きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

おとなの事情 スマホをのぞいたら

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世界18カ国でリメイクされたイタリアのコメディ映画「おとなの事情」の日本版。ある出来事をきっかけに結びつき、年に1度集まっている3組の夫婦と1人の独身男性。今年も楽しい時間を過ごすはずだったが、1人の参加者の発言をきっかけに、それぞれのスマホに届く全てのメールと電話を全員に公開するゲームをすることに。後ろめたいことは何もないと言いながらも、実は全員が絶対に知られたくない秘密を抱えており、自分のスマホが鳴らないことを祈っていた。スマホに着信があるたびにパーティは修羅場と化し、事態は予測不能な方向へと転がっていく。独身男性を東山紀之、50代のセレブ夫婦を鈴木保奈美益岡徹、40代の倦怠期夫婦を常盤貴子田口浩正、30代の新婚夫婦を木南晴夏淵上泰史が演じる。「バースデイプレゼント」の光野道夫が監督を務め、「世界から猫が消えたなら」の岡田惠和が脚本を担当。
(映画.comより)

今や日常生活に欠かす事の出来ないスマホ
スマホひとつで通話・メール・LINEはもちろんインターネットに音楽更には映画も見れる便利なツールです。
しかし、そんなスマホには各自個人情報等の諸々が詰まっており、当然他人に知られたくない事だってあるわけです。
しかし、そんなスマホを見せ合う事で生まれる悲喜劇が本作最大の見所です。
それではその昔付き合ってた彼女に携帯を見られぶちギレた事で喧嘩に発展そのまま別れてしまったこのワタクシが本作についてお話しして参ります。

イタリア映画が元ネタであり、それをそのまま日本の東京を舞台に置き換えた作品。
いわゆる旬の若手ではなく実力派の俳優陣を配してスマホを取り巻くスリリング劇を展開していきます。
近年スマホを扱った作品と言えば『スマホを落としただけなのに』のシリーズ二作がありますが、こちらはタイトル通りスマホを落とした事による想像を絶する恐怖を全面的に押し出しています。
一方、こちらは誰もが抱える秘密を暴いていく恐ろしさを我々に見せてくれます。
それは不倫であったり・妻に見せない夫と娘だけが共有する秘密であったりはたまた…?
このスマホを巡る心理戦とも言える駆け引きがたまらなくスリリングで見ている我々はただ固唾を飲んで見守るだけ。
そしてこの生み出された緊張感の中、時折覗かせるコミカルな描写に笑いを誘われます。
一見コメディなんだけどその実謎を仕掛けていくサスペンス要素も強かったりとこういう映画は嫌いではありません。
また、こういった作品て如何に伏線の張り方がスマートであるかが肝ではありますが、そこにもぬかりはない。
何気ない会話が後に非常に重要な意味を持ったりするのでそこにも意識を向けて頂きたいところ。

そして何と言っても序盤こそ和やかにしていたメンバー達の緊張感からギクシャクし出しそして修羅場へと化していくまでの過程はまさに人間の本質を表している様で恐ろしいです。

ただ、強いて言えば離婚にまで発展しそうな事態が頻出しているのに話し合いで綺麗にまとめようとする辺りはやや強引なきらいが否めないですかね。
事態の深刻さとその後の解決までのプロセスが乖離しているなと。

今回は映画ではありましたが、舞台演劇向きかなというのも感じましたね。
このパーティーではひとつのテーブルを囲み参加しているメンバーがこのスマホデスゲーム(と言うべきかな?)に参加しています。
つまりは会話劇が中心なんですね。
場面転換もそこまで大きな動きも見られず、観客は終始彼らの会話や動きを注視するのみです。
徹頭徹尾そのやり取りのスリリングさを楽しむという流れになるので映画よりむしろ舞台で映える作品かなと思いました。
もっとも僕は本家のイタリア版を見ていないのでそちらではどの様になっていたかの比較が出来ないのですが。
でもだからと言ってこの映画が悪いわけではない。
読めない展開は十分楽しませて頂きました。
近年のLGBTの問題にも触れていたりと濃い内容ではありました。
そしてやはり実力派キャストの面々による演技がこの作品を徹底して盛り上げてくれてました。
そして僕は思いました…。

どんなに気になっても決して他人のスマホなんて見るもんじゃないなと。

スマホは便利…だけど怖いそんな事を思いながら劇場を後にしました。