きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

インクレディブル・ファミリー

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第77回アカデミー長編アニメ映画賞を受賞したディズニー/ピクサーの大ヒット作「Mr.インクレディブル」の14年ぶりとなる続編。スーパーパワーを持つボブたち家族は平凡な日常を送っていたが、ある出来事をきっかけに、母ヘレンがイラスティガールとしてヒーロー活動をすることに。多忙になった彼女の代わりに家事と育児を任されたボブは、底知れない能力を秘める息子ジャック・ジャックの世話に悪戦苦闘。そんな中、新たな敵が家族の前に立ちはだかる。ブラッド・バード監督が前作に続いて監督・脚本を手がけ、声優陣もボブ役のクレイグ・T・ネルソン、ヘレン役のホリー・ハンターら前作のキャストが続投。日本語吹き替え版もボブ役に三浦友和、ヘレン役に黒木瞳、長女ヴァイオレット役に綾瀬はるか、謎の敵アンダーマイナー役に高田延彦ら前作のメンバーが再集結した。
(映画.com より)

2004年に公開され、アカデミー長編アニメ映画賞を獲得した『Mr.インクレディブル』から14年ぶりの続編にして、ピクサー20本目という節目の作品です。
前作から14年も経ってるんで、ある程度独立した話かなと思いきや、前作の3ヶ月後を描いた地続きな続編となっています。
実は私既に二回鑑賞してるのですが、一回目は前作末鑑賞。
そして地上波放送された前作の『Mr.インクレディブル』を見て二回目を見てきたという次第です。
前作末鑑賞の場合でも十分楽しめるのですが、前作を見るとより作品の設定など理解力が深まります。

前作で面白かったのがスーパーヒーローが日常生活に入り、いち社会人として生活したら?という描写でした。
たとえば同じアメリカ産ヒーローでもマーベル作品で見られるそれはいち社会の人間としてもやり手の人が多いイメージです。 
例えばアイアンマンはバリバリの実業家ですしドクターストレンジは天才外科医です。
ところがこのインクレディブルはいち社会人となると不器用なんですよね。
人の良さが災いして上司に叱責されるはヒーローとしての任務を優先させる余り会社をクビになったり。
妙に人間くささを出してくれるのでヒーローとて完璧ではないという面が浮き彫りになっていたりして。

そしてこの新作でもインクレディブルいや、ボブの不器用さが際立っています。
そして今回は父親としてのそれが全面的に表れます。
ひょんな事から妻のイラスティガールが家を空けてヒーロー活動に勤しみます。
その間留守を預かるのはもちろん夫のボブ。 
しかし、年頃の子供たちの育児に向き合うとこれが何とも悪戦苦闘。
わんぱく盛りのダッシュの宿題をきちんと教えてあげる事も出来ないし、思春期のヴァイオレットの繊細な乙女心を理解出来ないで余計なおせっかいをしてしまう。
赤ん坊でありながら特殊な能力を身につけたジャック・ジャックにも翻弄されてしまう。
妻のヘレンことイラスティガールが外で大活躍をしてるのに対比して彼は家でてんてこ舞い。
でもこれって世の男性の皆さんこそドキッとしちゃうかもしれませんね。

本作のテーマ。
それは女性の社会進出。
普段は良き妻良き母として家庭を守るヘレンがイラスティガールとして世に蔓延る数々のピンチを救う姿を通して女性の皆さんへエールを送る。
そんな作品だと思います。

ちなみに私は本作を吹替版で見ましたが、三浦友和黒木瞳綾瀬はるかといったキャストの演技が素晴らしいのは言うまでもありません。
個人的に印象深かったのはこじるりこと小島瑠璃子さんです。
なかなかアクの強いキャラクターでしたが、非常に存在感のあるポジションをキープしていましたよ。
バラエティもいいけど本格的に演技の世界にも染まっていってほしいなと思いました。

夏の大作アニメーションとして高いポテンシャルを持つ作品でしたが、強いて言えば脚本で弱い部分がありました。
前半部にヒーローの存在意義や必要か否かを問う場面がありましたが、結局そこがうやむやになってしまった点。
イラスティガールの大活躍ぶりや一家揃ってのアクションシーンなど見ごたえたっぷりでしたが、そこがもったいなかったかな。

しかし、大人も子供も楽しめるエンタメ作品としては申し分ないクオリティはさすがにディズニー・ピクサーでした!
是非劇場でご鑑賞下さい!