きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ザ・ファブル

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2017年度講談社漫画賞を受賞した南勝久原作の人気コミックを岡田准一主演で実写映画化。超人的な戦闘能力を持つ伝説の殺し屋ファブルは、育ての親であるボスから、1年間殺し屋を休業して普通の人間として生活するよう命じられる。もし誰かを殺したらボスによって処分されてしまうという厳しい条件の中、「佐藤アキラ」という偽名と、相棒ヨウコと兄妹という設定を与えられ、大阪で暮らしはじめたファブルは、生まれて初めての日常生活に悪戦苦闘。そんな中、偶然知り合った女性ミサキがある事件に巻き込まれたことから、ファブルは再び裏社会に乗り込んでいく。相棒ヨウコを木村文乃、ボスを佐藤浩市が演じるほか、山本美月福士蒼汰柳楽優弥向井理ら豪華キャストが集結。カンヌをはじめ数々の広告祭で受賞歴を持つCM界の巨匠・江口カンが監督を務め、「20世紀少年」「GANTZ」の渡辺雄介が脚本を手がける。
(映画.comより)

戦国武将でも軍人でもない岡田准一主演の最新作。もっとも前作の『来る。』もそうでしたけどね。
でも岡田くんと言えば近年こそ時代劇が多かったイメージですが、それこそ以前であれば『SP』とか『図書館戦争』の様なアクション系もこなしてきたわけでジャニーズきってのアクション俳優とも言えるわけですよ。
そしてここにきてこの『ザ・ファブル』。
アクションあり笑いありのエンタメ作品なんですが、以前『関ヶ原』で共演した役所広司さんからは「ぶっ飛んだコメディなんかにも出てみたら?」なんて言われてたそうですから、言わば彼が得意とするアクションと役所さんからの助言でもあったコメディに遂に出演となったわけですな。

で、本作に関して言えば原作を知っているかどうかで大きく評価が分かれる様です。 
原作の愛読者曰く「こんなのファブルじゃない」とか「悪くはないけど物足りない」、「監督からの原作愛を感じない」等々かなり辛辣な意見がある様です。
僕は、と言いますと原作を読んでいないどころか存在自体この映画で初めて知ったというレベルですから、それ故にかかなり楽しめました。

まず、出演の岡田くんに関しては言うまでもなく、アクションが素晴らしい!
冒頭の料亭でのアクションシーンなんかは圧巻のひと言でした。
で、これは演出的な話しですけど、ターゲットとなる人物を見るやその人物の性格や傾向、何秒で仕留められるかを『ドラゴンボール』のスカウターよろしく見定め、実際の殺戮へと運んでいく。
人を殺しておいて「お見事!」とは如何なものかと言われそうですが、(まぁ、そういう映画ですから・笑)その手さばきに圧倒されちゃいます。
そしてコメディシーンでもしっかり楽しませてくれます。
ファブルという殺しのエキスパートではあるものの、一般人とは明らかにずれまくっているのが彼。
イカは皮ごと食べるし枝豆も皮も食べる。
焼魚は頭から丸ごとかぶりつくという「ワイルドだろ~」てスギちゃんもたじろくワイルドっぷり(笑)
そんな人物を岡田くんが飄々と演じてくれます。
後、女子の皆さん。
岡田くんの肉体しかと目に焼き付けて下さいね(笑)

で、岡田くんの圧倒的存在感に目が向きやすいけど本作の男性陣は皆さん良かった!
向井理福士蒼汰柳楽優弥等々好青年イメージの強いキャストがまぁとにかくやさぐれたアウトローを演じるわけです。
僕が好きな映画に『アウトレイジ』があります。
北野武監督流の暴力と笑いと刹那に溢れた作品なのですが、最大の魅力は普段ヤクザイメージのない善人ぽい役者さんを悉く最狂のクズヤローをへと変えた辺りだと思います。
西田敏行塩見三省三浦友和椎名桔平加瀬亮國村隼等の名優を徹底的なヤクザにさせた上、罰ゲームさながらの殺戮方法で笑いに転じさせたあの不謹慎の上のユーモアはあの作品ならではのものでしょう。

なんて『アウトレイジ』評に変わりそうなので『ザ・ファブル』に話しを戻しますが、あの『アウトレイジ』を思わせるキャスティングと不謹慎ギャグの数々には持ってかれちゃいましたね。

とりわけ僕は福士蒼汰くんと柳楽優弥くんにMVPを差し上げたい。(当人らは俺から贈られてもいらんて言われそうだけど・笑)
いわゆるアウトローもの…と言っちゃいますけど、派閥同士の争いにおいてその組織の人間ならば容赦なく銃を向け、発砲させ無慈悲に殺す。
その中で決してかたぎの人間には手を出さないというのが暗黙の了解的なルールとして存在してたと思います。
ところがこいつらにはそんなルールをそれこそ彼らの所持するピストルでぶち破るくらいのものがありますからね。
正直、こいつらは本気で胸糞悪いです。
見ていて実に不快極まりないです。
でもそこまで見ている人の感情に忍び寄ってくる彼らの演技が見事だとも言えるんです。
彼らがいるからこそファブルのカッコ良さが際立ってきます。

一方、女性陣ですが、あくまで男臭いアウトローものだからと言ってしまえばそれまでですが、山本美月演じるミサキちゃんはまだいいです。
彼女は本来こんな泥臭い世界とは無縁のフツーの若い女性。
悪玉に囚われ、ファブルによって助け出される。
スーパーマリオ』で言うピーチ姫的ポジションですから彼女に武闘能力は求めません(笑)
木村文乃演じるヨウコがね~。
清純派のイメージが強い彼女のヤンキー風な雰囲気や佇まいは良かったですよ。
ただ、作中においてはただのお飾りというべきか全然活躍しないんですよ。
それどころか足手まといになっていたりもするし。
一応、ファブルとタッグを組んで殺し屋稼業に身を投じているというならば対等かせめてそれに近い活躍は見せてほしかったかな~。

あ、それから本作での佐藤二郎は周りのキャラが際立ちすぎてかなりフツーです(笑)
銀魂』なんかで見た二郎さんじゃない。
めっちゃフツーです(笑)