きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

約束のネバーランド

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テレビアニメ化もされた「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミック「約束のネバーランド」を実写映画化。自然の中に建てられた楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」。そこで暮らす子どもたちは、母親代わりの優しいイザベラを「ママ」と呼んで慕い、いつか里親に引き取られる日を待ちわびている。年長者のエマ、レイ、ノーマンも、外の世界で待つ幸せな暮らしを信じていた。ある日、里親が見つかり孤児院を去ることになったコニーを見送ったエマとノーマンは、彼女が大切にしていた人形を忘れて行ったことに気づく。コニーに人形を届けるため、近づくことを固く禁じられていた「門」へ向かった2人は、そこで無残にも命を奪われ、食料として出荷されるコニーの姿を目撃する。彼らが楽園だと信じていた孤児院は、実は「鬼に献上する食用児を育てる農園」で、ママは「最上級の食用児を育てる飼育監」だったのだ。全てが偽りだったと気づいたエマたちは、孤児全員を引き連れた無謀ともいえる脱獄計画に乗り出す。エマを「君の膵臓をたべたい」の浜辺美波、レイを「万引き家族」の城桧吏、ノーマンを「仮面ライダージオウ」の板垣李光人がそれぞれ演じる。「僕だけがいない街」の監督・平川雄一朗と脚本家・後藤法子が再タッグを組んだ。
(映画.comより)

2020年のエンタメ界は『鬼滅の刃』に終始したと言っても過言ではないですが、一方でこの『約束のネバーランド』も注目を集めました。
週刊少年ジャンプ」連載でアニメも大ヒット!
更に鬼が登場するなんて辺りも共通点が多いですが、『約束のネバーランド』は実写での映画化です。
しかし、思い出して頂きたい。
これまでどれほどの人気漫画が実写を試み、問題作となってきたか。
各々の作品こそ挙げませんが、興行的にも内容的にも失敗した作品は枚挙にいとまがありません。
この『約束のネバーランド』のポスターにも「禁断の映画化」なんて謳われている辺り製作するにあたって如何にチャレンジングな試みであるのか伺えます。

ちなみに私、さもこの『約束のネバーランド』を知ってるかの様に語りましたが、原作にもアニメにも触れていないといういつもの様に予備知識ゼロで鑑賞した次第でございます。

そんな僕の目から見た映画評となる事をはじめにお伝えしておきます。

さて、この『約束のネバーランド』という作品。
ジャンルで言えばダーク・ホラー・ファンタジーといったところ。
ファンタジックな舞台だけど怪奇的で全体的には暗めの世界観。
そして舞台となっているのは何処の国?
なんて気になりましたが、どうやら北欧の様ですね。
だから登場人物も全て西洋風のネーミング。
それを北川景子浜辺美波といった東洋・日本の俳優陣がキャストとして名を連ねストーリーを展開するわけですから、まずそこの設定に違和感なく没頭出来るかが本作を見る上でひとつの壁になるかもしれませんね。
数年前にあった『鋼の錬金術師』の様な東洋人のコスプレに終始しないかどうかがやはり本作を製作する上での手腕が問われる部分かもしれません。

しかし、それが人気俳優陣の演技により見事に違和感を払拭してくれます。
とりわけ主演の浜辺美波さんに関してはエマという少女が浜辺さんの実年齢よりかなり若いのでその辺りを気にしながら見ておりませんが、浜辺さんの演技力が見事にその課題をクリアーしている。
だからこそこちらも問題なくストーリーを追えるんですよね。
確かにはじめに金髪姿の浜辺美波ちゃんを見た時は「むむっ」なんて身構えていたのは事実なんですけどね…。
北川景子さんの優しいママとしての包容力と裏の顔においての不気味さの演じ分けも魅了されましたね!
最近の北川景子さんの作品だと昨年12月に評した『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』という作品がありました。
あの映画では綾野剛さんとバディ関係を築くクールビューティーな女刑事という役柄でしたが、同作とまた違った印象を与えてくれます。

そしてこのところ、映画の出演機会が増えている渡辺直美さん。
『新解釈 三國志』でもそうでしたが、ここぞというところで彼女が登場するインパクトはなかなかのもの。
今の日本映画界にはなくてはならない存在かもしれません。
そして男性陣に目を移すとレイ役の城桧吏さん。
鬼を退治するのが『鬼滅の刃』なら鬼と取引するのがこの『約束のネバーランド』。
この取引然り脱出の為の頭脳戦をする上で要になるのがこのレイなのですが、キレ者っぷりを遺憾なく発揮し、この脱出劇を大いに盛り上げてくれてました。
一方、ノーマンを演じたのは板垣李光人さん。
失礼ながら初めて名前を知りましたが、『仮面ライダージオウ』の方なんですね。
最近では舞台での活躍が多いそうですが、中性的な佇まいや日本人離れした風貌が西洋人のそれを醸し出しており、作品の世界観にもマッチしておりました。
そして本作で使われるCGやVFX等の技術はなかなか手が混んでおります。
鬼という抽象的な存在の具現化を見事に違和感なく成功させておりました。
このテの作品でとりわけ難しいとされる部分だとは思いますが、『約ネバ』の実写化においてファンが特に意識するであろうポイントかと思いますが、一定の評価は出来るのではないでしょうか。

そして後半の展開はかなりスピード感があり、ドラマティックな流れともなっていたので、原作を知らない僕としてはかなり楽しませて頂きました!
個人的には予告編でも目にしていたレイが火を放つシーン以降かな。
この放火シーンにおいてはトリックがあるのですが、その仕掛けを見せるくだりなんかは奇しくもちょうど一年前にやはり浜辺美波さん主演の『屍人荘の殺人』におけるおざなりな印象をふと思い出してしまいまして、あれに比べたら…ねぇ~なんてやめときましょか。

と原作末読の僕は割と楽しんで見る事が出来ましたが、もしかしたらコアなファンから見るとまた違う印象なのかもしれませんね。

まずは鑑賞する事をオススメします!