きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

祈りの幕が下りる時

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阿部寛主演、東野圭吾原作による「新参者」シリーズの完結編。東野の人気ミステリー「加賀恭一郎シリーズ」第10作の映画化で、2010年に放送された連続ドラマ「新参者」、2本のスペシャルドラマ、映画「麒麟の翼 劇場版・新参者」に続き、阿部が主人公の刑事・加賀恭一郎を演じる。父との確執、母の失踪など、これまで明かされることがなかった加賀自身の謎が明らかとなる。東京都葛飾区小菅のアパートで滋賀県在住の押谷道子の絞殺死体が発見された。アパートの住人も姿を消し、住人と押谷の接点は見つからず、滋賀県在住の押谷が東京で殺された理由もわからず捜査は難航する。捜査を進める中で加賀は、押谷が中学の同級生で演出家の浅居博美をたずねて東京にやってきたことを突き止めるが……。演出家の浅居博美役を松嶋菜々子が演じるほか、山崎努及川光博溝端淳平田中麗奈伊藤蘭小日向文世らが顔をそろえる。監督は「半沢直樹」「下町ロケット」「3年B組金八先生」など数多くのヒットドラマを手がけた福澤克雄
映画・com より

にべもない事を言いますがTBSのドラマ映画というと個人的にはさほど良い印象がなく、これまでも数々のドラマの劇場版を見てはため息をついてしまったものです。
取り立てて名前を挙げる事はしませんが、おしなべてファン向けの内容で取り残される事がしばしば。
それだけなら私の予習不足と言えますが、映画と呼ぶにはあまりにも粗い内容だったものが多かったです。

それを踏まえて本作です。

ドラマ『新参者』自体は数回程度は見てます。
尚且つ前作の劇場版『麒麟の翼』は劇場鑑賞したのですが、6年前の作品という事もあって記憶にないんですよね。
ただ、ドラマ映画とは言えドラマ自体が一話完結なので一本の独立した映画として鑑賞に耐えうる作品でライトな層にも優しいという印象があります。

そして『新参者』最新作にして最終作となるこの『祈りの幕が下りる時』です。

正直、冒頭からは嫌な予感がしてたんですよ。
というのがテロップの多用。
妙に説明くさいテロップから始まる為、少なからず不安は感じました。

しかし、それを一蹴するかの様に脚本が素晴らしかったです。

本作を見た上でその印象を端的に表現するのであれば

エピソード・オブ・加賀恭一郎

でした。
阿部寛演じる加賀恭一郎という刑事のストーリーが見事なまでにブラッシュアップされていく彼の母親にまつわる出来事、そして本作の中心人物である松嶋菜々子演じる浅居博美と彼女を取り巻く謎の事件。
それが結び付いた時に明かされる本作のタイトル『祈りの幕が下りる時』の意味。
これを知ったら本作を涙なしでは見る事が出来ませんでした。

人気演出家として華やかな世界に身を置く浅居博美。
しかし、彼女には壮絶な過去があり、それを回想するシーンが本作の最大の見所となっています。
時は25年前。
失踪した母親が残した借金の取り立てに博美と父親は頭を悩ませた末、遂にある夜家を捨てて北陸へと向かう逃亡劇が始まります。
中学生時代の博美を桜田ひより、父親を小日向文世が演じるのですが、この二人の演技にとにかく心を捕まれます。
あまりに切なくあまりに悲劇性に満ちた親子の姿には涙なしでは語る事が出来ません。
コメディイメージの強い小日向さんにこんなに泣かされるなんて思いもしませんでした。
道中で訪れる能登での断崖絶壁の光景は視覚的にも荒々しくそして今にも破滅の選択を迫られたかの様な父親の心境とリンクしていたたまれなさを感じます。

しかし、一方で気になる点としては浅居親子が離別するシーン。
名を変え姿を変え再会を誓う父親がはじめに使った手紙上での偽名・近藤今日子という名前。
中学生の博美が近藤真彦小泉今日子が好きだからという事でした。
ただ、時代設定が1991年という事だったのですが、その頃のマッチやキョンキョンは中学生のアイドルって感じではなかったのですが?(ちなみに私は1991年当時中学一年でした)
むしろ宮沢栄作とか観月裕二とかの方がそれっぽいのでは?

とそれはさておきドラマ映画の域を超えた純然たる感動作品となっていたのは意外でした。

そしてエンディングでは杏、香川照之恵俊彰といった面々がカメオ出演
過去のドラマに登場したキャスト陣がその役で登場。
この辺りがドラマからのファンへ向けたサービスショットといったトコロでしょうね。