きんこんのブービームービー

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

不能犯

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集英社グランドジャンプ」連載中の人気コミックを、松坂桃李主演、沢尻エリカ共演で実写映画化し、思い込みやマインドコントロールでターゲットを殺害する「不能犯」の男と彼を追う女性刑事の対決を描いたサスペンススリラー。都会のど真ん中で連続変死事件が発生し、現場では必ず黒スーツの男が目撃されていた。その男・宇相吹正はSNSで「電話ボックスの男」と噂される人物で、とある電話ボックスに殺人の依頼を書いた紙を貼ると実行してくれるのだという。彼に狙われた者は確実に死亡するが、その死因は病死や自殺、事故など、いずれも殺人が立証できないものだった。警察はようやく宇相吹の身柄を確保して任意聴取を始める。宇相吹の能力にベテラン捜査官たちも翻弄される中、女性刑事・多田だけが彼にコントロールされないことが判明し……。共演にも「ちはやふる」の新田真剣佑や「帝一の國」の間宮祥太朗ら豪華キャストが集結。監督は「ある優しき殺人者の記録」の白石晃士

人間が持つ最も凶乱的かつ暴発的感情。
それは殺意。
溜め込んだ悪意が衝動的にあるいは暴走を始めた時、人は人を殺めてしまうのでしょう。

なんて冒頭から物騒な話しになりましたね。
本作『不能犯』はそんな人間の殺意から展開されていく悲喜劇を非常に印象的に展開していき息つくいとまも与えないスリリングな作品でした。

主演は松坂桃李沢尻エリカ
まず松坂桃李と言えば好青年的な役柄で人気を博してきたイメージがあります。
しかし、近年は様々な役に挑戦し少し前の妻夫木聡を思わせる様な演技の幅を身に付けてきている感があります。
本作でもサイコパスそのものなダークなキャラクターで松山ケンイチ藤原竜也といった面々が演じてきたダークヒーロー像を表現しています。

一方の沢尻エリカですが、復帰後は『ヘルタースケルター』(2012)、『新宿スワン』(2015)等でセクシャルな魅力を存分に発揮した様な演技で魅了してきました。
そして本作では一転。
どこかクールでありながらも根は熱血的な女性刑事を好演。
近年の上記2作と異なるタイプの役どころなので新鮮でもあり従来のエリカ様っぽさも覗かせ…。

さて、本作の様なシリアルキラー的な作品と言えば『悪の教典』、『ミュージアム』、『22年目の告白』等の作品が連想されます。
しかし、それ以上に私が感じたのは2012年の『ツナグ』でした。
亡くなった大切な人を蘇らせ夜の間だけ一緒に過ごしてもらうというあの感動作『ツナグ』とこの恐怖と絶望のスパイラルの様な本作がなぜ?というトコロですが、ひとつに殺人を依頼する人物がおり、松坂演じる宇相はそれを引き受けます。
そして対象となる人物を次々に殺していくのです。

依頼→受託→決行

の流れって『ツナグ』そのものなんですよね。

そして本作はオムニバス形式となっております。
『ツナグ』もまたオムニバスでストーリーが進行されておりました。
『ツナグ』で死者を蘇らせていた高校生を演じていたのはそう、松坂桃李
まさに本作は闇のツナグ、あるいはツナグ暗黒版と表現出来る様な作品だと思いました。

本作では登場人物が次々と非業の死を遂げていきます。
全編に渡ってただならぬ緊張感も生み出されており息をのむ描写の数々に絶望を感じる事でしょう。
そして総じて人間の愚かさ、醜悪さ等が抽出されているのですが、誰一人として救われません。
殺された人も報われなければ依頼をした人も報われない。
因果応報というメッセージも読み取れます。
人を恨み、憎しみ殺意に変わり宇相の手によって殺めてもらうも殺人に及んだ後は殺されるよりも残酷な現実。
人を呪わば穴二つという諺がある様に人を殺しても決して幸せになどならないのです。

後半はやや強引なまとめ方が残念でした。
間宮祥太郎演じる料理店の従業員がクローズアップされてからは話しにブレが生じてしまった感があり、どうもしっくり来ない。
宇相と多田の心理戦が面白かったのにそこに来て強引に絡めてしまった様で後味が悪いんですよね~。
ネタバレになるので詳細は割愛しますが。

しかし、全体を通して作り出されていた緊張感やおどろおどろしい描写などは見所だと思います。

グロテスクな作品に飢えていた方にはオススメです!