きんこんのブービームービー

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

本能寺ホテル

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倉田繭子(綾瀬はるか)は会社の倒産を機に恋人の恭一(平山浩行)の実家がある京都へ行く。京都での宿泊先を求めるがどこも満室との事。途方に暮れる繭子がやっとの思いで見つけたのが本能寺ホテルだった。
道中買った金平糖を食べ、エレベーターを下りると見慣れない景色が広がっていた。
そこは1582年6月1日、本能寺の変が起こる前の日だった。
そして織田信長(堤真一)、森蘭丸(濱田岳)と出会う事に。


これ今年の作品になるんですね、もう随分前に見た様な印象です。
公開前には万城目学氏による騒動もあったりしましたが、それすらも遥か昔の様に感じてしまいます。
ちなみに私が今年に入って鑑賞した一本目の作品でもあります。
監督は数々のドラマを手掛けてきた鈴木雅之氏。(もちろんシャネルズの人ではありません・笑)
プリンセス・トヨトミ』(2011)の綾瀬はるか堤真一を配し本能寺の変前日と現代を結ぶ歴史系SFコメディを展開します。

この映画の舞台となっているのは京都。
京都観光のPR動画か?と思わせる程京都の名所が登場します。
東福寺、八坂神社、渡月橋、鴨川、先斗町等など。
去年まで京都に住んでた私にとって「鴨川のあの辺オレも座ったぞ」とか「おっ!八坂神社前のローソンだ」なんて馴染み深い場所が出る度に反応しちゃいました(笑)
二条のTOHO シネマズとか河原町のMOVIXの動員多かったんだろなぁ。(桂川イオンシネマ八条口のT-ジョイとかね・メッチャローカルですいません。)

今作のキャストは綾瀬はるか堤真一の他、濱田岳近藤正臣風間俊介高嶋政伸などの個性派が揃います。
近藤正臣さんや風間俊介さんなどの大ベテランも健在ですし、森蘭丸濱田岳さんなども良い感じです。(美少年と謳われた森蘭丸濱田岳?なんて思っておりましたが)高嶋政伸さんの演じた明智光秀
も本格的な時代劇さながらの熱演でした!
しかし、何と言っても主演の綾瀬はるかさんですね!
本作の繭子という女性はこれまでの人生をただただ流されるままに生きてきて決してアクティブとは言えない性格。
天然な綾瀬さんにははまり役で演技ではなく地の綾瀬はるかじゃない?と思わせてくれました。
特に印象深いのは信長が豪商から茶器を献上させようとするシーン。
命よりも大事な茶器なので例え信長の頼みとは言え、渡すわけにはいかないと拒む豪商から信長は力ずくで献上させます。
それを見ていた繭子が許せないとばかりに信長の手から奪い取り豪商へ返すのですが、戦国時代の暗黙の掟なんて現代人の繭子には到底理解出来ないですからね。無理もないのですが、綾瀬はるかのキャラクターだからこそマッチするんですよ。
「この人天然だけど正義感は強いんだろうなぁ」と納得させてくれますね。
ちなみにここで登場した茶器。今の価値で数億円の代物だそうで信長は権力者の象徴としてこの茶器が欲しかった様です。

その信長を演じた堤真一さん。堤さんってこの時期三つの映画とドラマに出てたんですね。
海賊とよばれた男』での硬派な船長、『土竜の唄 香港協奏曲』でのアクションもバッチリ決めるヤクザ、そして本作の信長、更にはドラマ『スーパーサラリーマン 左江内氏』でのぱっとしないサラリーマン兼スーパーマン
四者四様のキャラクターを巧みに演じ分ける引き出しの多さはさすがですね!
シリアスな作品の撮影現場にコメディのノリが出てしまったりしなかったのかななんて素人の浅はかな疑問が湧きそうですが(そもそも撮影時期が同じとは限らないか)

この信長ですが、前半は冷酷非道で鬼の様な人(森蘭丸の評)として描かれます。
しかし、繭子との交流を通して本来の自分が描く身分にとらわれない誰もが笑って暮らせる天下泰平の世を築きたいという理念を思い出すと人間味のある描写に変わっていきます。
繭子と家臣らが京の町で子供達の間で流行っている遊びに興じていると「ワシもやるぞ!」と家臣達に交じりその遊びに参加する光景は前半の冷酷非道な人物像から家臣達と同じ目線で接する信長本来の優しさを描くものとして印象深いです。
理想と高い志を胸に数々の偉業を成し遂げた織田信長
その根底には人と国の幸福を願う思いがあった様ですね。
これは「戦国時代のヒーロー・織田信長はこうであってほしい」という我々の願望も込められてる様な気がしますが、こんな信長の人物像を見れば見るほど燃え盛る本能寺の炎の中、その最後を迎える時にこみ上げてくるものがあるでしょう。

さて、この映画にはテーマがあります。
「自分探し」更に突き詰めて言えば「出来る事をやるのではなくしたい事をやる」です。
元々繭子は失業を機に彼氏との婚約も重なって京都へ来ました。
その前に東京のハローワークへ行き、就職活動をしますが、すっきりしません。
やりたい事がないのです。
厳密に言えばやりたい事を探すのではなく出来る事を探そうとする、つまり仕事をする上でやりたい事をやるという選択肢がないのです。
しかし、京都へ行き婚約者の父と会います。
京都でも人気の料亭。そこの経営者なのですが、ある決断をします。
今でこそ一流料亭へと成長した自身の店だが、料理人人生で最も充実していたのはお金のない学生達に安く料理を提供して満足してもらっていた時であると。そしてその原点に回帰し、大衆食堂に転身したいと自身のパーティーで公言します。
また、信長は天下泰平の世を築くという理念に揺るぎはありません。非業の死を遂げる時でも自らの意思を継ぎ、世を治めてもらいたいと秀吉に託します。死を迎えるその時まで、いや死してもなお、平和の為の天下統一という大願を抱き続けたのが信長なのです。
そんな信長の姿を見た繭子も最後は自分の道を見つける事になります。
やりたい事をようやく見つけた繭子が鴨川沿いで信長の幻影と共に飛来する蝶を目で追うシーンが印象的です。


京都に実家のある彼氏やその友人達が何故京都弁を使わないのかとか詰めの甘いタイムスリップの描写とかいくつか気になる点はあります。
しかし、キャスティングの妙と明確なテーマ、更にストーリー展開自体は悪くないので年代問わず楽しめる作品ではないかなと思います。
ただ、フジテレビさん。来年の年明けは信長モノやらないですよね?
信長協奏曲』、『本能寺ホテル』と二年連続ですのでさすがにお腹いっぱいです(笑)