きんこんのブービームービー

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

オリエント急行殺人事件

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1974年にも映画化されたアガサ・クリスティの名作ミステリーをケネス・ブラナーの製作・監督・主演、ジョニー・デップミシェル・ファイファーら豪華キャストの共演で新たに映画化。トルコ発フランス行きの寝台列車オリエント急行で、富豪ラチェットが刺殺された。教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人という目的地以外は共通点のない乗客たちと車掌をあわせた13人が、殺人事件の容疑者となってしまう。そして、この列車に乗り合わせていた世界一の探偵エルキュール・ポアロは、列車内という動く密室で起こった事件の解決に挑む。主人公の名探偵ポアロ役をブラナー、事件の被害者ラチェット役をデップ、未亡人役をファイファーが演じるほか、教授役にウィレム・デフォー、家庭教師役にデイジー・リドリー、公爵夫人役にジュディ・デンチ、宣教師役にペネロペ・クルスが配されている。

(映画・comより)

アガサ・クリスティーの古典サスペンスとしてあまりにも有名な原作ですが、豪華俳優陣を配してさながら舞台演劇を見るかの様な作りとなっております。
探偵・ポアロを演じたケネス・ブラナーも天才的名探偵でありながらかなりの変わり者というキャラクターが愛らしくもあり。
そんなポアロのキャラクターを端的に表すものとして冒頭の玉子を朝食にするシーン、そして食しようとしたまさにその時に発生した事件の推理から解決に至るまでにおこした一連のアクション。
本作のプロローグは実に明解かつスピーディーに展開され見る者を一気に作品世界へ引き込んでくれます。
実に見事な掴みです。

そしてポアロは休暇を利用してオリエント急行で旅へ出掛けるのですが、そのシーンがまた印象深いです。
列車に乗る乗客達、つまりは本作の主要な登場人物たち。
彼らが旅への高揚感を高めながら列車に乗り込んで荷物を置く。
バーカウンターのある食堂車にはジャズを鳴らす蓄音機があり、それが何ともお洒落です。
乗り物と旅、そして乗客の高揚感なんて言ったらかの大ヒット映画『タイタニック』を思い出しましたよ。後に待ち受ける悲劇というテーマにも共通しますな。

そしてオリエント急行は発車するのですが、その後もこの急行と周囲の風景というコントラストは実に見ごたえあります。
特に大雪原を走るオリエント急行はまるで絵画を見る様な素晴らしさ。
広大なロマンを感じさせ、思わず大瀧詠一の名曲が頭に流れました…ってアレはシベリア鉄道か(笑)
また食堂車での料理も実に美味しそう!
こんな列車で旅をしたいな~!

とここまでは「豪華寝台列車オリエント急行」という題名でもつきそうな情報番組の一コーナーでやりそうな内容です(笑)

しかし、本作はあくまでもサスペンス映画です。
誰かが殺されるという事は予めわかってるわけです。

オリエント急行の優雅な旅から劇的変化を余儀なくされるのが雪原を走る中、発生する列車の事故、そして遂に本作の核となる殺人事件が発生します。
その事件を映すシーンが印象深いものでして、天井から事件現場前の廊下を写し、ポアロらが事件について語り出します。
つまり事件現場の生々しさの描写ではなく現場を目撃した関係者の心理的動揺や機微をリアルに伝える情景を優先したカメラワークとなっています。
それによって見る人に一定のリアリズムとインパクトを与えます。
そんな秀逸なカメラワークは好印象です。

しかし、そんな視覚的訴求が素晴らしいものだけに聴覚的あるいは心理的訴求が少々残念なものになってしまったので個人的には惜しいという感がどうしてもあります。
それは事件発生後の展開があまりにも早すぎてついていけなかったという点でしてこういう作品に求めるものとして登場人物の内面から吐露される証言などから見ている側も一緒に推理する楽しみも必要かなと思うのですが如何でしょう?

それが探偵・ポアロの名推理劇場を押し出すあまり他の登場人物の内面的描写が弱かったのが残念でした。
その結果、ポアロの独壇場と化した後半は眠くてたまらなかった、二回鑑賞していずれも同じ箇所でその心境に至ったのはよほど僕にとって後半が合わなかったかわかって頂けますでしょうか。

次回作を匂わせるナイル川の事件。
今作の反省から次作の構成を期待したいところです。