きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画賭ケグルイ

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月刊「ガンガン JOKER」連載の大ヒットコミックを原作とするテレビドラマ「賭ケグルイ」の劇場版。原作者の河本ほむらが原案・監修を手がけ、完全オリジナルストーリーで描く。「ギャンブルの強さ」で生徒の階級が決まる名門校・私立百花王学園。2年華組に転校してきたギャンブル狂の少女・蛇喰夢子は、学園の絶対的支配者である生徒会長・桃喰綺羅莉との対決を心待ちにしていた。そんな中、学園内で「非ギャンブル」「生徒会への不服従」を掲げる白装束集団「ヴィレッジ」が台頭。ヴィレッジ解体と夢子潰しをもくろむ生徒会は、全校生徒をタッグで強制参加させるギャンブルイベント「生徒代表指名選挙」の開催を宣言する。浜辺美波高杉真宙池田エライザらドラマ版でおなじみのキャストに加え、テレビドラマ「僕の初恋をキミに捧ぐ」の宮沢氷魚、「4月の君、スピカ。」の福原遥、元「乃木坂46」の伊藤万理華が新たに参加。「3D彼女 リアルガール」「ヒロイン失格」の英勉がメガホンを取る。
(映画.comより)

今回はちょっと異色な作品かもですね。
そもそも元々は僕の鑑賞候補からは外れていたんですよ。
じゃ、何で見たのか?

気まぐれです。

でも、結果的には良かった。
いや、フツーに楽しめましたよ、『賭ケグルイ』。
序盤では本作の舞台となる私立百花王学院の説明場面が登場します。
この学院の序列は全てギャンブルによって決定するという事。
勝者は学院内でのステータスが高まり、将来まで約束される。
しかし、負ければ家畜の如き扱いを受け、多額の借金を背負わされる。 
まるで『カイジ』の様な世界観でもあり、学園内で特殊な規定によって、カーストが形成されるという面では記憶に新しい『翔んで埼玉』に通じるものがあります。
高校生がギャンブルなんて!とか金の使い方がおかしい!とか眉をひそめたくもなりますが、あくまで架空の世界での出来事。
目くじらは立てないで、鑑賞したいものです。

で、前半部こそ学園を舞台にしながら、若手キャストがわらわら出るわけですから、スイーツ映画にも似たチープな作りだったりするわけです。
「あ~、見る映画失敗したかな~」なんて思っていましたが、学園あげての一大ギャンブルイベント・生徒代表指名選挙が始まってからは引き込まれていきましたね~。
まず面白かったのが、ギャンブルの種類が非常に多岐に渡っていた点。
トランプから紙相撲、カードジャンケン等々。
はじめのうちこそ「ギャンブルをやらない人間が、ギャンブル映画なんて見て大丈夫だろうか」という不安はありましたが、全く問題なし。
比較的シンプルな種類のものが多かったのもそうですが、何と言っても面白かったのが、対戦相手との心理的な駆け引き。
ここでのギャンブルはただの高校生のお遊びなんかではありません。
ギャンブルの結果により、自らの学園内での位置付けや人生そのものがかかっている。
勝てば天国、負ければ地獄。
このサバイバル合戦だからこその参加者の白熱した試合が楽しめるわけです。
そしてそのギャンブルに参戦する者たちのギャンブルへ導かれていく様々なドラマにも魅了されていくそんな内容でした。

とりわけ主演の浜辺美波ちゃんの演技は良かった!
彼女と言えば個人的にはキミスイでの演技に泣かされたクチなのですが、今作はお上品なお嬢様然としなからも、いざキメる時にはガラッとキャラクターが変わり、ドスの利いた演技で対戦相手の心理面をえぐり出し、追い込んでいく。
キミスイから二年、浜辺美波ちゃんの新たな一面を見ておじさんは嬉しいぞ!とまるで親戚の子の成長を見るかの様に胸が熱くなる(笑)

また、池田エライザさんの女帝ぶりもこの作品に厚みを生んでいましたね。

作品全体において覆っている絶望的なシーン。しかし、その中にも笑いが随所に盛り込まれていたりするので『カイジ』や『闇金ウシジマくん』等に見られたあの闇と絶望隣り合わせに潜む笑い。
言わばシュールレアリズムを追及したかの様な世界が展開されています。
作中における話しの運びなんかも上記2作品に共通した点がありましたね。
それからそこかしこに張られた伏線の回収も見事でしたね。
後半に畳み掛けられるヴィレッジの中心人物による応酬はスリリングであり、楽しませてもらいました。
また、サスペンス要素も盛り込まれており、浜辺美波演じる蛇喰夢子の名探偵っぷりにも引き込まれていきます。(コナンにピカチュウにどんだけ名探偵いんだよ・笑)
これまた浜辺美波ちゃんの演技力に感服するシーンでもあります。

ただ、どうしても気になる点はありましたので、最後に触れておきましょう。
後半のちゃぶ台返しの様な展開は悪くはないけど、ただあの試合を見せられるのはつらかった。
昔、ファミコンで負けが混んでくると投げやりになってわざとやる気のないプレイをする奴がいましたが、(そういう奴って嫌われてましたけどね・笑)それを見せられている様で苦痛であり不快でした。

それからヴィレッジと生徒会によるバトルシーン。
ヴィレッジは学園内で虐げられた人達の集団であり、そんな彼らが立ち上がり…なんて言う『グレイテスト・ショーマン』の「THIS IS ME」を思い出す様な場面てはあったけど、正直尺を使いすぎなきらいがありましたね。
そういうシーンもいいんだけど、その分ギャンブルでの対決シーンをもっと写しても良かったかもと思いました。
 

ただ、全体的には楽しめました!
ジャンルは違いますが、去年の今頃公開されてた『孤狼の血』でも感じたこんだけ面白いのに大規模で公開されていない勿体なさがありますね。

ところでこの学校には教師は居ないのか?と素朴な疑問を投げ掛けたところで今回は終了です。