きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

とんかつDJ アゲ太郎

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テレビアニメ化もされたイーピャオ、小山ゆうじろうの人気ギャグ漫画を北村匠海主演で実写映画化。渋谷の老舗とんかつ屋の3代目・アゲ太郎は、弁当の配達で初めて足を運んだクラブで憧れていた苑子に出会う。キャベツの千切りばかりの日々を送っていたアゲ太郎は、音楽でフロアを盛り上げるDJたちのプレイに刺激を受け、これまで味わったことのない高揚感に心を動かされる。苑子のハートを射止めるため、アゲ太郎は、とんかつ屋の仕事もDJも精進し、豚肉もフロアもアゲられる「とんかつDJ」 になることを決意する。アゲ太郎役の北村のほか、山本舞香伊藤健太郎伊勢谷友介らが顔をそろえる。監督は自主映画「SLUM-POLIS」などで注目された「チワワちゃん」の二宮健。
(映画.comより)

今この映画を番組で取り上げるのはナイーブになりがちです。
出演者の不祥事はどうしても厳しい目を向けられがちですからね。
だけどその罪を犯したキャストには社会的に大きな非があるのは言うまでもないですが、監督をはじめとした製作陣及び共演者には何の罪もありませんし、むしろ彼も迷惑被られた被害者でもあります。
僕はこうした方々の名誉の為にも…なんて言うのはおこがましいですが敢えてこの作品を取り上げる事で興行的な影響を受けた点に何らかの救いになれば幸いかなと思っています。

というのは私自身学生時代にクラブDJをやっていたし、今でも趣味としてDJをやっています。
そんな身としてDJというともすれば一般層になかなか目が届かないカルチャーを映画にしてくれた事が嬉しくこの映画の公開を心待ちにしていました。
「DJって何をやるかわからない」とか「DJってレコード回してチェキチェキやってる人でしょ?」と思ってる方々に是非僕らDJのカルチャーを知ってもらいたいという思いは強くラジオ番組でもDJ MIXをオンエアしたりしてますね。
要するにDJとはクラブやディスコでレコードやCD最近だとPCとかUSBなんかもありますが流れる音楽を次々に繋いでお客さんを踊らせる人です。
しかし、自分の好きな曲だけを集めて次々に繋げば良いという事はなくその時その時のフロアの雰囲気とか選曲した曲の流れ更には繋ぎ方のテクニック等意外と求められるものは多いです。
つまり既存の音楽で自己表現し、それを駆使しながら現場の空気を読む能力が問われると言えばいいかもしれませんね。
そんなDJが映画の題材になるのは意外にありそうでなく、個人的な注目度はめちゃくちゃ高かったですね!
ストーリーはさる事ながらどんな曲が使われるのかキャストがどんなDJプレイをするか等々。
更にそこにとんかつというグルメ要素が加わる絶妙なグルーヴ感を期待しながら見に行きましたが、結果的には大当たりでした!

まず気になるDJ的な部分から注文するとクラブDJというアングラな世界の主役の光と陰を見事に映し出して決して華やかなだけではないという表現が見ていて共感出来ましたね。
きらびやかなクラブの人気DJ。
スポットライトを浴びながらフロアを湧かす華麗なプレイをする一方、お金はなくて住んでるアパートも追い出される始末。
リアルやな~。
ちなみに僕はアパートの追い出しこそなかったですけど常にお金はなかったですよ。
バイトして稼いでもすぐにレコードに消えちゃうんだもん(笑)
生活費よりレコードを優先しちゃうんですよ(笑)
で、レコード店での物色シーン。
僕らはレコ掘りと呼びますが、レコードラックに並ぶレコードを選ぶ時の手つきが早い早い。
これはジャケットを見ただけでアツいレコードかどうか一瞬で判断出来るDJの職業病みたいなものでいまだに僕はレコード店に行くとこれやってます(笑)
そんなDJあるあるがDJやってるとめちゃくちゃ共感するんですよね。
で、クラブのシーンで使われる楽曲について。
これは結構幅広く選曲されておりダンスミュージック好き以外の洋楽好きにも訴求するラインナップでしたね。
マルーン5ブルーノ・マーズから70's、80'sの懐かしドコロまで。
更に言えば映画館の大音量でしかもクラブのシーンで流れるもんだから僕なんかはかなりアガりましたよ!
出来る事なら椅子から立ち上がってその場で踊り出したいくらいでしたもん(笑)

以上の様にクラブやDJに馴染みがない人にもその文化がしっかりと伝わる様に表現されており音楽映画としても十分に堪能出来る内容でした。

そしてそこに加わるトンカツ描写ですが、これがね~めちゃくちゃ美味しそうなんですよ。
トンカツにも愛がないとこの撮り方は出来ねぇぞ~なんてニヤニヤしてました。
で、見事なのが、キャベツの千切りや卵を溶かす音、ジュ~ッととんかつを揚げる音それをリズムマシーンに落とし込み、ダンストラックにのせてサンプリングするというシーン。
これがめちゃくちゃカッコいいんですよ!
何とも言えないグルーヴ感があってね。
この発想はアリです(笑)

アゲ太郎を演じた北村匠海くんも良かったですね!
すっかりキミスイやふりふら等のイメージが付いている彼が挑む初のコメディですが、アゲ太郎のダサいけど愚直でまっすぐな奴感が見事に合ってましたね。
恋愛モノやシリアスなのもいいですが、今後もこういったコメディにバンバン出てほしいですね。
ヒロインはいつもの浜辺美波ちゃんではなく(笑)山本舞香さん。
これまでの作品だとヤンキーっぽかったりギャル路線だったりと跳ねっ返りなイメージの役が多かったですが、本作では渋谷のアパレル勤務のオシャレ女子。
渋谷の街やクラブという空間に絶妙にマッチしてましたね。
「米子からこんなコが出るんだ~、山陰もまだまだ捨てたもんじゃないぞ!」なんて見ておりました。

クラブやDJを知らないという方は多いでしょうが、原作がギャグ漫画であり本作も非常にコミカルに作られています。
音楽が好きならばこれを見てDJ機材を揃えてDJをしてみるなんて如何ですか?…ていうかそれを俺は望んでます(笑)

ちなみに本作はお腹を空かせて見る事を強くオススメします。
そして映画を見た後とんかつを食べに行って下さい。
めっちゃとんかつがうまく感じられます(笑)