きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ペット2

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ミニオンズ」「SING シング」のイルミネーション・エンターテインメントが手がけ、飼い主がいない間のペットたちが巻き起こす騒動を描いた人気アニメ「ペット」のシリーズ第2弾。ニューヨークを舞台に犬のマックスとデュークをはじめとした個性的なペットたちが、新たな仲間を加えて、さらなる大騒動を巻き起こす。監督は前作「ペット」や「怪盗グルー」シリーズを手がけてきたクリス・ルノー。日本語吹き替え版声優は、マックスとディーク役を務めるお笑いコンビ「バナナマン」の設楽統&日村勇紀をはじめ、佐藤栞里永作博美沢城みゆき中尾隆聖らが前作から続投した。
(映画.comより)

前作が公開されたのが、2016年の夏。
もう三年も前になるんですね。
シン・ゴジラ』、『君の名は。』というこの年を象徴する二作の狭間の時期に公開されるも、イルミネーションブランドで手堅く大ヒット。
動員ランキングでも二週連続の一位となりました。

僕もその時期に見に行きました。
今でこそイルミネーションから色んな作品が出ていますが、この当時はまだ『怪盗グルー』シリーズと『ミニオンズ』のイルミネーションというイメージ。
全くの新シリーズでしたが、人間達が留守の間に巻き起こすペット達のドタバタ劇をかなり楽しませて頂いたものです。
何と言ってもこの作品の面白さと言えば、本来言語を話さない動物達に人間達が勝手にイメージするであろう動物の性格やあるあるを上手く取り込み、動物達のコミュニティを形成させた上でハチャメチャなストーリーを展開させた点。
ペットが人間の留守中に何をしてるかなんて僕らは知りませんからね。
想像力豊かな人はこんなストーリーを造り出すんだなと感心したものです。
ちなみに動物題材として同年にはディズニーが『ズートピア』という大傑作を世に生み出しました。
こちらはかなり社会性も盛り込んだ深い内容であったのに対し、『ペット』はとにかくお気楽。
それでいてラストは心すくわれるオチがあったり。
翌年の2017年には『シング/SING』という僕の人生の中でもかなり好きな作品が公開されました。
こちらも動物を擬人化させた映画でしたが、音楽という題材でうまく動物達のキャラクターを作品に反映させてましたね。


前置きが長くなりましたが、『ペット2』です。
実は本作を見る前にやや不安がありました。
というのも前作『ペット』は単体の作品として十分良い作品ですし、正直続編でどういう話しが展開されるかわからない。下手したら前作の蛇足程度の話しで終わるのではないかという点。
もうひとつはイルミネーションスタジオでの前作『グリンチ』の失敗ですよね。
あれは正直イルミネーション大好きな僕から見ても残念でした。
詳しくは過去の記事を見て頂きますが。
そんな不安点を抱えながらの本作鑑賞です。

本作が前作と手法を変えてきたのはひとつのストーリーを作品全体に落とし込むのではなく、いくつか同時進行で話しを進めながら最終的にはひとつに結びつけていく群像劇の形を取った事でした。
なるほど、前作だけでお腹いっぱいになった人達へこの作品を楽しませる為には最善の手法だと思います。
ニューヨークという大都会でペット生活を送る動物達と田舎に生息する動物達を対比させるのもそっくりそのまま人間達に置き換えてみると色々と見えてくるものがある。
悪徳サーカス団へ売られようとするホワイトタイガーを移民問題を想起させる社会的なメッセージもしっかりと盛り込まれています。
イルミネーション特有のブラックジョークでもにやっとさせてくれます。
後、これはイルミネーション作共通で言えますが、人間とりわけ老女のキャラクターデザインが秀逸なんですよ。
実は僕は『ミニオンズ』で好きなキャラクターってエリザベス女王とか切符切りのおばちゃんなんですよね。
めっちゃ愛嬌のある顔で見ていて和んでくるんですが、本作で言えばネコハウスのおばあちゃん。
ひとつの家に大量の猫を飼うのはなかなか不気味な気もしますが、後半この猫達が大活躍。
おばあちゃんも超ファンキーになるくだりは笑いがこぼれました。

そして今回の主役はこいつじゃねぇの?と思わせたのが、ウサギのスノーボール。
前作では敵としてマックスとデュークの前に現れてましたが、飼い主が見つかり、すっかりペットになり、改心した彼は飼い主の影響でスーパーマンの様なヒーローに憧れます。
そのスノーボールがめっちゃ可愛いんですよ。
「悪いヤツは俺様がやっつける!」なんて息巻くのはいいですが、いざ悪者を見つけるとガクガクブルブル。
僕は吹替で見たんですが、『ドラゴンボール』のフリーザ役の中尾さんが声を担当してるもんだから、「あのフリーザ様がこんなチキン発言をwww」なんて見ていて微笑ましくなりました。
そんなスノーボールがマックス達と手を組み、敵と戦うわけですよ。
『少年ジャンプ』の漫画の典型みたい。
でも、嫌いじゃない(笑)

また、マックスとルークの旅先に居た猟犬・ルークも渋みのある存在を見せていましたね。
犬が雄叫びをあげる。
それは本来野生の犬であれば当然の行為ではあるんですが、都会の色に染まりきっているマックスにしてみればかなり新鮮な体験。
野生の犬としての在り方を教えるルーク。
初対面では悪い印象を持っていたマックスがこのルークを真似て遠吠えをするシーンが実は本作で最も印象に残りました。
ちなみにこのルーク。
僕が見た吹替版では内藤剛志さんが担当されてますが、字幕版ではハリソンフォードがしているそう。
そちらも気になるなぁ。

と、この様に見所満載ではあるものの、脚本の強引さは否めませんでした。
でもそれを差し引いても動物達が繰り広げるドタバタ劇やアクの強いキャラクターに鉄板のギャグ等々終始飽きさせませんし、見て決して損はないと思います。
3の製作も控えているそうなので、これからも楽しませてほしいと思うシリーズです。
この夏、家族揃って是非劇場でご覧下さい。