きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

女子ーズ

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この夏の特大ヒット『銀魂』に続いて最新作『斉木楠雄のψ難』も好調な福田雄一監督。
これまでも『勇者ヨシヒコ』シリーズや『コドモ警察』、『HK 変態仮面』などでコアなファンを獲得してきましたが、その中でもブレイク直前の有村架純高畑充希山本美月などを起用し、独特な世界観を構成した2014年の『女子ーズ』が私は好きでして、今回はそんな『女子ーズ』を紹介したいと思います。


謎の司令官・チャールズ(佐藤二朗)によって結成された女子だけの5人組戦隊その名も女子ーズ。
特別な戦闘能力を持つわけでもない至ってフツーの女の子達。
選抜基準はただひとつ、名前に色が入っているというだけの適当なものだった。
メンバーは仕事熱心で真面目な性格のOLで女子ーズのリーダー・レッドこと赤木直子(桐谷美玲)、気の強いショップ店員でギャルのブルーこと青田美佳(藤井美菜)、極貧でバイトの掛け持ちで生計を立てるフリーターのイエローこと黄川田ゆり(高畑充希)、売れない劇団員のグリーンこと緑川かのこ(有村架純)、良家のお嬢様だが男の趣味が悪いネイビーこと紺野すみれ(山本美月)の5人。
何故ピンクではなくネイビーなんだ!と言いたくなるトコロですが、桐谷美玲有村架純高畑充希山本美月藤井美菜といった美人女優たちがシュールなギャグを繰り広げながら地球侵略を目論む怪人たちと戦います。

一応ジャンルで言えば特撮ヒーローものとなります。
しかし、戦闘シーンと言ってもライダーや戦隊モノの様な本格的なアクションなんてありません。
戦闘中にガールズトークはするわ、メンバーが集まらなければケータイで呼び出しをするわメンバーの心がバラバラになりレッドしか現れなかった時には他のメンバーを集めるため、怪人を数時間も待たせたりします。
女子ーズの唯一の必殺技とし繰り出されるのが女子トルネードなのですが、いいんですよこれが。
いい意味でショボくて(笑)

そして彼女達と戦う怪人たちも面白かったですよ。
明らかに弱そうですもん(笑)
いくら5人集まってるとは言え至ってフツーの女子に派手な戦闘を展開するわけでもなくあっけなく負けちゃうわけですから。
ケータイの呼び出しをちゃんと待ってあげたりとかメッチャ優しいじゃないですか(笑)
実はこの悪いヤツなのに憎めない怪人達って強く出たいのに女子のペースに振り回されてしまう世の男性達をイメージしてるのかななんて思っちゃいました。
それはそうとカメムシの怪人は臭そうだったなぁ。美人女優たちにウ⚪コウ⚪コと言わせてしまうくだりはサイコーです(笑)

前半はひたすらゆる~く展開されていくのですが、中盤に入りレッドの仕事が忙しくなっていくとシリアスな様相を見せていきます。

人一倍真面目で責任感の強い女子ーズのリーダー・レッドですが、本職の仕事で自分のプロジェクトが進行していくと大事な会議が入ったり、重要なプレゼンがあったりと戦闘現場に姿を見せなくなります。
怪人との戦いを終え、傷を負った他のメンバーがレッドの元を訪ねますが、仕事を理由に戦闘に参加出来ないとわかると不満をあらわにします。
自分たちだってバイトや芝居の稽古を抜けて戦ってるのに自分の都合だけ考えるのは許せないという言い分です。
これまで力を合わせて戦ってきた5人に初めて不和が訪れます。
その第一要因としては生活環境の違いから生まれる価値観の違いにあります。
彼女達のやり取りの中でこんな描写があります。
皆それぞれのバイトや予定を抜けてやっていると詰め寄るメンバーに対してレッドは
「みんなはバイトでしょ?私は正社員として仕事をしているの!」(正確なセリフは曖昧ですが、こんなニュアンス)と言います。
仕事という物差しでの優劣問題として正社員として働く人が抱きがちなフリーターへの目線がリアルに描かれていたのではないでしょうか。
これは実際の人間関係でもありますよね?
正社員として働いているとフリーターとして働く人の事情などを考慮せず、自分の基準で物事を判断し、時にそれを押し付けたりあるいは相手の境遇を否定してしまったり。
何が正解かなんて事はわからないんですけどね。

テンポはゆるくギャグはシュールに、ふざけてる様でかなり組み立てられた脚本と構成。
好き嫌いははっきり別れる作風ですが、ハマる人はトコトンハマる作品でしょう。
「こんな事しちゃうの~?」とか「こんな事言っちゃう?」と思わずハラハラさせられる5人のコメディエンヌっぷりにアッパレです!
敢えて言えばメンバー中一人は若い人妻が居てもよかったかも?
家事や育児に追われる中、或いは旦那と久し振りの夫婦水入らず中に召集がかかるなんて展開が出来たかも??