懸ける想いを描写するシーン。
実は悲しい事情があるんですよ。
二人が経営するトマト農園でのシーンで夫が妻に農園を縮小する話をします。
「跡を継ぐヤツも居ないしな」という言葉から二人には子供が居ない事がわかります。
しかし、後半になってようやく事の真相が明らかにされます。
そのシーンで見た人は事情を理解する事になります。
ただね、その描写もっと丁寧に掘り下げてほしかったなぁ。
少しくらいの泣き要素はあっても良かったと思いますよ。

それから少し細かいのですが、多満子の高校時代と思われる時の写真でガングロになってるものがあります。
前述の様にファン向けのサービスショットだと思いますが、現在28歳という年齢設定の多満子です。
その年齢の高校生時代ってガングロギャル居た?ガングロ流行ったのって2000年前後くらいじゃなかったっけ?
ま、そこは本当に細かいところです。作品には直接影響がないのでただのあら探しと言えばそれまでですね。

タイプとしては『ビリギャル』とか『チア☆ダン』の様な持たざる者が努力を重ねる事によって目標を達成するサクセスストーリーに近いのかな?と思ってはじめは見てましたが、どうやら少し違う様です。
それぞれの登場人物が自分の存在価値を見いだす為にまた様々な想いを胸にして卓球に打ち込んでいる
様子を描いた作品といった印象を持ちました。
大きな感動こそないですが、卓球を通じての人間描写という視点は良かったし、笑いドコロも押さえてて楽しく鑑賞出来る映画だと思います。
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