きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ジオストーム

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地球の気候をコントロールすることを可能にした人工衛星が暴走し、世界中が異常気象や大災害に見舞われるなかで、未曾有の危機に立ち向かう人々の姿を描いたディザスターパニックアクション大作。「インデペンデンス・デイ」の製作・脚本を手がけたディーン・デブリンが監督として初メガホンをとり、「エンド・オブ・キングダム」のジェラルド・バトラー、「クラウド アトラス」のジム・スタージェスをはじめ、アビー・コーニッシュエド・ハリスアンディ・ガルシアといった豪華キャストが出演している。世界各国の最新テクノロジーを集結し、天候を完璧に制御することを可能にした気候コントロール衛星の運営開始から3年。突如として衛星が暴走を始め、世界中で異常気象を発生させる。衛星の生みの親でもある科学者のジェイクは、衛星の暴走原因を突き止めるため宇宙へ向かうが……
(映画・com より)


帯に短し襷に長し

中途半端で役に立たないものの例えを現わすことわざです。

そんな言葉が本作ほどしっくりくるものはないのでは?という所からこの『ジオストーム』について語らせて頂きます。

本作を予告編で見た時かなり惹き付けられる物を感じました。
かつて90年代後半の終末感を煽る様に作られたディザスタームービー。
インデペンデンス・デイ』、『アルマゲドン』等大ヒット作も数知れず生み出されたのも今や昔。
久しく災害を扱ったディザスターものが影を潜めてしまった中、2018年早々にお目見えしたこの作品に対する期待は並々ならぬものがあったわけです。
東京に巨大な雹が降り逃げまとう人々を写したあの映像にスリリングな展開を期待した映画ファンはきっと私だけではないでしょう。
年末に放送された某映画紹介番組でも映画ファンで知られるキャイ~ンの天野さんが多大な期待を寄せてました。

そんなワクワク感を胸にいざ劇場へ。

しかし、蓋を開けてみたら。

ありゃりゃ、こりゃ何だい。ディザスタームービーじゃねぇだろっ!!

と思わぬ肩透かし。

総論として言えば

コンビニの幕の内弁当の様な内容でした。

味は悪くないしおかずの種類もあるが栄養面でよくない(スッキリしない)

まず、本作の主体となるべくディザスター要素が限りなく薄く、前半に少々登場した後、後半まで一切登場しません。

その間は何が展開されるかというとSFでありラブロマンスであり人間ドラマでありそれが何とも冗長的に行われるだけなのです。
災害に対峙する人類が主人公なのでラブロマンスや人間ドラマに関しては甘んじて良しとしましょう。
しかし、宇宙へ行くというSF要素があまりに蛇足なんですよ。
『オデッセイ』とか『インターステラー』みたいなハナから「これ、宇宙の話しですよ~」とわかってたらこちらの受け入れ体制バッチリですよ。
本作の場合、そうじゃないでしょ?
予告編では一切そんなシーンなかったやん?

また、予告編詐欺と言えばビーチでくつろいでた黒人カップル。
大写しで登場してたもんだから彼らが主要な人物となるかと思ったらほんの一瞬登場しただけ。
男性に至っては即効で氷付けにされてハイ、おしまい。だからね いちいち予告で出す必要もなかったでしょ。

一方、主要人物たちのやり取りに関しては悪くはなかったと思います。
まず、兄弟の描写。
異常気象を制止する装置(その名もダッチ・ボーイ!)を開発した研究者の兄と異端児ゆえ彼を追放した弟。
その後、非常時が訪れ袂を分かった兄の元を訪れ懇願する虫の良さはありますが、その後の兄弟間での心理面を抽出させていく過程には一定のメッセージ性もあり共感出来るものはありました。
もしかしたら災害映画にかこつけてその部分こそ最も描きたかったのかもしれません。

また、弟と恋人の関係性も良かったです。
彼女は大統領の警護をする要職に就いている為、同じく要職にある弟との交際は大々的に明かせないのです。
しかし、そんな二人がとある秘密を知ってしまった為、バディとなり秘密をつまびらかにし、危機に直面した大統領を救うのです。
そしてその大統領もまたなかなか良い味を出した好人物でした。
危機に瀕し派手なカーチェイスを伴うアクションにも巻き込まれながら彼ら二人によって助けられるのですが、絶妙なコンビネーションの二人に思わず大統領が発した言葉が

「お前達、結婚しろ」


なかなか粋じゃないですか。

思わず「よっ!大統領!」なんて言いたくなりました。

トランプ政権に以降後、映画でもトランプ大統領を皮肉る描写は数々見てきました。
この大統領も確かに強い個性はありますが、嫌いになれない人物像が印象深いです。

そしてメイン(?)となる災害シーン。
確かに見応えがあります。
特に香港では地熱が上昇し、そのマグマが大爆発。
人々を混乱に陥れます。
買い物帰りの青年がうっかり卵を落とし、それが瞬間的に目玉焼きになるのですが、この地熱が如何に上昇しているかを伝える上で非常に効果的なシーンだったと思います。
一方ではそこまで地上の温度が上がってるのに何故そこにいる人達はマグマが吹き上げるまで平静を保っているのだというツッコミはありますけどね(笑)
他予告編でも流れた東京での巨大な雹、リオデジャネイロでの人を氷付けにする大津浪(2011年だったら日本では公開されなかったでしょうね。)
と各地での災害を写すシーンは確かに迫力がありますが、全体的にはやっぱり中途半端。
あれこれ詰め込み過ぎなければもっとまとまった作品だったと思うのですが、そこが何とも勿体ない。

ちなみに日本版の主題歌はB'zとの事。
そういう攻めのスタンスは嫌いじゃないですよ。