きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎

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弘法大師としても知られる真言宗の開祖で、遣唐使として中国に渡った若き日の空海を主役に描く、日中合作の歴史ファンタジーミステリー。夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を原作に、「さらば、わが愛 覇王別姫」「始皇帝暗殺」の名匠チェン・カイコーがメガホンをとり、主人公の空海を海外作品初挑戦となる染谷将太が演じた。8世紀、遣唐使として日本から唐へやってきた若き僧侶の空海が、詩人・白楽天とともに首都・長安を揺るがす巨大な謎に迫っていく。空海の相棒となる白楽天を中国の人気俳優ホアン・シュアン、物語の鍵を握る楊貴妃を台湾出身のチャン・ロンロンが演じるほか、日本から阿部寛松坂慶子らが参加している
(映画・com より)

現在公開中の『マンハント』もそうですが、日中合作の作品が今年に入って続いてますね。
日本と中国。
政治や思想面では相入れない両国ですが、文化を通し、お互いの良い要素を出し合い作品を作るスタンスは素晴らしいです!
今後もこういった作品が作られ続けるのは良い傾向だと思います。

話題の歴史大作『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』。
題材が題材だけに圧倒的に中・高年以上の客層。
その中で久しぶりに親孝行をと思い、父親と一緒に鑑賞して参りました。

まずは目を見張るのは唐の都・長安を再現したセット。
150億円を投入した東京ドーム8個分という広大な面積を誇る豪華なセットとあって実に美しい!
9世紀の長安は恐らく作中の様なきらびやかな街であったであろうと思わせるその壮大なセットには思わずうっとり。
そして夜な夜な繰り広げられる宴の描写がまた見事でして『グレイテスト・ショーマン』のオープニングにひけを取らない色彩豊かな光景はまさに豪華絢爛です!


また、作中に登場するCGも見応えタップリ!
作年末『DESTINY 鎌倉ものがたり』を評した時、山崎貴監督作品のCG /VFXの技術を大絶賛しました。
いや、もちろん素晴らしいですよ!そこは強調します。
しかし、世界規模で見た時ハリウッドの技術が郡を抜いとるのは言うまでもありませんが、中国にも劣る。
日本はまだまだ映画の映像技術においては追い付いていないなという印象はあります。

と、この様に映像面でのクオリティは抜きん出たものがありますし、それだけでも見る価値があります!
映像は素晴らしいんです、ホント映像は!

しかし、一転すると映像「は」素晴らしいという誉め言葉は映像「しか」取り柄がないという事でもあります。

お察しの皆さん、ここからは僕のガチな評です。
この映画を見てメチャクチャ良かったと大絶賛した皆さん、ごめんなさい。はっきり言って内容は見事に悪い意味で斜め上を行っており、僕の感性には全くそぐわないものでした。いや、厳密に言えば日本公開版の上映方式やタイトル等について私は大変残念に感じていますのでそこを強調してお伝えします。

まず本作は染谷将太が中国語を習得し中国語で演技をしています。
予告編でも中国語を話す染谷空海がフィーチャーされておりました。
しかし現在公開されてるものは日本国内においてはすべて吹替版との事です。

何でやねん!!

字幕版と吹替版で公開して好きな方を見れる様にした方がよかったのではないですか?
とりわけ染谷将太のファンの方とかは中国語を話す染谷さんを見たかったのではないでしょうか?

中国語の上に日本語で吹替をしてしかもそれが演じてる本人なもんだからどうにもちぐはぐな感じがしてそれが見ていて違和感ありあり正直気持ち悪かったです。

それから本作を空海の伝記映画だと期待して見ないで下さい。
その期待を抱いて鑑賞をしたらえらい事になりますよ(笑)
というのもこの作品、黒猫の話しです。

もう一回言います、黒猫の話しです。

空海は白楽天とペアを組んで楊貴妃の死の謎解きに挑み、その中で重要な存在になるのが件の黒猫なのです。
従って私はこの作品をこう呼ぶ事にしました。

『名探偵空海』と。

空海が仮にシャーロック・ホームズとするならば白楽天は助手のワトソン氏です。
そう、これは『相棒』や『探偵はBAR にいる』シリーズにも通じるバディもののサスペンス作です。
なんて視点で途中から見直したらなるほど、見れなくはない。
それなりに楽しむ事は出来るんですよ。

しかし、それならそれと最初からわかりやすいタイトルをつけてもらわないと困ります。
中国語の原題はいいんですよ。
『怪猫傳』ですから。
問題は日本版の方ですよ。
『化け猫物語』とかじゃ入らないと踏んだのでしょう。
空海』ですもん。
そりゃ歴史大作を期待する人にはそそられるかもしれません。
日本史の教科書で最澄とセットで覚えたであろう空海
高野山真言宗を開いた空海
弘法大師と呼ばれるあの空海
唐に渡りどの様な修行をし、どの様に悟りを開いたか客席の7割くらいを埋めてたお爺ちゃん、お婆ちゃんは期待してたハズですよ。
ところがどっこい猫が喋るわ空海が妖術を使うわ奇妙奇天列摩訶不思議変幻自在の妖怪アドベンチャー!!!
っておい!
空海の伝記見せてくれよ~
そんなんいいよ~

と年金でシネコンに足を運んだ全国のお年寄りを裏切らないで下さい。
はっきり言います!
タイトルで釣るのはやめてください。

『化け猫物語』ならそれはそれでいいんですよ、面白ければ。
ただ歴史大作と銘打って『空海』というタイトルをつけてるのであれば空海物語を見せて下さいよ!

は~、疲れた…。
なのでこれからご覧になられる皆さん。
本作はサスペンス、妖怪アドベンチャー、ファンタジーとして見る事を推奨します。
鑑賞上の注意をよく読んで正しくご覧下さい。