きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ

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緑川ゆきの人気コミックを原作とするテレビアニメ「夏目友人帳」の劇場版。テレビ版第1~4期の監督を務めた大森貴弘を総監督に、原作者監修によるオリジナルエピソードを描く。小さい頃から他の人には見えない妖を見ることができた夏目貴志は、亡き祖母レイコが妖たちとの勝負に勝って書かせた契約書の束「友人帳」を継いで以来、自称用心棒のニャンコ先生と共に、妖たちに名を返す日々を送っていた。そんなある日、夏目はかつての同級生・結城との再会をきっかけに、妖にまつわる苦い記憶を思い出す。時を同じくして、夏目は名前を返した妖の記憶に出てきた女性・津村容莉枝とその息子・椋雄と知り合う。母子の住む街に謎の妖が潜んでいると聞いた夏目は、ニャンコ先生と共に調べに向かうが……。人気俳優の高良健吾が椋雄の声を担当。
(映画.comより)

ハイ、はじめに言っておきますが、全く予備知識なしです。
そもそも『夏目友人帳』というアニメ自体この劇場版が公開され、週末動員ランキングで初登場1位になるまでは全く知りませんでした。
にも関わらず敢えてこの作品を選びレビューまでするという大胆かつ不敵な行為に走るわけです。
ならばせめて原作を読むとかレギュラー放送されたアニメのDVDでも見れば良いのですが、それすらもしませんでした。

でも、それで結果的に良かったと思います。
なぜならこの映画。
私の様な無知な人間にも非常に優しい作品なのでした。
ざっくりと言えば妖怪モノです。
はい、ざっくりし過ぎましたけど『ゲゲゲの鬼太郎』や『妖怪ウォッチ』とはまた違ったテイストの妖怪を題材にしたアニメーションです。

正直、本作を見るまでは不安でした。
いわゆる深夜アニメの劇場版にありがちなのですが、アニメのレギュラー放送を見ていないとついていけない。
これまで何度か予備知識なしでの鑑賞にチャレンジしては悉く劇場のイスでウトウトなんてありましたからね。
果たして大丈夫か?

しかし、そんな不安は杞憂でしたね。
例えば『名探偵コナン』の劇場版を思い出してみて下さい。
冒頭で必ず説明が入りますよね。
コナン君が何故小さくさせられたのか?とか周囲の人物関係であったりとか。
あれって実は結構重要だと思ってます。
アニメの劇場版というのはおしなべて言えばレギュラー放送で一定の人気を得てそして満を持して映画化。
そして大々的に公開されるわけですよね。
そこで初めてその作品に触れる人もいるわけです。
それが一見さんお断りな難解な内容だったらそれで終了。
新規ファンの開拓は望めないのですが、既存のファンもしっかり満足させ、新たに見る人にも丁寧に作られてあると作品そのものに関心を持ち、レギュラー放送、更に原作にも触手するという新規ファンが生まれやすいわけです。
もちろんそこには内容の良さも問われるんですけどね。

その点においてこの『劇場版 夏目友人帳』なんかは親切でしたよ。
そもそも友人帳とは何ぞや?とか主人公・夏目貴志と祖母・夏目レイについてとか妖(あやかし)というものについて登場人物や設定等を事細かに説明してくれるので初心者にも超~優しい!

しかもストーリーも非常にシンプルで分かりやすいんですよね。
こういうアニメ映画は悪くないです。

そもそも妖怪の漫画・アニメが日本で人気がある要因としては日本人と民俗学の関係が大いにあると思うんですよね。
古くから妖怪、鬼、もののけ等形は様々ですが、信仰或いはその存在を身近に感じてきた歴史がありますよね。
妖怪の実態こそ見た人は居ないでしょうが、その存在自体は誰しもが民話、説話等を通して馴染みのあるもの。
幼い頃、妖怪への空想を広げたという人も多いでしょう。

それを具現化させたのが一連の妖怪を題材にした作品群ですね。
その作品においての妖怪はただ怖いだけでは体を成さない。
決してホラーではありませんからね。
かわいくデフォルメしたキャラクターが欠かせません。
その点ぬかりありません!
ニャンコ先生、かわい過ぎやろ~?
かわいさにもタイプがあるわけですが、ちょっとブサイクなかわいさと言うのですかね、ドラえもんの様な愛らしさです。
可愛くてちょっぴり憎たらしくもあるのですが、能力は高い。
それ故に先生なんですけどね。
で、そんなニャンコ先生の身体がパカッと別れちゃうんです。(その辺は予告でも流れていたのでネタバレではありません。)
そしてそれを巡っての貴志らの奮闘ぶりが本作のハイライトです。
前半部の伏線回収と合わせてチェック頂きたいポイントです。

そして貴志の祖母である夏目レイコという女性について。
なかなか陰キャな青春を過ごしていた様ですが、本作では彼女のルーツを知る人物が登場し、謎多き夏目レイコに迫っていきます。
そしてその人物(レイコを知る女性の事です)にまつわるあるキャラクターが妖だった等ストーリー的にもドラマがあり、うるっとする所もあります。

繊細で柔らかいタッチの絵ですし、ゴチャゴチャしていない。
背景も非常に目に優しいそんな作品でした。
末見のシリーズ物のアニメを見るのはハードルが高いと思われる方も多いでしょう。
しかし、本作においては心配ありません。
新しい世界に飛び込んでみませんか?
気に入った方はこれを機にレギュラーアニメのDVDをレンタルしてみてもいいかもしれませんよ。