きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

翔んで埼玉

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パタリロ!」で知られる漫画家の魔夜峰央が1982年、当時自らも居を構えていた埼玉県を自虐的に描いたギャグ漫画として発表し、30年以上を経た2015年に復刊されるとSNSなどで反響を呼んだ「翔んで埼玉」を、二階堂ふみGACKTの主演で実写映画化。かつて東京都民からひどい迫害を受けた埼玉県民は、身を潜めてひっそりと暮らしていた。東京都知事の息子で、東京のトップ高校である白鵬堂学院の生徒会長を務める壇ノ浦百美は、ある日、アメリカ帰りで容姿端麗な謎の転校生・麻実麗と出会う。百美は麻実に淡い恋心を抱き、互いに惹かれあっていく。しかし、麻実が埼玉県出身であったという衝撃の事実を百美が知ってしまい、2人は東京と埼玉の県境で引き裂かれることとなってしまうが……。二階堂が男性である百美役をGACKTが麻実役をそれぞれ演じる。監督は「のだめカンタービレ」シリーズ、「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹
(映画.comより)

まずは私と埼玉県の結び付きを簡単に。
以前、東京足立区の北側に住んでました。
チャリで数分も行けば、川口市草加市
そして草加ではかなり短い期間ですが、仕事していた事もあります。
もし今、草加の駅前に行き、街をブラブラしようものなら大体の地理感覚は身に付いてます。
更に大学時代、友人が埼玉に住んでて遊びに行った事もあるなぁ。
そいつは東京の大学に通ってたんだけど池袋まで出てそこから山手線に乗り換えてキャンパスまで。
埼玉住まいの学生らしく遊びに出るのは池袋との事でした。
後、さいたまスーパーアリーナ椎名林檎のライブを見に行ったりしました。
つまり、埼玉には何度か足を運んでるし、それなりに(あくまでそれなりに)縁のある県なんですよね。
良い所ですよ~、埼玉。
草加せんべいはうまい!
でも、浅草の仲見世でしれっと東京土産として売られていたりして東京に取られちゃうのか?な代物なんですよね~。

今は埼玉からおよそ800km離れた島根でこのブログを通して好き勝手に映画を語ってるわけですが、
島根は埼玉より田舎だよ、近くに東京の様な大都会はない。でも出雲大社もあるし、宍道湖もある、お城もあれば海も山もある!世界遺産石見銀山もあるし、歴代で二人の総理大臣を排出しているんだぞ!
映画のネタにもなってたけど、巨乳の多さは埼玉より勝ってる(笑)
それに県庁所在地は漢字だぞ、恐れ入ったか、埼玉県人!

なんて埼玉をdisらせて頂きました。
前述の様に埼玉とは適度な縁があるから許してね(笑)

前置きが長くなりましたが、本題の映画『翔んで埼玉』です。
まぁ、埼玉を推してるわけだから当然ご当地映画です。
でも、これが単に埼玉のウリをどんどんプッシュしているわけではなく、むしろ超がつくほどの自虐ネタでもって埼玉県人がまるで戦前の共産主義者かはたまた江戸時代のキリシタンの如く大国・東京で迫害され、蹂躙されてしまう。
まぁ、これは原作者がこの作品を描いた時に埼玉在住でその埼玉をおもちゃに遊んでしまうという発想から生まれてるんですね。

そもそもの埼玉という成り立ちから始まるわけですが、1871年(明治4年)の廃藩置県までは現在の埼玉県、東京都、神奈川県東部は武蔵国だったわけです。
首都・東京は分離され、横浜は神奈川県に、そしておいしい所を全部持ってかれ、その余り物が埼玉県である旨の説明から入る辺りこの映画における埼玉県の認識が表明されるわけですよ。

そして、埼玉県の壮大な都市伝説がとある埼玉県の一家が乗る車から流れるラジオから聞こえてくる。
その都市伝説か本作のストーリーの核となる部分になるのです。

そしてそこで繰り広げられるのが前述の様なバーチャルな世界。
東京に入るには通行手形が必要で手形を持たず、入った場合は徹底的に弾圧を受けるというもの。
とある高貴な学校では江戸時代の士農工商はたまたインドのカースト制度を思わせる様な身分制度があり、同じ東京でも都市として成熟している場所に住んでいる者程、高いランクにつき、八王子等に住んでいれば校内での位置付けは低いと見なされる。
なんというヒエラルキー
しかし、不思議とそれが公然としたギャグとして成立してるので実際にその土地に住んでる人も不快にならない(恐らく)
その学校で生徒会長を務め、絶対的な君主として存在するのが檀ノ浦百美(二階堂ふみ)。
そして百美の前に現れるのがアメリカ帰りの帰国子女・麻実麗(Gackt)なのです。
そもそもこのキャスティングですよ、大体の実年齢40代半ばのGacktが高校生で、二階堂ふみが男子役。
いや~、なかなか無茶してる(笑)
ただ、ここでのGacktはかつて属していたMALICE MIZERの頃を思い出す様な風貌をしていて90年代のビジュアル系に愛着のある人ならば、そこに萌えちゃうかもしんないです。
他にも中尾彬伊勢谷友介ブラザートム麻生久美子島崎遥香京本政樹竹中直人等々豪華キャスト陣

で、舞台となる学校・白鵬堂学院というのが何でしょう。
ベルサイユのばら』的な、いわゆるステレオタイプで描く中世ヨーロッパ観とでも言うべきかな要は『パタリロ』的美意識を踏襲した様な世界なんですよね。
また、主たる二人が恋に堕ちるボーイズラブものでもある。
だけど、方一方は二階堂ふみなもんだからね。
一応、男子という役ではあるもののかなり可愛い。

そしてその後、展開されるのがライバル・千葉県との戦争。
これがまたね~、くだらないんだわ。
埼玉解放戦線 VS 千葉解放戦線というあたかも軍記モノを思わす様な壮大な名称でもって繰り広げられる。
何で戦うかと各県で生まれた有名人対決とかね。
「へ~、YOSHIKIって千葉県出身なんだ~」とか「反町隆史竹野内豊って二人共埼玉なんだ~」(言わずと知れた90年代に大ヒットしたあのドラマの二人ね)みたいに感心する反面、ネタ扱いされるゆうこりんと小島よしおに苦笑する(笑)
何てバカバカしいんだと思いつつ、楽しませてもらいました。

そして個人的に感じたのが東京に取り入る千葉県なんかは日本とアメリカの関係に似てるなと思いましたし、東京がこの千葉・埼玉戦争を政治利用しながら隣国・神奈川と手を組み、漁夫の利を得ようとするやり方なんかもアメリカっぽかった。
南関東という特定のエリアに限定させながら国際社会の縮図を写し出しているのかななんて思いました。
他にも千葉は海女さんが戦ったり、体の穴という穴にピーナッツを入れるという技があったり(笑)
神奈川県からは東京都知事崎陽軒の焼売が贈られたりします(うまいよねぇ、崎陽軒の焼売。)

そして後半のどんでん返しも楽しかったなぁ。
昔、筋肉少女帯に『日本印度化計画』って曲があったけどさぁ。
僕らが食べるガリ○リくんもよく行くファミリー○ートもお手軽に服を買えるし○むらも埼玉県の陰謀だったなんてね。

個人的に思ったのは同じ題材の関西編も見たいなと思ったなぁ。
大阪 VS 京都
大阪の援軍・和歌山と京都の援軍・滋賀。
近鉄とJRでどちらにもつけるので中立の奈良に阪神タイガース甲子園球場を大阪に貸しつつ、それ以外は一切関わらない兵庫みたいなね(笑)

とにもかくにも東京に近い関東南部でありながらこれというウリがない(ごめんなさい)埼玉県で遊びながら一級のコメディに仕上げる手腕は見事なモノ!
ラストで流れるはなわの「埼玉県の歌」も良い感じです♪

さぁ、キミも『翔んで埼玉』を見て埼玉県人ポーズを決めよう!