きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ジュラシック・ワールド 炎の王国

f:id:shimatte60:20180723180327j:plain

シリーズ14年ぶりの新作として2015年に公開され、記録的な大ヒットとなった「ジュラシック・ワールド」の続編。前作でハイブリッド恐竜のインドミナス・レックスとT-REXが激闘を繰り広げ崩壊したテーマパーク「ジュラシック・ワールド」を有したイスラ・ヌブラル島に、火山の大噴火の兆候が表れ、恐竜たちの生死を自然に委ねるか、あるいは危険を冒してでも救い出すか、人間たちは判断を迫られていた。そんな中、恐竜行動学のエキスパートのオーウェンはテーマパークの運営責任者だったクレアとともに、恐竜たちを救うべく行動を開始するが、その矢先に島の火山で大噴火が発生する。恐竜と心を通わせるオーウェンを演じるクリス・プラット、クレア役のブラウス・ダラス・ハワードらメインキャストが続投。監督は前作のコリン・トレボロウに代わり、「永遠のこどもたち」「インポッシブル」などで注目されたスペインの出身のJ・A・バヨナが新たに務める。
(映画.comより)

いや~、スゴいスゴいと後100回くらいは言いたいのですが、それではレビューになりませんので作品についてより詳しく見て参りましょう!

前作では圧倒的なCG技術等を駆使し、日本国内において2015年度の興行収入1位となる大ヒットとなりました。

スティーブンスピルバーグが監督をつとめた『ジュラシック・パーク』公開から22年経ち今なお多くのフォロワーに支持され圧倒的な存在感を見せつけた作品の続編とあれば見逃さないわけにはいきません。
前作に続き、スピルバーグは製作総指揮に回り、J.A.バヨナという43歳の若手監督がメガホンを取りました。

まぁ、しつこい様ですがとにかくスゴいんですよ、この映画。
恐竜達が画面狭しととにかく暴れまわる。
圧倒的なスケールで展開されるのでとにかく息つくいとまも与えません。
そしてただ暴れて迫力あって「すげぇ!」だけじゃないんですよね。
クリス・プラット演じるオーウェンが手なづけるブルーがかわいいんですよ。
いや、見た目はめっちゃいかついんですよ。
だけどオーウェンと接する時に萌えちゃいます(笑)
恐竜が暴れまわるシーンに関して言えば本作はイスラ・ヌブラル島でのドタバタだけではないんですよね。
まさか、「こんな所に恐竜くる~?」と思わせるまさかの場所に入り込んでくるんですよ。
とりわけ後半部になるとそれがより際立つのですが、何と人間が住む屋敷に入ってくるんですよ。
そしてそれがまた妙にリアルで恐怖感が増す。
ホラー的な演出も加わるのでお子様と見る場合は要注意ですよ(笑)

また、恐竜を金儲けの道具にすべくハントに精を出す人間達が何とも醜い存在として登場してきます。
軽いネタバレになりますが、恐竜たちをオークションにかける悪徳な富豪が登場します。
しかし、獰猛な恐竜達に追われ、潰され粉砕される。
このシーンって妙にスカッとするんですよね。
でも、コレって資本主義への警鐘でもあり、我々強欲な人間に向けて発せられたメッセージでもあります。
「よっしゃ、行け!やっちまえ~!」なんて見てたそこのあなた!
あなたは大丈夫ですか?

メッセージ性と言う意味で本作に盛り込まれていたのは生物の生命とその倫理観というところでしょうか?
クローンという言葉を耳にする機会は多いかと思います。
本作において言えば人間の手によって恐竜を蘇らせたり或いは本作に登場するあるキャラクター。
実はそれこそがクローンなのです。
そしてそれを軸としてクローンというものの存在について考える展開となります。
そもそも宗教的な観点で言えば森羅万象あらゆる生きとし生ける者の生命というのは神の手によって作り出されると考えられています。
人間の手によって生命を生み出すという行為は(人為的な性的行為という意味ではなく)神への冒涜でもあるのです。
その様な暴挙をどの様に捕らえるかが象徴的に描かれています。
とある知人の話しによれば今後の技術が進化すると己の意に沿う様な子供を作りたい、そう考えた時にデザイナーズベイビーを作るという技術が開発されているとかいないとかという話しです。
しかし、倫理的な問題から実現は難しいとの見解ですし、本作のテーマに沿って考えると決して許されない事であると言えますね。
話しを本作に戻しましょう。
そんな普遍的なテーマをストーリーテラーの様に解説してくれる人物が登場します。
さらに、1・2作目にも登場していたマルコム博士。
彼は複雑系理論の数学者で、自らの立場から、人間は自ら生み出した一見万能に見える科学技術をもってしても、自然を完全に制御することはできない。たとえ恐竜がどうなろうと、人知を超えた領域であるので放っておくべきである主張するのです。
この博士の存在が作品において非常に説得力のある存在として機能しており、このシリーズ全体を文明的に批判をする上でもまた作中のご意見番的存在としても存在感がありました。    

ストーリー全体としてはしっかりと前半後半で分けられておりました。
所見の人でも比較的容易に鑑賞出来るシンプルな話しの運び方だったと思います。

ヌラブル島を舞台に、迫りくる噴火と溶岩の危機から逃れるべく、ノアの方舟よろしく恐竜救出を目指すのが前半。
強欲な人間達の魔の手にかかりながらも人間達の逆襲ののろしを下ろし人間達と戦う、そしてそんな恐竜達を救出すべくオーウェンらが立ち上がる、そんな後半パート。
一見チグハグに見えなくもないですが、ラストに全てが結び付いていく絶妙な脚本となっています。

実にダイナミックなシーンの連発で夏の大作にふさわしい映画であると同時に深いテーマも盛り込まれた作品でした。

この夏、恐竜達が繰り広げる一大スペクタクル。
是非あなたも劇場でご覧下さい!