きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ボス・ベイビー

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外見はかわいらしい赤ちゃんだけど中身はおっさんな「ボス・ベイビー」が巻き起こす騒動を描き、全米大ヒットを記録したアニメーション映画。「怪盗グルー」シリーズのユニバーサル・スタジオと「シュレック」のドリームワークス・アニメーションが初タッグを組み、マーラ・フレイジーの絵本「あかちゃん社長がやってきた」をもとに、「マダガスカル」シリーズのトム・マクグラスが監督を務めた。パパとママと暮らす7歳の少年ティムの家に、黒いスーツに黒いネクタイを締めた赤ちゃん「ボス・ベイビー」がやって来た。ティムの弟だというその赤ちゃんは、まるで大人のように話すことができ、口が悪くて人使いも荒い。実は彼には、ある秘密の任務があり……。アレック・ボールドウィンボス・ベイビーの声を演じるほか、スティーブ・ブシェーミトビー・マグワイアといった人気俳優が声の出演。日本語吹き替え版ではボス・ベイビーの声をムロツヨシ、兄ティムの声を芳根京子がそれぞれ演じる。
(映画・com より)


喋る赤ちゃん、しかも中身はオッサン!…なんて言ったらまるで『テッド』のテディベアを赤ん坊に置き換えただけ?と思ってしまいそうですが、はっきり言いましょう。
『テッド』、『パディントン』更には『ペット』といった作品が好きな御仁ならきっと満足な作品になるでしょう。

ディズニー、ピクサー、イルミネーションといった日本でも大人気のアニメーション制作会社。
それらに比するとやや地味な感が否めないのがドリームワークスです。
しかし過去には『シュレック』、『カンフーパンダ』等のヒット作も生み出しており、本作はこれらの作品を上回るかの如く現在大ヒット中です。
正直初週で『リメンバーミー』や『ドラえもん』を抑えて初登場一位になったのには驚きました。
何ならここ近年のドリームワークス作品の傾向からコケ予想すらしてたくらいですから。(ごめんなさい)

しかし実際に鑑賞してみてわかりました。
こりゃ、面白い!!

冒頭では冒険心旺盛なティムの空想世界が登場するのですが、ここは正直しんどかった。
何しろ直近で『リメンバーミー』を見ていた事もあってその画の粗さについていけなかったんですよね。
しかしこれが逆説的にはインパクトを生み出し、このあとの展開における効果的な演出としてカートゥーンムービー的な見せ方をしているという事に気付くのには時間がかかりませんでした。

そしてボスベイビーが登場して以降は一気に引き込まれていきました。
そもそもこのボスベイビーが生み出されるまでの描写がなかなかブラックテイストで面白い。
赤ちゃんがベルトコンベアーに載せられ流れ作業でベビーパウダーが塗られ梱包されるわけですから。
いわば赤ちゃんという名の商品なんですよ。
そしてそこの地点で人間界に産み落とされるか或いは経営向きと判断され赤ちゃんだけで運営するベイビー株式会社に配属されるか赤ちゃんの進路は二つにひとつ!
結果的にこのボスベイビーは経営向きの為、ベイビー株式会社の中間管理職となるわけです。

そして本作に登場するボスベイビーはゴリゴリの合理主義者であり出世の為なら手段をいとわないという文字通りの社畜
そして部下を集めて会議を開くのですが、この部下の面々が赤ちゃんそのものだったりするのでそこにまた笑いが生まれます。

ストーリー自体は至ってシンプル。
海外アニメ王道の展開なので子供にとっては『ミニオンズ』の様なスラップスティックコメディに触れる様な視点で大いに楽しむ事が出来るでしょう。

一方、大人は大人で違う視点で楽しめるハズです。
まず何と言ってもボスベイビーやベイビー株式会社での光景を通して社畜あるあるの様な物が多分に含まれているし、過去の名作映画のパロディーやエルヴィス・プレスリーコメディリリーフとして据える等の遊び心に目がいきがちだし何なら子供には少々過激な下ネタだってあります。
更にはヴァーチャルな世界なのに妙にリアリティを持たせた今の大人達の子供時代を思わせるほのかなレトロ感が見られます。
例えばボスベイビー達が会議で言語を発している証拠を得る為にティムが使ったカセットテープ。
ICレコーダーとかならともかく今どきカセットテープですよ(笑)
しかし、これにも意味がありましてそれはラストシーンへと結び付けていく為でもあります。
と同時にそれに気付ける人はどれだけいるのでしょうか?

また、本作に登場する道具の数々がユニークです。
ボスベイビーが会議で使うのはテディベア型のプロジェクターであったりベイビー株式会社にワープする為に使うのはあの赤ちゃん道具の代表格・おしゃぶりです。
一方、ティムが使う魔法使い型の目覚まし時計はインパクトがあります。
しかもこの目覚まし時計、決められた定型句を発するだけかと思ったらしっかり会話機能までついてますからね、思わず欲しくなっちゃいますよ(笑)

この様に本作はとにかく笑えるし、遊び心もたっぷりな上、類いまれなる創造力でもって心象に訴えかけるので飽きる事なく鑑賞出来るのは間違いありません。

そしてラストでは思わずウルっときました。
例えて言うなら『ドラえもん』の6巻の最終話と言っておきましょう。
なんてこれがわかった人、通ですな(笑)

家族や兄弟を思う時、そこに生まれるのは愛です。
この愛という普遍的なテーマをティムやボスベイビーはどの様に受け入れるのでしょうか?
それはあなたの目で是非劇場にてご鑑賞ください。