きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

スマホを落としただけなのに

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志駕晃の同名ミステリー小説を「リング」中田秀夫監督のメガホン、北川景子の主演で映画化。いつものように彼氏に電話をかけた麻美は、スマホから聞こえるまったく聞き覚えのない男の声に言葉を失うが、声の主はたまたま落ちていた彼氏のスマホを拾った人物だった。彼氏が落としたスマホが無事に戻ってきたことに一安心する麻美だったが、その日から麻美の日常は一変する。まったく身に覚えのないクレジットカードの請求、それほど親しくない友だちからの執拗な連絡……それらは麻美のさまざまな個人情報が彼氏のスマホからの流出を疑う事象の数々だった。一方その頃、ある山中で若い女性の遺体が次々と発見される事件が起こる。すべての遺体には、いずれも長い黒髪が切り取られているという共通点があり……。北川が主人公・麻美を演じるほか、連続殺人事件の担当刑事役を千葉雄大、セキュリティ会社社員役を成田凌、麻美の彼氏役を田中圭がそれぞれ演じる。
(映画.comより)

今や日常生活に欠かせないツール・スマホ
そのスマホには個人情報もあればその人そのものを反映するパーソナルな部分もかなり含まれています。
しかし、そのスマホをもしどこかに落としたら?
スマホを紛失してしまったら?

誰にでも起こりうる日常を題材に展開していくサスペンス作品。
果してどんな作品なのでしょうか?
今やポケットにスマホがないと不安で仕方ない私・きんこんによるレビュースタートです。

本作はふたつのストーリーで構成されています。
ひとつは田中圭演じるスマホを落としてしまう北川景子演じる麻美の彼氏とそれによって自分の運命をも翻弄されてしまう麻美。
もう一方は相次いで発生する若い女性の不審死。
そしてその一連の事件を追う原田泰造千葉雄大の警察班が展開するサスペンス。
このふたつのストーリーをどの様に結びつけていくかが見所となっていきます。
はじめは一見何も関係そのストーリーと登場人物なのですが、時間の経過と共に徐々に結び付いていくその運びは非常に見応えがありました。
とりわけキーマンとなるとある人物の演技。(名前は明かせません)
犯人でもあるのですが、正直彼の演技力に脱帽しました。
好青年なイメージが強すぎる役者さんですが、後半における人物描写は何とも怪奇的。
これぞサイコパスです。
彼なしでは語れない作品とも言えるのではないでしょうか。
また、主演の北川景子さんもまた素晴らしい!
彼女の魅力と言えばピュアなラブストーリーにもハマればサイケな作品にも合うその存在感なのですが、本作において言えばその両面がピタリと合致し、化学反応を起こした様な演技力。
そして何と言ってもこの作品ほど女優・北川景子を可愛く綺麗に思える作品もないかと思います。
カメラワークのなせる北川景子の美を堪能出来る作品と個人的には思っています。
ただ、警察サイドは正直、どうかなという印象でして原田泰造演じる先輩刑事と千葉雄大演じる後輩刑事の言わばバディ物の要素を含んでいるわけですが、原田さん演じるコワモテで武骨な先輩と千葉さん演じるデキル新人刑事という設定は良いと思います。
しかし、どうにも先輩が一見頼り甲斐ありそうでありながら実は超ポンコツであったりめっちゃ仕事出来る新人なのに千葉さんの童顔と声の高さがどうにも不安定に聞こえてしまう辺り何とかならなかったのかというのが個人的な印象です。

それから作品を通してスマホを当たり前に使う現代人に対しての警告とも教則とも思える前半部について。
スマホを紛失した当事者と恋人。
つまり本作における主要人物である二人の危機意識たるや何とも低いんですよね~。
暗証番号やらパスワードやらそれをなおざりにしたらいかんやろ?と思う物に対しての意識が悉く低い。
でもそれって全く自分とは関係がない客席から見る観客ならではの目線であってスマホをいざ落とした場合に冷静な対応が取れるか?
それを見ている僕らへ投げ掛けるメッセージでもあるんですよね。
幸いにして僕はスマホを何処かに亡くしたという経験はありません。
紛失というのはなくはないです。
しかし、せいぜい自室内で「あれ、俺のケータイどこ?」「あっ、あった!」
なんて布団の下、テーブルの下、脱いだ服の下からひょっこり現れるという程度の誰しも一度は経験があるというもの。
電車、地下鉄、バス、はたまた映画館等々外出先で紛失した場合、果して冷静な対応が出来るだろうか?
それはその時になってみないとわかりません。
しかし、この映画を見るともし、スマホを無くした場合、どの様にすれば良いのか或いはどういう事態が起こりうるのかをまざまざと見せつけてくれる。
ある意味スマホが手放せない現代人に向けての教則的な内容でもありました。
そして後半はスマホを落とした事をきっかけに次々と襲いかかる不可解なインシデント。
はっきり言ってここは怖かったです。
彼氏がスマホを落としたばかりに次々と麻美の身に悲劇が。
それを操る謎の人物の怪演も相まってかなりスリリングな展開です。
そして後半は何ともサイケなホラー展開。
あの『リング』を撮った監督だけあってその辺りはかなり引き付けられました。

同時に突っ込みたくなる箇所もありますが、今回はやめておきましょう。
B級臭い感じも味だと思います。特にこの監督の場合ね(笑)
サスペンスの名作だと近年では『ミュージアム』、『22年目の告白』という作品が印象深いですが、本作はその二作に決して遜色ない出来だったと思います。

ハラハラドキドキの映像体験をしたいそこのアナタ、オススメですよ!