きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

モアナと伝説の海

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物語の舞台は南の島モトゥヌイ。一族と共に暮らす少女・モアナは海を愛し、その大いなる海への想いは膨れ上がるばかり。しかし、父からは海へ出る事を固く禁じられます。それは村の掟でもあり、かつて若き日の父もまたモアナと同じく海へ憧れ、海へ出たのですが、生死をさまよう危険な目に遭遇したからでもありました。
ところがある日モトゥヌイに異変が起こります。そこで立ち上がったのが海に選ばれた少女・モアナ。生まれて初めて大海原へと小舟をこぎだし、命の女神テ・フィフティの盗まれた心を取り戻す為の冒険に出掛けます。
道中出会ったのは伝説の英雄・マウイ。
二人で共に戦い目的を果たしていく海洋アドベンチャーです。


さて、季節外れの海を舞台にした作品ですが、元々アメリカでの公開は昨年11月、日本では今年の3月といういずれも季節感のない時期ですね。
主題歌『How Far I’ll Go』も大ヒットしたので皆さんもよく耳にした事かと思います。

そんな本作の最大のポイントは何と言ってもその映像美にあります。
まぁそこは天下のディズニーですから『アナ雪』だろうと『ズートピア』だろうと映像技術の素晴らしさは言わずもがなですが、本作についてはまるで生きているかの様な瑞々しい海の描写に尽きます。
冒頭で幼いモアナが海と戯れるシーンがありますが、まるで小さな波に魂が宿っているかの様な生命の息吹を感じさせてくれます。
旅に出てからもこの活きた海というのを目の当たりにしますが、同じディズニー制作の『パイレーツ・オブ・カリビアン』さながらの(実写ですけどね)見るだけで爽快で海洋へのロマンを感じさせる光彩の豊かさや躍動的な描写となっているので下手な水族館へ行くよりも遥かに見応えがあります。

また、マウイの胸に刻まれたタトゥーの使い方は面白かったです。
胸元のタトゥーには人を模したキャラクターが描かれているのですが、マウイは事あるとそのキャラクターに相談し、正しい道標を指南してもらいます。
いわば心の声とかもう一人の自分との対話としての描写ですが、斬新な手法だったと思います。
もちろん私はタトゥーを彫ってないですが、こういうタトゥーがあれば彫ってみたいなと思ったり思わなかったり(笑)


ただ、どうもこの映画とは相性があまり良くない様でして、公開当初に見に行ってガッカリしたんですよ。
映像や音楽は素晴らしいです!
上記のタトゥーの使い方に驚きも感じました。
日本のジブリ映画『もののけ姫』等にインスパイアされた神と自然・人間というテーマもよく描かれていたと思います。しかし、肝心のストーリーに乗りきれなかったんですよ。
何というか説明が弱いです。
さっきまでピンピンしてたばあちゃんが急に死んだりそもそもそのばあちゃんが死んだらエイになって現れるとかモアナは海に選ばれたのだとか民話とか説話に基づいてるというのはわかりますよ。
ただ、あまりに唐突過ぎるんですよね。
あと、敵キャラとして現れるココナッツの海賊・
カカモラですね。
その登場シーンから『マッドマックス 怒りのデスロード』と結びつけられるのですが、海=海賊という発想自体はわからなくもないのですが、人間を模したキャラクターじゃダメだったのかな?
それこそ「これ、明らかにジャック・スパロウだろ?」なんて海賊が敵キャラとして現れ戦う。その後はモアナ達の重要な指南役に…という展開の方がストーリー的にも厚みが生まれそうなんですけどね。
それからラスボスを倒した後現れる女神のテ・フィティが不気味です。
島そのものがテ・フィティで、島の木々に目、鼻、口がついてそれが動き出すんですよ。
それがまだ可愛らしければ良いのですが、顔中緑色で目もギョロついているから怖いです。
小さい子が見たらショックを受けないのかななんて気にしちゃいます。

世間の評価に反して私は楽しめませんでした。
でもそれはこの作品が駄作というわけではなく、単に私の感性と作品が合わなかったという事だと思います。
ただ、最先端の技術を駆使して一流のクリエイター達が作る映像美、随所随所で効果的に流れる素晴らしい楽曲の数々、作品の裏側に隠されたテーマやメッセージを読み取るなどの鑑賞する上でのポイントはあります。
アドベンチャー作品が好きならば純粋に楽しめる作品ではないでしょうか。