きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

太陽は動かない

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「怒り」「悪人」などで知られる吉田修一のスパイアクション小説「太陽は動かない」「森は知っている」を藤原竜也主演で映画化。謎の秘密組織AN通信。この組織に属するエージェントは心臓に爆弾が埋め込まれ、24時間ごとに死の危険が迫まるという。エージェントの鷹野は相棒の田岡とともに、死の危険を抱えながら「全人類の未来を決める次世代エネルギー」の極秘情報をめぐって、各国のエージェントたちとの命がけの頭脳戦を繰り広げる。鷹野役の藤原、田岡役の竹内涼真のほか、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、佐藤浩市市原隼人南沙良、日向亘、加藤清史郎らが脇を固める。監督は「海猿」「暗殺教室」「MOZU」など数多くのヒットシリーズを手がける羽住英一郎
(映画.comより)

まずはじめにお伝えするとこの映画。
今の時期大変貴重です。
撮影されたのが二年前。
つまりコロナ禍になる前とあって、これでもかと海外ロケのシーンてんこ盛り!
ブルガリアに行ったり、香港に飛んだり、インドだったり。
尚且つ日本版『ミッション・インポッシブル』か?と思わせる派手なアクションやダイナミックな爆破シーン等も楽しめる。
コロナの影響で洋画の公開が減少している中、洋画アクション好きの需要を満たしているのでは?なんて思いながら見ておりました。
藤原竜也竹内涼真のバディものでありこの二人が体を張って挑むアクションシーンの数々には息を飲みます。

そもそも日本の映画でスパイアクションもの自体少ないでしょ?
過去『海猿』や『MOZU』等で鳴らした羽住監督ですからね。
予告編で見た「ド~ン!」の期待を裏切らないつくりになっていたのではないでしょうか?

しかし、ドラマ末視聴だからでしょうか、映画としてはどうにも大味で映画全体を見た場合、乗り切れなかったきらいが私にはあります。
というのが主人公・鷹野の生い立ちを描くシーンがあります。
彼がAN通信のエージェントになるまでを知る上で初見でも理解出来る様にとの配慮を感じて確かに助かるのですが、その部分に尺を使い過ぎなんですよね。
しかも現状行われている出来事と行ったり来たりな見せ方をするもんだから現行のストーリーを追うのにノイズになる感が否めません。
個人的にはもっとアクションとサスペンスに特化したつくりの方が良かったかな?
もしかしたら原作がそういう流れなのかもしれないけど。

それからこの鷹野の不遇な少年時代から親の居ない子の保護についてを問う描写が見られます。
ここ最近のサスペンス系で多いパターンですが、ストーリーの中に社会的テーマや道徳を盛り込みというパターンですね。
悪くはないですが、本作での佐藤浩市が語るそれは無理があったかなぁ。
そもそもこのAN通信のエージェントって心臓に爆弾が埋め込まれてるんでしょ?
しかもミッションを遂行出来なければ直ちに爆破するという常に死と隣り合わせの過酷な生活を余儀なくされてしまうわけだよね。
佐藤浩市さんは一見言い事言ってる風なんだけど子供を危険な目に遇わせるだけのサイコパスにしか見えなかったんだよなぁ。

で最終的にこの映画の持つテーマは「生きる」という事。
エージェント達は毎日が生きるか死ぬかの過酷な中、日々を戦っているわけですよ。
ミッションをクリアすれば生き延びて失敗すれば例の「ド~ン」ね(笑)
それだからこそその日一日を生き延びる事に非常に大きな安堵があり、しかしまた次の日からはサバイバルな毎日が待っている。
この映画の様に極端ではないものの、我々の毎日だって実は同じでミッションを仕事と置き換えればやがてそれが命取りになりかねなかったりもする。
だからこそ毎日を真剣に生きないといけないし、緊張感を持たなきゃならない。
後から来るヤツに抜かれたり、仕事を失ったり。
ひいてはそれが社会からの抹殺を意味したりもするわけですよね。
だからね~、ちゃんと生きよ。
いい加減な事言って番組打ち切られん様頑張ろ(笑)

ともかく期待が大きかった分やや辛口にもなりましたけど、日本で本格的なスパイアクションを製作したチャレンジングな試みにはリスペクトの思いがありますし、圧巻のシーンの数々は一見の価値はあります!
是非劇場でご覧下さい!