きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

トイ・ストーリー4

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おもちゃの世界を舞台に描くピクサー・アニメーションの大ヒットシリーズ「トイ・ストーリー」の第4作。ウッディたちの新しい持ち主となった女の子ボニーは、幼稚園の工作で作ったフォーキーを家に持ち帰る。ボニーの今一番のお気に入りであるフォーキーを仲間たちに快く紹介するウッディだったが、フォークやモールでできたフォーキーは自分を「ゴミ」だと認識し、ゴミ箱に捨てられようとボニーのもとを逃げ出してしまう。フォーキーを連れ戻しに行ったウッディは、その帰り道に通りがかったアンティークショップで、かつての仲間であるボー・ピープのランプを発見する。一方、なかなか戻ってこないウッディとフォーキーを心配したバズたちも2人の捜索に乗り出すが……。ボー・ピープが「トイ・ストーリー2」以来19年ぶりに再登場を果たすほか、物語の鍵を握るフォーキー、ふわもふコンビのダッキー&バニー、かわいいアンティークのおもちゃギャビー・ギャビーなど新キャラクターたちも続々と登場。数々のピクサー作品でストーリーボードアーティストを担当し、「インサイド・ヘッド」では脚本にも参加したジョシュ・クーリーが長編初監督を務める。
(映画.comより)

トイ・ストーリー』シリーズ待望の最新作登場!
なんて言っても本作はかなり賛否別れている様ですね。
それもそのハズ。
2010年の『トイ・ストーリー3』で見事な着地を見せた同シリーズ。
その続編をどの様に描くの?というのは個人的にも気になるところでした。
あのラストが素晴らしかったし、これ以上ストーリーの広げようがないだろという不安だってもちろん。
ましてや本作のキャッチコピーが「あなたはまだ、本当のトイ・ストーリーを知らない」ですからね。
そんなん言われたら過度なハードル上げちゃうけど、大丈夫なの?ディズニーさん?

でもね、結論からまず話します。
前作までの三作とは別のアナザーストーリーとしての『トイ・ストーリー』としては大成功でした。

まず、本作の冒頭の雨のシーンは素晴らしい!
「PIXER」のロゴからスライドさせる様に雨が降り続けるシーンが挿入される。
一見写真と見間違える様な美しい描写。
一気に気持ちが引き込まれていきます。

で、本作では新たな持ち主の元へと渡ったウッディー達。
その持ち主であるボニーが幼稚園で友達と馴染めず、一人で先割れスプーンを人形の様に顔を作り、遊び始めるわけです。
そのスプーンこそが本作から初登場のフォーキー。
ここで面白いのが、はじめから玩具として作られたものではなく、あくまで先割れスプーンという本来別の用途で扱われる道具を玩具にしちゃった点です。
玩具であれば子供と遊ぶという使命があるのですが、先割れスプーン先割れスプーン
食べ物を口に運ぶ為に使用され、その役目が終わればゴミ箱行きとなる。
故にフォーキーは自分の使命をわかっているので、何度も自らをゴミと言い、ゴミ箱へ向かおうとするところ、ウッディーに引き止められるのです。
これを見ていた時、自分はこう思いました。

「フォーキーは自分の役目をきちんと理解した上でゴミになる事も苦とは思わない。いや、それどころかゴミ箱へ行く事に喜びすら感じている。それを認めずボニーの為に玩具になる様引き戻す事は果たしてフォーキーの為にとって幸せなのだろうか?」

ゴミというと否定的な物の象徴の様に聞こえるけど、物によってはそれを受け入れるべきもの。
本作でのフォーキーなんてまさにそうであって、ましてや本人(いや、モノなんだけどね・笑)がそれを拒んでいるのに玩具になる様薦めるのは一見ボニーの為っぽく見えてもそれはウッディーのエゴであり押し付けになってしまうのではないか?と。

でも、これって実は別の答えがあるんですよね。
それはウッディー自身がボニーに遊んでもらえずクローゼットで眠り続けているという点。
これは大人が見てもよくわかるんだけど、子供の時に玩具を手にした時を思い出して下さい。
買ってもらった時は嬉しくて毎日の様に遊びますが、大抵飽きちゃいます。
新しい玩具が手に入れば今度はその玩具で遊んでそれまで遊んでたものはまた押し入れやおもちゃ箱の片隅に。
そして今やウッディーがそんな憂き目にあっているんです。
あのウッディーが綿ボコリまでつけてしまってる。
ゴミになる運命を受け入れるフォーキーなんですが、ウッディー自身は彼に自身を重ね合わせているんですね。
クローゼットに入り続け、自身の出番が回ってこない。(ちなみに余談ですが、指名されないキャバ嬢を重ねてしまった僕。あ、いかんいかんそんな作品じゃないんだ・笑)
たまにクローゼットから飛び出したら無情にもパパに踏まれてしまう始末。
かつてのアンディとの生活を考えたらひどい現実なんです。
そんな彼がいつゴミとして出されても不思議ではない。
しかし、ウッディーはそんな現実を認めたくない。
故にフォーキーを自分と重ねる事でその現実を払拭させようとしたと見るべきでしょう。

そして本作のキーパーソンと言えるのが久しぶりにシリーズに戻った羊飼いの人形ボー・ピープです。
3では登場しなかった彼女がどの様な道を歩んだのかがアナザーストーリー的に描かれていますが、本作における彼女の存在、それは非常に重要なのです!
シリーズを通して見てる人には彼女の再登場は嬉しかったんじゃないですかね。
割と前半になりますが、ウッディー達がアンディの家で彼女とお別れをするというシーンがありますが、このシーンは辛かったな~。
前半からめっちゃ切ないシーン出すなよな(肯定的に言ってます)
そして辛い時期を乗り越えた彼女。
その姿は是非作中で見て頂きたいです。

で、もういっこ。
このシーンも泣けたというのがありまして、本作のヴィランとして登場するギャビー・ギャビーという女の子の人形。
正直、彼女の造形ってちょっと怖いし、彼女が潜むアンティークショップのシーンなんかは確かにホラーがかっていたりするんですけど。
そのアンティークショップの孫娘との一幕がね。
う~ん、子供って残酷。
でも子供には当然罪はない。
だからこそ余計に身につまされるんですよね。
正直、このシーンは本作通じて最もショックであり、泣きそうになりました。

ウッディーとバズは当然ながらよく登場するし、ボーとの再会。更に新たに登場するキャラクターもかわいいんだけど、ジェシーやレックス、ポテトヘッドなんかの出番が少ないのは従来からのファンには物足りないかもしれませんね。

でも個人的にはかなり満足度高めの作品でした。
で、全体的に言えばめっちゃ切ない。
だけど明日への活力として自分自身を鼓舞させる様な面もありました。
今の生活がうまくいってないという人なんかには刺さる作品かもしれないです。