きんこんのブービームービー

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

グッドモーニングショー

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踊る大捜査線』などの君塚良一監督・脚本によるコメディ映画。
中井貴一をはじめ、長澤まさみ志田未来、時任三朗、吉田羊、池内博之濱田岳等のキャストにより展開されるワイドショーと事件現場を結んだ奇妙な立て籠り事件の全貌とは?

朝7時から始まる情報番組『グッドモーニングショー』。キャスターを努める隅田(中井貴一)は以前は報道のキャスターだったが、とある失態により、朝のワイドショーを担当する事に。彼氏と別れて落ち込んでいたアシスタントの圭子(長澤まさみ)を励ました事で勘違いをされ遂には圭子から本番中にカミングアウトすると言われ、ヒヤヒヤしながら本番に。そんな中、品川区のカフェに男が人質を取って立て籠っているとの知らせが入る。犯人が要求したものは何とキャスターである隅田なのであった。


前半部は朝3時に起床する隅田キャスターのシーンから始まります。
起床すると妻と息子が神妙な面持ち。
何やら息子が大学生でありながら彼女と結婚をするとの事。
半人前の息子に父親である隅田は言います。
「結婚なんてきちんとした仕事に就いてからするものだと。」
反論する息子の言い分。
「父さんはきちんとした仕事をしてるのか朝からケーキ食べてふざけてるだけじゃないか」と。どうやら隅田の番組ではスウィーツを紹介するコーナーがある様です。
この様に息子から見た父親の仕事への評価はかなり低い様です。
しかし、この息子からの父親の仕事感が本作後半になるとどの様な変化を見せるかを語る上で重要になっていきます。
タクシーで出勤後はスタジオへ到着。その日番組で伝えるトピックスをどうするかの打ち合わせに賑わったり、件のスウィーツコーナーで紹介する予定のケーキが到着したりと本番前の慌ただしさが伝わる臨場感ある描写はさながら矢口史靖監督が『ハッピーフライト』や『WOOD JOB!』等で見せた様な仕事現場のぞき見体験的な手法でなかなか楽しく見る事が出来ます。
中井貴一演じる隅田が長澤まさみ演じる圭子の不倫疑惑をほのめかす爆弾発言にビクビクする描写もひと昔前の三谷幸喜っぽさを感じさせ面白かったですね。
また、報道部とワイドショー制作班の力関係もリアルな感じ。
実際の現場はどうなのか知りませんが、我々がイメージする
報道=硬い、真面目
ワイドショー=軽い、チャラい、薄い

という(作ってる人達は真剣なのでしょうが)イメージを地でいく様な報道部から見たワイドショーへの視点、そこから生まれるパワーバランスはわかりやすかったです。

それから長澤まさみ志田未来という女子アナ役二人の原稿読みがうまかった!そこらの女子アナ以上ですよ。

ただ問題は中盤以降ですね。濱田岳演じる立て籠り犯・西谷が隅田を要求し、隅田を現場に向かわせる辺りから。
松重豊演じる警視庁の指揮官と共に立て籠り犯の居るカフェへと入っていく隅田。
防弾ヘルメットに防護服と厳重な装備です。
途中、池内博之演じるディレクターからスポンサーのライバル会社の看板が映るから向きを変える様指示するゲスな描写があります。
そこは気になりません、この人たち、そういう人達だから(笑)
そんな事よりも松重豊、ヘルメットつけろ!です。
相手は人質を取ってライフル構えてるんですよ、警察の人間がどれだけ無防備なんだよ!

そもそもこの犯人の西谷の行動心理がよくわからない。
以前勤めていたカフェがブラックな労働環境だったとか火災の原因を自分になすりつけられたという犯行に及んだ動機はわかりました。
ただ、何故それを隅田に訴えるんだよ!
アナウンサーは自分で原稿作って読んでるわけではないです。本番中に発するコメントだってカンペがあってそれを読んでるだけなんですよ。
だから伝えるべき相手そのものを間違ってるんですよね。西谷の年齢は不明ですが、仮に濱田岳の実年齢くらいと推測すればこの辺りはわかりそうなものですけどね。

それから西谷に説得を試みる隅田。
さすが言葉のプロです、西谷と向き合い、彼の心を開こうとすべく流れる様な話術で説得をします。
ただ、一見もっともらしく聞こえるのですが、どこかしかに漂うテレビマン的な傲りが気になってしまいます。
テレビ賛美、テレビ至上主義的なメッセージに聞こえてしまい、どうしても賛同出来ないんですよね。
また、番組スタッフ達の発想もひどいもので犯人・西谷は生きるべきか?死ぬべきか?なんてゲスな質問をリモコンのdボタンで視聴者アンケートを委ねるなんて人命を軽視してるのか?さすが天下のテレビ局様だななんて呆れてしまいます。
しかもそのアンケート結果だってひどいですからね。
あの回答を多くの視聴者が出すであろうという前提の上でのシーンですよね。視聴者、言い換えれば一般的な国民はもっと倫理的ですよ…多分。
それから吉田羊演じる隅田の妻のリアクションも気になりました。
旦那が命懸けで現場に突入するというのに「パパ、生命保険入ってたかしら?」はねぇだろ!
物事達観したクールな元女子アナというキャラクターはわかるけど、冷めすぎていて怖いです。


なんて久し振りにツッコミ祭りになりました。ひどいんですよ。
脚本も演出も構成も…だけどひどすぎると一周して面白く見れるんですよね。なので皆さんどうかハードルは低くしてご覧ください。