きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

リメンバー・ミー

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トイ・ストーリー3」でアカデミー賞を受賞したリー・アンクリッチ監督が、陽気でカラフルな「死者たちの世界」を舞台に描いたピクサー・アニメーションの長編作品。日本におけるお盆の風習にあたるメキシコの祝日「死者の日」を題材に、音楽を禁じられたギター少年ミゲルの冒険や家族との強い絆を、数々の謎と音楽を散りばめながら描いた。物語の鍵を握る劇中歌「リメンバー・ミー」の作詞・作曲を、「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー ありのままで」を手がけたクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスが担当。第90回アカデミー賞では長編アニメーション賞および主題歌賞を受賞した。天才的なギターの才能を持つ少年ミゲルはミュージシャンを夢見ているが、過去の悲しい出来事が原因で、彼の一族には音楽禁止の掟が定められていた。ある日ミゲルは、憧れの伝説的ミュージシャン、デラクルスの霊廟に飾られていたギターを手にしたことをきっかけに、まるでテーマパークのように楽しく美しい「死者の国」へと迷いこんでしまう。ミゲルはそこで出会った陽気で孤独なガイコツのヘクターに協力してもらい、元の世界へ戻る方法を探るが……。
(映画・comより)


ドラえもん』や『ボスベイビー』と凌ぎを削りながらもなかなか首位に立てなかった本作。
しかし、最新の映画ランキングにおいて遂に三週目にして一位を獲得しました!
こういうランキングアクション個人的には好きです。

まず本作は『アナ雪』の短編が同時上映されますが、これが短編の域を超えた上映時間なので「あれ、今日アナ雪見に来たんだっけ?」と錯覚する程。
基本オラフがメインなのですが、アナやエルザの登場シーンもたっぷりなのできっと『アナ雪』ファンなら満足するのではないでしょうか?

…と『アナ雪』の話しはその辺にして本編の『リメンバーミー』についてです。
正直、この映画には楽しみな反面不安要素もあったんですよ。
死者の国を舞台にするというのが年末に見たあの映画に通じるなと思いまして(実際あの映画を見た時も予告編を目にしましたが)
更にメキシコの風俗・文化を取り扱うという視点も現在公開中の『ブラックパンサー』におけるアフリカンな風習を取り入れた描写と被るし、更に音楽を押し出すあたりに関しては「グレショーを越える音楽映画なんて今年は出ねぇだろ!」という私の斜に構えた視点もありまして最近見た映画のあれやこれやを詰め込んでる感とか共通点が多すぎたのがいまひとつこの映画の期待値を下げていた要因でもありました。

しかし…しかしですよ、さすがはディズニー・ピクサー
そんな私の不安感を一気に払拭させてくれる素晴らしい作品でしたよ!

そもそもですが、この作品。
映画のプロット自体には特別目新しさはないんですよ。
至ってシンプルな話しだし、ディズニー・ピクサー作品を見てたらよくありがちな展開でもあります。

しかし何がここまで胸を打つのかというと作品が持つ普遍的なメッセージなんですよね。
家族の存在とか愛なんて言うとともすれば陳腐になりがちなのですが、本作ではそれが祖先にまで辿り着いていきます。
そしてこの祖先に遭遇する事によって現在の家族へ導くルーツそのものを抽出させていく。
そこから家族というものへの帰属性に含みを持たせてくれるのです。

続いて死というものの扱い方について。
生命の長短に関わらず人間は誰しも死にます。
仏教、キリスト教等様々な宗教においても人間の生死に関する考え方には違いがありますね。
ここ日本での風習を言えばお盆が良い例ですが、お盆を迎えるとご先祖様の魂が現世に戻ってくると言われます。
本作におけるメキシコでもそれに近い考え方がある様でその日を迎えると先祖が戻るという死者の日があります。
しかし本作におけるそれは誰しもが現世に帰れるわけではなくある審査が行われます。
その条件とは子孫が今も祭壇に写真を飾られているかどうか。
もしその審査が通らなければ当然死者の日に戻る事が出来ないのみならず現世の人の記憶から全て消えてしまったらこの死者の国でも存在が消えてしまう。
つまりは第二の死が待っているのです。
この第二の死を扱うシーンが非常に衝撃的です。
漫画『ONE PIECE 』でこんなセリフがありますよね?
「人はいつ死ぬと思う…?
心臓を銃で撃ち抜かれた時……違う。
猛毒のキノコスープを飲んだ時……違う!!!
人に忘れられた時さ…!!!」

ヒルルクという医者が発した『ONE PIECE 』内屈指の名言だと思いますがまさしくそれなんですよ!

しかし残酷にも人の記憶からも消えてしまう人がいる。
そんな悲哀を本作では実に冷酷にかつ刹那的に描かれており、見る人の胸に訴える描写となっております。

一方、本作での死者の国の捉え方は実に肯定的で前述のあの映画…というか『DESTINY 鎌倉物語』同様「こんな世界があるのなら案外死ぬのも悪くない」なんて思わせる明るさがありそこが非常に印象的でした。

ところで去年から良い映画には良い音楽という視覚にも聴覚にもカタルシスを生み出してくれる作品が続いてますね。
本作の音楽もまたどれを取っても聴かせてくれる素晴らしいものばかりです。

家族そして血縁というものを考える意味でも家族で鑑賞する事をオススメします。