きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

後妻業の女

f:id:shimatte60:20170918170914j:plain
昨年8月、『君の名は。』と同週に公開されるもアダルトな層に支持され好評価を得た作品。
私は9月のファーストデーに劇場鑑賞をしましたが、この約一年振りにDVD 鑑賞を致しました。(実は公開当時は『君の名は。』や『シン・ゴジラ』より好きだった)

とかく人間の本質を描いたアウトローな映画というのは好奇的欲求を満たす意味でもコンスタントに製作されるものです。

闇金、ホストクラブ、ヤクザ、ヤンキー、犯罪者等々一定数の人気を得やすくシリーズ化されるものも多いですよね。

この『後妻業の女』は上記のカテゴリーで言えばサイコパス系とでも言うべきか、殺人が絡む作品ですが、女性が主人公になっているという点ではアウトロー物でも異色な作品かと思います。

資産家の老人の後妻となる事によって老人の遺産を狙う後妻業。その後妻業で数々の男を手玉に取ってきた女・小夜子を大女優・大竹しのぶが演じます。

この大竹しのぶ演じる小夜子。ひたすら狂気に満ちておりまして、津川雅彦演じる資産家の後妻となり、その資産を得る為に画策していきます。
いやいやその手口の何と醜悪かつ巧妙な事。
点滴を外し、その中に空気を入れる
たちまち資産家は苦しみだし、息絶えるのです。
そして葬儀には喪主を務め、棺の開きを開けてキスまでし、悲しみの未亡人を演出するのですが。

しかし、事の本質を見抜いた遺族も黙ってはいません。
資産家の娘姉妹(長谷川京子尾野真千子)が現れ、真相を暴く為に動き出します。
長谷川京子演じるお姉さんは比較的おっとりしてるのですが、(本作で唯一の常識人。本作の良心の様な存在です)尾野真千子演じる妹がとにかくアクティブで焼肉屋で大先輩の大竹さんと取っ組み合いのケンカをするシーンは関西姉ちゃんの本領発揮とばかりに肉迫の演技を展開します。

小夜子を裏で動かすのは豊川悦司演じる柏木。
女好きで胡散臭い風貌をしているものの話しもうまく、会員からも信頼されるやり手の結婚相談所経営者。
しかし、裏の顔は小夜子と手を組み、資産家の遺産を食い物にする悪徳青年実業家。
このトヨエツの演技がまた良いんですよ。
裏稼業を渡り歩いてきた様な危険な男感全開です!
まぁ近年某CM で関西弁でコミカルなトヨエツさんは拝見しましたが、この映画での腹黒く醜悪で救い様なくも憎めない役柄はトヨエツにドハマリな印象を与えました。

水川あさみ演じるクラブホステス、永瀬正敏演じる探偵、風間俊介演じる小夜子の息子と登場人物揃いも揃って一癖二癖あります。
また数々の男を騙し続けてきた小夜子が初めて騙される側に…という展開もありますが、笑福亭鶴瓶演じる竿師(詐欺師ではなくさおしね・笑)がまたカオスです。
小百合の言葉を借りるなら「通天閣やない、スカイツリーや」な竿を武器に女を釣ってきたこの竿師。
不動産業を謳い小百合に近づいていくのですが、とにかく胡散臭い。
小百合にぶちギレるシーンはなかなかの迫力があります。
怪盗グルーの声優や山田洋次映画などでの人の良さそうな役柄が鶴瓶師匠の表面なら本作の師匠は裏鶴瓶とでも言うべきでしょうか。

本作は大阪を舞台にしており、終始スピーディーな大阪弁で展開されます。
豊川悦司さん、尾野真千子さん、水川あさみさん等ネイティブな関西人は言うに及ばずですが、大竹しのぶさんの関西弁が迫力あります。
鶴瓶師匠曰く関西人と付き合ってた人の関西弁やと大絶賛でしたが、元旦那のさんまさん仕込みという事でしょうか。
とかく関西出身以外の人の関西弁と言うのは違和感がありそうなものですが、大竹しのぶさん、流石です!!

ちなみに本作。実際に起きた殺人事件を元に作られた小説が原作です。
しかし、凄惨な内容とは別にコメディタッチで作られている為、重くなるどころかスカッとした爽快感すらあります。(不謹慎承知で言えば)
登場人物はクズばかり。
しかし、誰一報われないし、裁かれもしない。
不条理な反面、達観視出来るのである意味プロレスや格闘技を見る様なエンタメ性を帯びているのかもしれません。
闇金ウシジマくん』や北野武監督の『アウトレイジ』、『竜三と七人の子分たち』等ヒットするアウトロー物で共通するものかもしれませんね。

後妻業の女 DVD通常版

後妻業の女 DVD通常版

後妻業の女 Blu-ray通常版

後妻業の女 Blu-ray通常版

後妻業の女 Blu-ray豪華版

後妻業の女 Blu-ray豪華版