きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

キングダム

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中国春秋戦国時代を舞台にした原泰久のベストセラー漫画を山崎賢人主演で実写映画化。紀元前245年、春秋戦国時代の中華西方の秦の国。戦災孤児の少年・信と漂は天下の大将軍になることを目標に掲げ、日々の剣術の鍛錬に励んでいた。王都の大臣・昌文に召し上げられた漂が王宮へ入り、信と漂はそれぞれ別の道を歩むこととなる。山崎が主人公の信を演じ、吉沢亮長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多満島真之介高嶋政宏要潤大沢たかおらが顔をそろえる。監督は「アイアムアヒーロー」「いぬやしき」「図書館戦争」などの佐藤信介。
(映画.comより)

正直、僕はこの映画を見るまでは不安だったんですよ。
不安要素はいくつかありまして、まずは原作末読である事。
でもそれは漫画の実写化を見る時は大抵そうですからね。
問題はそんな原作末読者が楽しめるかどうかです。
続いて中国史にはとんと疎いという事。
いや、歴史は得意なんですよ。
ただ、中国史に関しては…て所なんです。
三國志やらより日本の戦国時代とかを見た方が遥かに取っつきやすい。(ましてや本作が舞台となっている春秋戦国時代なんて世界史で習ってその名称だけは知っていても内実は知らないというくらい)
と、以上は僕自身によるところが多分にありますが、最大の不安点はというと古代の中国を舞台としている話しなのに何でオール日本人キャストなんだよ問題。
せめて日中合作で向こうの俳優さんもバンバン起用して大作感出してくれた方がよかったんじゃないの?


なんていくつかの不安点を出してみましたが、それは全て杞憂でした。
まずは原作末読問題。
登場人物やらは原作を読んである程度の相関図を描けるくらいにはしておいた方がより作品への理解が高まるのは確かかもしれません。
しかし、それが必要ないくらいライトにもわかりやすい作り。
ストーリーだって至極わかりやすい。
奴隷として生きる二人の青年・信と漂は天下の大将軍を夢見て日夜剣術の稽古に励んでいます。
ある日、二人を見た大臣の昌文君は二人のうち、漂だけを王宮へ連れていきます。
夢の王宮仕えをする漂だったが、変わり果てた姿で信の元へと戻ってきます。
そこには若き王・贏政(えいせい)の腹違いの弟である成きょうのクーデターが絡んでおり…といったのが簡単なあらすじですが、中国史云々なんてのは関係ない。
要は王宮でのクーデターを主軸に奴隷である信も関わり、成きょうの軍勢との対立を描く軍記ものであり、仲間を集め成きょうと戦いに行くなんていう日本人が大好きなRPG要素の強いファンタジーでもありました。

そして最大の不安点でもあったコテコテの日本映画臭くしないでくれ問題。
思えばここ数年、バトル系の実写モノは目も当てられない様な酷い作品を随分と見てきました。
ま、それゆえにという不安が強かったんですが、山﨑賢人とバトルものというのがイメージ的に結び付かなかったんですよ。
いまだに恋愛スイーツ映画のイメージが強い僕なんかからすると果たしてどうなんだというのがありまして、でもね結果的には良い意味で裏切ってくれた。
アクションもよかったし、奴隷の青年故のがさつや荒くれっぷりも、見ていて悪くはない。
かつて佐藤健が『るろうに剣心』という当たりを生み出した様にこの作品は山﨑賢人君の代表作になったのではないかと思っています。
他キャストも豪華俳優陣の名前が連なりますが、正直日本人キャストだけでこの映画をやるのはどうなんだ?と思ってましたが、全然問題ありませんでした。
山﨑賢人をはじめ、王の贏政と漂の二役を演じる吉沢亮高嶋政伸宇梶剛士加藤雅也石橋蓮司大沢たかお等の男性陣に橋本環奈、長澤まさみといった女性陣も光っていました。
とりわけ個人的には長澤まさみが印象的でしたね。
彼女は山の民の王として登場するのですが、バトルシーンにあいてのアクション等ワンダーウーマンを彷彿とさせる様。
彼女の身体能力の高さを最大限に活かした演出もさる事ながら無駄口を一切叩かないクールさが美しくもミステリアスな魅力が溢れていました。
それにしても戦う女というと何で衣装がエロいんでしょう…ま、いいんですけどね(笑)
ちなみに彼女の前作は『マスカレードホテル』。
そして近々の待機作は『コンフィデンスマンJP』。
この短期間でタイプの違う長澤まさみが見れちゃうわけなんですな。

さてさて、映画全体通しては非常に内容が濃いし、セットも見応えあるし何より前述の様にともすれば難しくなる題材を非常に丁寧に初見にもわかりやすく楽しくさせてくれる様なアプローチは非常に好印象です。
何よりエロい長澤まさみを見せてくれてありがとう!!…ってそっちかいっ!!

とにかく満足度の高い作品だったと思います。
ただ、敢えて突っ込ませて頂くのであれば、まぁ元が漫画だからなんて言ってしまえばみも蓋もないのですが、漫画的演出は何とかならなかったかなぁというところ。
例えば大沢たかお演じる大将軍・王騎がナタを振り回しただけで風が吹く様な演出とかね(笑)
まぁ、ストーリー上で邪魔になるわけじゃないからいいんですけどね。
後、橋本環奈ちゃんの俺口調に馴染むのに少々時間がかかったかなぁ。
それから信と漂の剣術稽古シーンが爽やかだし、奴隷としての本来過酷となるべくシーンにも悲壮感がなかったから天下の大将軍になりたいという夢にもリアリティがなかった。

でも気になる点があるとは言ってもトータル的には満足な内容でした。
冒頭に挙げた不安点の事なんかすっかり忘れ、気持ちよく劇場を後にする事が出来ました。