和月伸宏の人気コミックを佐藤健主演&大友啓史監督で実写映画化し大ヒットを記録した時代劇アクション「るろうに剣心」のシリーズ完結編となる2部作の第2弾。原作では緋村剣心が過去を語る形式で物語が進む「追憶編」をベースに、剣心が不殺の誓いを立てるに至るまでの物語と、彼の頬に刻まれた十字傷の謎に迫る。剣心に復讐するべく東京を総攻撃した上海マフィアの頭目・縁との壮絶な戦い。その理由は、剣心が「人斬り抜刀斎」と恐れられていた幕末へとさかのぼり、剣心が自らの手で斬殺してしまった妻・雪代巴の存在、そして十字傷の謎へと繋がっていく。かつての剣心の妻・巴を有村架純、シリーズ史上最恐の敵となる縁を新田真剣佑がそれぞれ演じる。緋村剣心役の佐藤健、神谷薫役の武井咲、相楽左之助役の青木崇高、高荷恵役の蒼井優、斎藤一役の江口洋介らおなじみのキャストも再結集。
(映画.comより)
はい、まずははじめにお詫びを申し上げます。
5月に『るろうに剣心最終章/The Final』を取り上げた時の僕のレビューにおいて、同作において次作にあたる『The Beginning』の映像使い過ぎじゃね?
なんて事を生意気にも指摘しました。
でね~、この『Beginning』を鑑賞した今。
私の心境は変わりました。
「あっ、あれで良かったのね」と。
要するに『The Final』で使ったBeginning映像は全く無駄な物じゃなかったんですよ。
むしろあれがあったからこそよりこのBeginningが際立つと言うかそれどころかBeginningを鑑賞する上で非常に効果的な意味があったんだなと本作を見て感じました。
『The Final』を見た直後の俺に言いたい!
「まぁまぁ、気持ちは分かるが、6月まで様子を見ろ」と。
で、本作は全ての『るろうに剣心』が始まる前の前日譚。
かつて人斬り抜刀斎と恐れられた剣心は何故人を守る為の刀へと切り替えたのかまた彼を象徴する頬に刻まれた十字傷の謎に迫るというもの。
時代も明治ではなく、幕末。
当然出会う前なので神谷薫等お馴染みの面々は一切登場しません。
で、最終章と銘打った二部作での上映の二作目ではあるものの、一作目の『The Final』とは全く別のストーリー。
なので本作『The beginning』を見てから『The Final』を見たとしてもストーリーの理解という面では全く問題がありません。
この辺りの鑑賞の順番云々に関しては各人にお任せはするものの、オススメの鑑賞方法がありますので、後述しますね。
さて、本作の内容に触れていきましょう。
まずは主人公・緋村剣心。
実はこの剣心ですが、これまでの『るろ剣』シリーズと同一人物ではあるものの、全くキャラクターは別物と言っていいかもしれません。
というのも、明治に入って神谷道場にたどり着いてからの剣心というのは戦闘中こそはクールな表情が印象的ではあるものの、それ以外は飄々としていてともすればちょっぴりおとぼけな面もある憎めないキャラクター。
しかし、幕末期の剣心は「人斬り抜刀斎」という異名からも察する様にまさに冷徹そのもの。
明治期に薫達の前で見せる穏やかな表情はないんですよ。
とにかく寡黙でピリピリしている。
その佇まいからは殺気が溢れ、近づき難い雰囲気。
更に年齢も若いので、役者としての真価が問われる様なところもあるのですが、そこはさすがの佐藤健さん。
終始険しい表情で人を容赦なく切り刻んでいく鬼の形相は悪化の一言でした。
とにかく血が飛び散り阿鼻叫喚の光景が広がる中での佐藤健のこの佇まいがこの狂気をより息を飲むものにしていましたね。
そして巴役の有村架純さん。
うつむき加減の表情と儚げな雰囲気。
既に『The Final』でそのお姿を拝見していたとは言え、彼女が大々的に登場するこの『The Beginning』で改めてこの悲哀溢れる有村架純の存在感に圧倒されました。
『花束みたいな恋をした』の有村架純さんが記憶に新しいところですが、全く対極のキャラクターですからね。
しかもどちらも有村架純以外考えられないというキャスティング。
改めて彼女の女優としての偉大さを感じさせてくれました。
ちなみにこの二人の舞台挨拶での絡みが印象的でして、有村架純さんは原作・アニメ共にかなりお好きな佐藤健さんから「巴ならこんな時はこういう表情するんじゃないの?」なんてアドバイスを受けていたそうです。
で、有村さんは舞台挨拶で明かしたのが「実は私、アニメ見てないてお伝えしてましたが、実はめちゃくちゃ見てました。だって見てると言ったら見た上でこれか?って健さんに思われるじゃないですか?」なんてるろ剣オタの佐藤健を意識して実は『るろ剣』好きを明かさなかったなんて微笑ましいエピソードがありました。
いやいや、有村さん佐藤健さんも『るろ剣』ファンも大満足な演技だったと思いますよ。
さて、他に本作の見所と言えば幕末の歴史的事件や人物を絡ませながらのストーリーの運びでしょうか。
高杉晋作・桂小五郎・新撰組と幕末の歴史が大好きな人にとっては馴染み深い面々が登場し、池田屋事件・禁門の変そして鳥羽・伏見の戦いと幕末の京都を舞台にすればまず欠かせないこれらの事象もうまく取り入れ、展開していきます。
純粋に時代劇ファンが見てもかなり楽しめる内容ではないでしょうか。
まぁ敢えて歴史好きな僕からすると龍馬暗殺も入れて欲しいところもあるのですが、原作にもないし、絡め様がないので仕方ないのかな?
また、これまでの『るろ剣』にもつまり明治以降にも登場する江口洋介演じる新撰組三番隊隊長・斎藤一との因縁も描かれているのでこれまでの作品から辿って本作を見るとより楽しめるのかもしれません。
さて、先ほど僕は最終章二部作のオススメの鑑賞方法があるとお伝えしました。
最後にそこに触れて今回はしめましょうかね。
まずは公開順に従って『The Final』を鑑賞。
キレッキレのアクションを心行くまで楽しみこれまでの登場人物達とのわちゃわちゃにほっこりし、劇中で挿入される巴とのエピソードをしっかりと脳内に刻みつけましょう。
その後に本作『The Beginning』を鑑賞。
『The Final』とはまた違う、緋村剣心の謎に迫りながら、『るろ剣』前日譚をしかと楽しんで下さい!
その上で再度『The Final』を鑑賞。
所見時に示された謎が解明されたり他にも所見時には気付けなかった色んな発見があります!
この鑑賞方法、強くオススメします!
尚、私は本作『The Beginning』を見てから、原作の一巻から読みたいと思いました。
つまり『るろ剣』入門編としても最適な一本かも知れません。
オススメです!