きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

屍人荘の殺人

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デビュー作ながら「第18回本格ミステリ大賞」など3つの国内主要ミステリーランキングで1位を獲得した今村昌弘による同名ミステリー小説を神木隆之介浜辺美波中村倫也の共演で映画化。ミステリー小説オタクの大学生・葉村譲は、先輩でミステリー愛好会会長の明智恭介に振り回され、ホームズとワトソン気取りで学内の瑣末な事件に首を突っ込んでいた。同じ大学に通い、私立探偵の顔も持つ剣崎比留子は、2人に音楽フェス研究会の夏合宿への参加を持ちかける。実は比留子のもとには「今年の夏合宿で何かが起こる」との犯行予告が届いていたのだ。夏合宿がおこなわれる山奥のペンション紫湛荘へと向かい、3人は研究会のメンバーと合流する。そしてその夜、密室状態となった紫湛荘で惨殺死体が発見され……。監督はドラマ「99.9 刑事専門弁護士」シリーズなどで知られる木村ひさし。
(映画.comより)

今回、この作品を見てまず感じた事。
「これ、ネタバレなしで話すのムズくない?」
まぁ、そりゃサスペンスですからね、見ている人が登場人物と一緒にあれやこれやの推理を働かせる事が醍醐味なわけだし、そりゃむずいでしょうと突っ込まれそうですが、いやいやそれとまた違うムズさなんですよ。
というのもね、予告編の印象で受けるPerfumeの曲や浜辺美波ちゃんのコミカルな変顔や映画のコピーのキャッチーさから受けるそれとは全く異質の裏切りが次々と待ち構えていて、それを伝えるとどうしてもネタバレが避けられないんですよね。
しかし、そこを配慮しながらお伝えしていくと、まずこの映画。
浜辺美波ちゃんの可愛さがこれでもかと引き出されています。
思えば2017年の名作『君の膵臓をたべたい』によって一気にその名を広めた彼女ですが、以後『センセイ君主』からはコメディエンヌとしての魅力も開花させ、今年の5月に評した『賭ケグルイ』では天真爛漫でありながら、勝負の時には夜叉と代す女子高生を好演していたのも記憶に新しいです。 
興行的に成功した作品ではないですが、僕の中では邦画としては2019年公開作品の中でもかなり楽しませて頂いた素晴らしい映画でした。
スリリングな脚本等も効奏しましたが、何と言っても彼女の演技力に負う所が大きかったのではないでしょうか。
そして本作『屍人荘の殺人』ですが、剣崎比留子というミステリアスでありながらかなりぶっ飛んだキャラクターです。
しかし同時に闇の部分も抱える女名探偵といったところ。
独特なセリフ回しや間の取り方等非常に個性的で『賭ケグルイ』の夢子の路線を踏襲しつつもまた違った色も出ています。
それでまた彼女と神木隆之介演じる葉村譲との相性が非常に良いんですよ。
事件解決までのやり取りが非常にコミカルで楽しい。
監督が『TRICK』等でお馴染みの木村ひさしとあってコメディ+ミステリーという『TRICK』で慣らしていたとあってさすがお手の物といったところ。
木村ひさし監督で言えば今年秋に『任侠学園』という映画がありました。
あの映画も僕はドハマりしてこのブログでも大絶賛しましたよね。
基本テンポ重視のコメディ映画が好きとあってこの監督との相性はいい様です(笑)

ただ、これから先は鑑賞予定のある方は読まないで下さい。
ネタバレになる内容が含まれます。

個人的にはすごい楽しませてもらったし、脚本も良かった。
割とテンポ良く進み鑑賞しやすい作品でした。
ただ、あの『カメラを止めるな!』にインスパイアされました的なゾンビ映画要素絡めるのはどうでしょう?
しかも割とグロテスクな描写が見られるんですよね。
実際、この映画を見た親子連れが途中退場したなんて話しも聞きましたしね。
僕はコメディ+ミステリーにホラーまで加えるのか~とそのチャレンジングな試みに対しては好意的に受けとめる部分はありますが、何も知らずに見たホラー映画苦手な人には同情してしまうなぁ。
そこはやはり予告編でもこういう描写を示唆する何なりかの文言や映像は入れるべきだったのではないでしょうか。
後、明智恭介の登場シーンについて。
予告編、それから映画のトレーラーを見る限り三人で事件を解決するものかとばかり思っていましたが、まさかのバディものですよ。
中村倫也さんのファン、これは納得出来るのかな?
しかもラストのオチにも突っ込みドコロありありで。
でもね、何度も言う様に個人的には楽しめました。
神木君と浜辺美波ちゃんによるバディものとして見れば二人のコンビネーションは良いし、笑いどころも満載でした。
更に事件現場であるペンションに集まった登場人物のクズっぷり。
特に柄本祐さんなんかは良かったですね。
邦画特有の映像的なチープさはありましたが、個人的には悪くはなかったです。
ただ、しつこい様ですが、プロモーション上での問題点はありましたかね。

なんて冒頭ではネタバレしない様に…とは言ったものの抑えられずにネタバレ含むの内容になってしまいました。
オススメは出来ますが、好き嫌いが極端に別れる作品だと思います。
それを考慮した上で劇場鑑賞に臨む事を推奨します。