きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

決算!忠臣蔵

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忠臣蔵」を題材に、限られた予算の中で仇討を果たそうとする赤穂浪士たちの苦労を描いた時代劇コメディ。堤真一岡村隆史がダブル主演し、監督・脚本を「殿、利息でござる!」の中村義洋が務めた。元禄14年3月14日。清廉潔白な赤穂藩主・浅野内匠頭は、かねて賄賂まみれだった吉良上野介江戸城内で斬りかかり、即日切腹を言い渡される。突如として藩主を亡くした赤穂藩士たちは路頭に迷うこととなり、筆頭家老の大石内蔵助は勘定方の矢頭長助の力を借りて財源の確保などに努めるが、そうした努力や幕府への働きかけも虚しく、お家再興の夢は絶たれてしまう。それでも一向に討ち入る様子のない内蔵助だったが、江戸の庶民たちは吉良への仇討を熱望。しかし討ち入りするにも予算が必要で、その上限の都合上、討ち入りのチャンスは1回きり。予算内で仇討を成功させるべく奮闘する浪士たちだったが……。金欠に悩まされるリーダー・内蔵助を堤、ワーキングプアなそろばん侍・矢頭を岡村がそれぞれ関西弁で演じる。
(映画.comより)

久しぶりの時代劇です。
12月14日は赤穂浪士討ち入りの日ですしね、それにかこつけてというわけでもないですが、先日ディズニーの大ヒットアニメでごった返すシネコンで見てきました。
赤穂浪士の討ち入り。
これは日本人としては非常に馴染み深い仇討ちの話しですが、でもどういう経緯で大内内蔵助ら四十七士は立ち上がったのでしょう?
かつては年末の大型時代劇では定番の題材でしたが、今はそういうのもなくなりましたからね。
特に若い人は忠臣蔵そのものを知らないなんて人が居てもさして驚く事はないかと思います。

で、本作は主君である浅野内匠頭吉良上野介の一連の流れを描き、その後の討ち入りまでをコミカルに描くコメディ時代劇です。
それにしてもここ近年こういうタッチのコメディ時代劇増えましたね。
超高速!参勤交代』の辺りからかな、松竹の得意分野になってる感がありますね。

で、この映画。
忠臣蔵を題材にしながらも討ち入りから切腹に至るまでの忠臣蔵で最もドラマティックな部分をフォーカスするより討ち入りでどれ位の費用がかかるのかとか当時の赤穂藩の予算は如何ほどか?等経済に主眼を置く非常に斬新な見せ方で展開していくんです。
それも文だの両だのという単位で出されてもピンとこない現代人の為に現在の金額でも表示してくれる心遣いですよ。
時代劇は苦手という若い人や子供が見ても理解出来るわけですよ。

俳優・芸人という垣根を越えた豪華な面々が集結して繰り広げられるドタバタのコメディ風忠臣蔵といったところ。
でもかつてのエノケン・ロッパの時代にまで遡った軽演劇ってこういうスタイルなんですよね。

で、そんなキャスト陣の中では岡村隆史さんが良かったですね。
ナインティナインの岡村さんとして僕らは馴染んでるわけですが、ここでの岡村さんって非常に淡々としてるんですよね。
何しろ大石内蔵助役の堤真一さんはこの映画の予告編では「テレビとは違う岡村君を是非見て下さい」とプッシュしてましたからね。
とにかく淡々と朴訥とした雰囲気なんですが、僕はむしろこちらがより素の岡村さんに近いキャラクターなんじゃないかなと思って見てました。
普段は人見知りで寡黙、本人もネクラと公言しているくらいですしね。

で、内蔵助役の堤真一さんもキャラクターに合ってるんですよね。
個人的にはシリアスな演技をする堤さんも好きですが、コメディでより光る役者さんだと思ってまして、過去の作品だと40過ぎで漫画家を目指す男を演じた『俺はまだ本気出してないだけ』やバリ島で豪快で図太いけどハートが熱くて現地の人々から慕われてるアニキを演じた『神様はバリにいる』なんかはかなり好きです。
そんなコメディ俳優としての素地が見事に活かされた大石内蔵助だったなと思います。

他、阿部サダヲ石原さとみ濱田岳木村祐一板尾創路等々の布陣が楽しい演技を披露しています。

でも同時に個人的には映画的楽しさがそぎおとされてしまい、そこが何とも残念な映画でもありました。
吉本興業が製作に関わってるからでしょうか、笑いに走り過ぎる、そこはまだいいんですが、どう見てもテレビ的見せ方なんですよ。
西川きよし師匠の起用で大御所を立てたいのですかね。
「小さな事からコツコツと。」というセリフとかね。
それから斬新な忠臣蔵を作ろうという姿勢は買います。
だけど肝心な内容がね~、テンポが悪かったな~。
そもそもね~、武士にお金の勘定能力がなかったと言いたかったんでしょうけど、とにかく無駄遣いし過ぎだし、その無駄な散財シーンだけで一時間くらい尺使ってたりね。
誰が大石内蔵助の遊廓遊びを長々と見たいねん(笑)

後はなんぼこの忠臣蔵は従来の物と違って討ち入りのドラマティックさより経済的な部分に力が入ってるとは言っても討ち入りのシーン丸々カットしてナレーションで終わらせるのは嫌でしたね。
だって何だかんだ言ってもそれがあるから忠臣蔵じゃないですか?
それに討ち入りまでの紆余曲折をここまで時間かけて見せてるんだからその後の討ち入りと集団切腹がドラマティックになりそうなのにな~。
雑な編集が悪目立ちして何とも残念でした。

着眼点は良かっただけに惜しい映画でした。