きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

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大ヒットファンタジーハリー・ポッター」シリーズの原作者J・K・ローリングが自ら脚本を担当し、同シリーズと同じ魔法ワールドを舞台に、魔法動物学者ニュート・スキャマンダーの冒険を描いた「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」から続く物語。アメリカからイギリスに戻ってきたニュートは、アメリカ合衆国魔法議会が捕らえた強大な魔法使いグリンデルバルドが逃げ出したことを知る。恩師のダンブルドアから特命を受け、パリに向かったニュートは、仲間の魔法生物たちとともにグリンデンバルドの行方を追う。前作に続きデビッド・イェーツ監督がメガホンをとり、ニュート役の主演エディ・レッドメインほかメインキャストが続投。若き日のダンブルドア役をジュード・ロウが演じる
(映画.comより)

まず、はじめに言っておきますが、ワタクシ映画好きを公言していながら、『ハリー・ポッター』シリーズをほとんど見ていません。
公開中の映画をマメに劇場鑑賞する様になったのが、せいぜいここ10年程度と言うのもありますし、ファンタジーが元々映画のジャンル中でも苦手なんですよね。
ハリー・ポッター』とかになるとシリーズ全てを抑えるのにかなりの時間と労力を徒す事になるわけですが、そこまでのモチベーションがないというのが本音です。
しかし、そんな僕がこの『ファンタビ』の前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を見たのが2016年12月。
『ハリポタ』の予備知識なしで鑑賞したのですが、思いの外、面白かったんですよ。
このシリーズ最新作『黒い魔法使いの誕生』について触れる前に前作『魔法使いの旅』の個人的感想を簡単にまとめておきますと、まず『ハリポタ』を知らない自分の様な人にも割と入り込みやすいストーリー展開が良かったです。
それから登場人物達が個性豊かでありながら比較的人物の相関等の整理がしやすかった。
そして何と言っても魔法を扱う際のCGが見応えありましたし、登場する魔法動物達が可愛かった。
かいつまんで言えばそんな所です。
つまり『ハリー・ポッター』シリーズではあるものの、前日譚として別物シリーズから始まりますよという顔見世興行的な側面が非常に色濃く、新規の人にも優しく受け入れの門戸が広いそんな作品だったと思います。

それを踏まえてのこの最新作。
果たしてどんな作品だったのでしょうか。

本作は『ハリーポッター』本編の舞台のおよそ70年前が作品の時代設定です。
前作では1926年のニューヨークが舞台でしたが、本作ではその翌年のパリへと物語の舞台が移ります。
それ故のレトロモダンな街並みが作品を盛り上げてくれます。
補足的にお伝えしますが、この『ファンタスティック・ビースト』のシリーズは全5作で構成され、最終的には1945年に時代の照準が定められていきます。
つまり第一次大戦後の時代から第二次大戦後辺りまで。
世界史的に最も人類が混乱し、多くの悲劇をもたらした時代でもあります。
黒い魔法使いの親玉として登場するジョニー・デップ演じるグリンデルバルドの不敵なカリスマ性、更に多くの魔法使いを集めて行われる演説なんかを見るとヒトラーを彷彿とさせます。
そしてその演説で象徴的なのが、その後の人類が歩む有史以来最大の悲劇を象徴的に表す戦車、戦闘機、更に原爆のキノコ雲まで映し出し、人間達の行いを危惧する場面もあります。
20世紀前期の激動の歴史はこの魔法使い達にどの様な影響を及ぼすのかが、このシリーズの見所になっていきそうな気がします。
それにしても、このグリンデルバルドを演じたジョニー・デップの存在感たるや何とも圧倒されました。
久しぶりにジョニー・デップの真骨頂とも言える怪演を見たなと思います。
個人的にジョニー・デップの作品で好きなのが、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)だったりするのですが、同作で見られるダークな役柄に映える人だと思うんですよね。
その意味では本作におけるキャラクターはジョニー・デップの雰囲気にピッタリ!
ジョニー・デップはこうでなくっちゃ!」と個人的には大満足でしたよ!

それから前述の様に前作の『魔法使いの旅』がハリポタシリーズを知らなくても割と気楽に見れたのに対して、本作はややハードルが上がります。
聞いた事のないフレーズがさも当たり前の様に飛び交うし、「ハリポタ見てる人ならわかるよね?」という様なシーンがちょいちょい出てくる。
もっとも勉強不足な僕が悪いのですが、ある程度の知識が試されるファンムービーの要素が強いのは否めないです。
そして作風が前作とガラッと変わってダーク。
アベンジャーズ』で言えば最新作の「インフィニティー・ウォー」にも似た絶望と背中合わせの重厚感とでも言うべきかな、黒い魔法使いことグリンデルバルドの存在も相まってそう感じさせる作風でした。

そして前作同様、魔法を操る際に出てくるCGの映像がとにかく美しくも迫力があります。
この映画の醍醐味とでも言うべきですね。
「魔法であんな事出来るの?」「えっ、マジかよ⁉」という驚きもありますし、ある意味ハリポタ弱者が故に楽しめたのかなという気もします。

更に、これは僕の様なハリポタ弱者にとってはになりますが、字幕より吹替で見る事をオススメします。
というのも登場人物の関係やら何やらとややこしいんですよ。
実はこの映画、二回程見てきたのですが、一度目は時間が合わず字幕で鑑賞。
その結果、情報整理が僕のキャパでは追いつかず、途中で挫折しました。
二回目は吹替で見て参りましたが、確かに耳慣れない用語の数々は出てきますが、まだ何とかなる。
もっとも前提として、前作を鑑賞してるからこその部分がウェイトは占めますけどね。

さて、そんな『ファンタビ』二作目なのですが、個人的に腑に落ちない点があったので、触れておきましょう。
超人的な魔法を操るキャラクターばかりの中で唯一フツーの人間(ここの世界ではノーマジと言う)として登場するジェイコブ(ダン・フォグラー)。
前作ではパン屋の開店を夢見るもなかなか厳しい現実で生きる労働者という設定でした。
しかし、遂には念願のパン屋を開業するもスキャマンダーによって記憶を抜かれたと記憶しています。
ところが本作ではまるで何事もなくしれっと登場するんですよ。
ニュートとの再会もまるで旧友に会ったかの様に「よぉ、久しぶり!」みたいなノリですよ(笑)
前作でのあの悲哀を帯びつつもしっかりと余韻を残してくれるエンディングは何だったんだ!て話しですよ。
でも、まぁそれも良しとしましょうか。
僕はこのジェイコブは好きですよ。
ノーマジであるが故の我々と同じ視点で作品世界へ導いてくれるし、コメディリリーフとしても良い味出してます。
ニュートとのコンビネーションもピッタリですしね。

後、これはよく目にする意見なのですが、脚本的には粗が目立ったかなという印象は否めません。
登場人物の多さもさる事ながら情報があまりに多く、結局何が軸になっているかが分かりにくい。
そういえばこのモヤッと感何かに似ているなと思ったら『スターウォーズ/最後のジェダイ』を見た後の心境に近いですね。
あれも三部作の二作目でした。
一作目の顔見世興行が良かったらその分こちらのハードルも上がる。
尚且つ次作へ繋げる為に真価が問われるのが二作目でもあるわけです。
二作目の壁はこの先色んな作品に立ちはだかるのかもしれませんね。