きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ちはやふる-結び-

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末次由紀の大ヒットコミックを広瀬すず主演で実写映画化した「ちはやふる 上の句」「ちはやふる 下の句」の続編。瑞沢高校競技かるた部の1年生・綾瀬千早がクイーン・若宮詩暢と壮絶な戦いを繰り広げた全国大会から2年が経った。3年生になった千早たちは個性派揃いの新入生たちに振り回されながらも、高校生活最後の全国大会に向けて動き出す。一方、藤岡東高校に通う新は全国大会で千早たちと戦うため、かるた部創設に奔走していた。そんな中、瑞沢かるた部で思いがけないトラブルが起こる。広瀬すず野村周平新田真剣佑ら前作のキャストやスタッフが再結集するほか、新たなキャストとして、瑞沢かるた部の新入生・花野菫役をNHK連続テレビ小説あまちゃん」の優希美青、筑波秋博役を「ミックス。」の佐野勇人、映画オリジナルキャラクターとなる千早のライバル・我妻伊織役を「3月のライオン」の清原果耶、史上最強の名人・周防久志役を「斉木楠雄のΨ難」の賀来賢人がそれぞれ演じる。
(映画・com より)

今や目にしない日はないという広瀬すずですが、彼女の出世作であり代表作といえるのがこの『ちはやふる』ですね。
2016年の『ちはやふる 上の句』、『ちはやふる 下の句』共に劇場鑑賞したワタクシですが、当時はすっかりこの映画の虜になったものでしてこの続編には並々ならぬ期待を寄せていました。
しかし、その一方ではこの二年の間に数々の映画出演を果たし軒並みヒット作となる程の快進撃を続けるすずちゃんのみならず野村周平、真剣祐、松岡茉優上白石萌音等などすっかり人気俳優/女優となった面々が久しぶりに『ちはやふる』に戻った際、前二作の様な瑞々しさをどの様に表現するのであろうか?という点が非常に興味深かったです!
しかし、そこは皆さん素晴らしい演技。
まるで自分のホームに帰ってきたかの様な生き生きとした演技力でもって見る人を魅了させてくれます。

まず本作は二年振りの新作です。
そして前二作では一年生だった千早ら瑞沢高校カルタ部は三年生となります。
そうです、リアルタイムに年を重ねている所が面白いところです。
そして彼らにも後輩が出来ます(二年生時の部活勧誘では千早が張り切りすぎて引いた新入生は誰も入部しなかったそう)
その新入生というのがなかなか曲者で生意気なヤツなんです。
カルタ経験者故のプライドがあり、先輩達をともすれば見下してしまう鼻持ちならない新入生に千早達も翻弄されてしまいます。
しかし、団体戦から身につけていく彼の人間的成長など見所は十分でして嫌悪感を抱きがちなキャラクターでありながらもどこか共感性を持たせてくれます。
もう一人の新入生はカルタに全く興味がないのに太一(野村周平)に一目惚れし、入部する女の子なのですが、彼女の心理描写も良かったです。
部員中唯一のカルタ末経験者である彼女が初めて大会に出場する際の精神的動揺であったり大江さん(上白石萌音)から恋の詩の説明を聞いた際の繊細な表情などが印象的。
ただ、ストーリー上仕方ないのですが、太一とのシーンがどうにもスウィーツ映画っぽくなったのはややしんどかったですね。

そして何より本作のハイライトとも呼べるのが太一なんですよね。
高校三年生ともなるといよいよ進路を決めなければなりません。
かるたに専念していた瑞沢高校カルタ部の面々も例外ではありません。
ひたすらかるたの事だけを追求し、進路を「クイーン」と書いてしまう千早の一方、太一は学業とかるたの両立に揺れます。
しかし、そんな中賀来賢人演じる天才・周防久志と出会います。
周防の姿を通して太一は何を吸収するのか、また瑞沢高校かるた部にどの様な影響を生むのかは本作の注目ポイントと言えます。

また、かつての盟友・新(真剣祐)が起こす動きも見逃せません!
千早達と離れ福井ではかるたと距離を置いていた新が遂に動き出します。
千早達にとっての強力なライバルとして立ちはだかる新率いる藤岡東高校かるた部との戦いには力が入る事間違いないでしょう!

また、本作では笑い所もかなり押さえてありまして、新と清原果那演じる伊織のやり取りは天丼の手法(お笑い用語で一度使ったギャグを時間を置いた後、みたび繰り返す手法)を用いながら中毒性の高い笑いを生み出してくれます。
映画で挿入するコメディパターンとしては絶妙なので病みつきになるでしょう。

その一方でやはり乗りきれなかった部分はあるので簡単にまとめておきますが、まずひとつに前述のスウィーツ恋愛要素ですかね~、いやわかるんですよ。
イケメンの太一との恋模様を描くには不可欠な場面である事は。
しかし、あのシーンだけ妙に浮いてる感があるんですよね。
どこを取ってもスウィーツ描写になってしまってそれを受け付けない層にはきつかったんじゃないですかね。

それから大会の度に駆け付けるマスコミ陣。
昨今の藤井フィーバーばりの過熱報道がどうも胡散臭いのですよ。
その点で言えばニコ動的な字幕スクロールもそうですね。
あくまで大会の盛り上がりぶりや注目度を表現したいのでしょうけどかえってチープにしてる様で冷めてしまうんですよね~。

ちなみにダメ出しは嫌いでケチをつけたいから言ってるわけではないですよ。
映画全体は良かったのにそこさえなければという愛ゆえの苦言とご理解下さいませ。
この作品に限らずですけどね。

それはさておき『上の句』『下の句』を見た方はもちろん、見てない方は前二作を鑑賞の上、見る事をおすすめします!
青春映画の真骨頂ともいえる良作である事は間違いないと断言しますよ!