きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

アリー/スター誕生

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歌の才能を見いだされた主人公がスターダムを駆け上がっていく姿を描き、1937年の「スタア誕生」を皮切りに、これまでも何度か映画化されてきた物語を、新たにブラッドリー・クーパー監督&レディー・ガガ主演で描く。音楽業界でスターになることを夢見ながらも、自分に自信がなく、周囲からは容姿も否定されるアリーは、小さなバーで細々と歌いながら日々を過ごしていた。そんな彼女はある日、世界的ロックスターのジャクソンに見いだされ、等身大の自分のままでショービジネスの世界に飛び込んでいくが……。世界的歌姫のガガが映画初主演でアリー役を熱演。もともとはクリント・イーストウッドが映画化する予定で進められていた企画で、「アメリカン・スナイパー」でイーストウッドとタッグを組んだクーパーが初監督作としてメガホンをとり、ジャクソン役でガガとともに主演も果たした。
(映画.comより)

それにしても映画シーンにおいて2018年という年を振り返った時、音楽映画の年だったと後年語られているんでしょうね。
どれだけ音楽映画が公開され、ヒットを飛ばしてきたか。
そしてそんな2018年の年の瀬にまた新たな名作が日本で公開されました。
『アリー/スター誕生』。
1937年の『スタア誕生』からこれまで4回に渡ってリメイクされてきた作品。
とは言え、今作の前にリメイクされたのはかれこれ40年前。
自分はこれまでの作品は全くの末見なので今作をまっさらな状態で鑑賞してきました。
当初はクリント・イーストウッドが監督をし、ビヨンセが主演をつとめる予定だったのが、話しが流れ、今作の主演をレディー・ガガ、主演&監督をブラッドリー・クーパーという座組に落ち着き、2017年春に撮影がスタートしたとの事。

本作の内容に触れる前に僕にとってのレディー・ガガについてお話ししておきます。
ぶっちゃけて言うと2008年~2011年頃まではめちゃくちゃ好きでした。
『ジャストダンス』、『ポーカーフェイス』、『バッドロマンス』からの『ボーン・ディス・ウェイ』までは神がかっていたなと思います。
アルバムもよく聴いてましたよ♪
ところが2013年のアルバムが微妙だったトコロから次第に心が離れていきまして、久しくレディー・ガガの曲は聴いていないです。
日本でのセールスも『BORN THIS WAY』をピークにアルバムのセールスも低下してる様ですが…。

とは言え、ここ日本において言えばマドンナ、マライア以来の認知度を誇る女性アーティストですし、注目される作品となったのは無理もありませんね。

そんなレディー・ガガに関してですが、これまでのパブリック・イメージを打ち破り、ナチュラルな女性を見事に演じきっています。
冴えない生活を送り、場末のバーで唄っていた一人の女性がスターダムにのしあがっていく様なんかはレディー・ガガの半生とも重なり、ある種彼女の自伝的側面も強い作品でした。
いや~、それにしてもレディー・ガガという完成されたアーティストをここまで丸裸にさせるとはスゴい!
奇抜な衣装を身にまとい派手なステージを繰り広げるあのガガ様ですよ。
もっとも別の意味でも裸にさせてるんですけどね。
ま、とりあえずそれは置いといて(笑)

一方の男性・ジャクソンを演じたブラッドリー・クーパー
世界的なカントリー・ロックシンガーである彼。
冒頭から彼の視点から見た客席更に歌唱シーンが入り、作品の性質こそ違いますが、『ボヘミアン・ラプソディ』のそれに通じるものかあり、ワクワクさせてくれます。
そして彼が見いだすのがレディー・ガガ演じるアリーなのですが、ここまではプロデューサーとシンガーの関係性が構築され、そして二人は恋仲へと発展させます。
どんどんスターダムになっていくアリー、その一方で酒により堕落していくジャクソン。
この二人のバランスが何と言っても本作の肝と言えるでしょう。
とりわけこの二人の印象的なシーンと言えばアリーの晴れの舞台を泥酔したジャクソンが台無しにするところですよね。
二人の対比を残酷にも浮かび上がらせるシーンとして、この映画を見た人ならば誰しもが衝撃を受ける場面だと思います。

さて、この映画なんですが、やや退屈に思えるシーンが少々…いや、多々あります。
2018年の音楽映画と対比してみましょう。
グレイテスト・ショーマン』、『リメンバー・ミー』、『ボヘミアン・ラプソディ』。
いずれも音楽シーンはもちろん、それ以外のシーンでもテンポも良かったですし、飽きさせない作りや演出はそこかしこにありましたよね。
ところがこの『アリー/スター誕生』。
容赦なく退屈にさせてくれる。
それも言っておきます。
敢えて意図的にです。
でもそれはブラッドリー・クーパーが監督として未熟だからという事ではなく、ブラッドリー・クーパークリント・イーストウッドの影響を多分に受けているからというところに尽きるんですよね。
元々、ブラッドリー・クーパー
イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』にも出ていますし、本作だって前述の様に当初はイーストウッドがメガホンを取る予定だったのです。
その流れを汲むにあたってやはりイーストウッドイズムが継承されるわけですね。
ひとつの物語を実在するドキュメンタリーの様に撮る手法。
色使いと言い、手持ちカメラのぶれ、アリーとジャクソンの日常シーンにおけるリアリティズム。 
映画通ほど唸る作品なのでしょうが、総じて言えば好き嫌いがはっきり別れる作品でしょう。

それからこの作品において特徴的なのが、あまり第三者の目線を入れず、アリーとジャクソン二人の世界を中心に展開されている点。
例えば前述の晴れ舞台での大失態なんて第三者から徹底的に叩かれる視点が入ってもおかしくないでしょう。
しかし、敢えてそれは入れずせいぜい身近な人から灸を据えられる程度。
この構造って何かに似てるなと思ったら『ラ・ラ・ランド』なんかはそうでしたね。 
二人の視点から描かれる、だからこそあのエンディングが映える。
本作においてもまさに同じ事が言えるのですが、ラストはめちゃくちゃ際立って素晴らしいです!
それはこの二人のストーリーだからこそというのを感じられるからです。
ここから先は劇場でご覧頂くとしましょう。

それから音楽のシーンについて。
これもよく『ボヘミアン・ラプソディ』と比較されるので気の毒でもあるのですが、物足りないなんて声も聞きます。
理由は簡単。
ボヘミアン・ラプソディ』の場合、ラスト20分のライブエイドのシーンで全てを持っていくかの様なカタルシスを生み出しているし、そもそもあれがあるからこそ多くのリピーターを生み出しているわけじゃないですか。
対してこの『アリー/スター誕生』の場合、ビターなストーリーの中に寄り添う様に曲を配置する。
それも決して派手な曲ではないが、しかし確かに心にじわじわと沁みてくる様な日本の演歌に近い楽曲なんですね。
なので比べる対象が違うし、そもそも同じ土俵の上で競う相手ではないんですよ。
ボヘミアン・ラプソディ』には『ボヘミアン・ラプソディ』の『アリー』には『アリー』の良さがあるというべきなのでしょうが、如何せん公開のタイミングがタイミングなだけにね…。

とりあえず『ボヘミアン・ラプソディ』の事は一回頭から切り離してピュアな気持ちで見る事をおすすめします!

平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER

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平成仮面ライダーが共闘する劇場版「仮面ライダー平成ジェネレーションズ」の第3弾。2000年に放送を開始した平成仮面ライダーシリーズの1作目「仮面ライダークウガ」から、18年9月に放送開始し、平成最後のライダーとなる20作目「仮面ライダージオウ」まで、歴代の平成ライダーが結集する。仮面ライダージオウこと常磐ソウゴと仮面ライダービルドこと桐生戦兎の世界で、それぞれ仲間たちが次々と記憶を失っていく異変が発生していた。そんな2人の前に、すべての歴史を消し去さろうと企むスーパータイムジャッカーのティードが現れる。ティードはアナザー電王とアナザーWという強力な手先を差し向け、シンゴという少年を追っていた。シンゴを守る戦いの中で、ソウゴは仮面ライダー好きの青年アタルに出会うが、一方の戦兎は、ティードに洗脳されて操られてしまい……。
(映画.comより)

「平成最後の~」と何かにつけて言われるこの頃ですが、平成最後の仮面ライダー映画そして平成ライダーとなり、20作目の記念作です。
思えば2016年、TOHOシネマズでフリーパスを入手した事で毎年年末に見る様になった仮面ライダーの劇場版。
今回は例年より公開が遅かった為、1月9日にようやく鑑賞を踏み切るに至りました。

いや~、 さすが記念作!そして平成最後の劇場版とあって力が入ってる!
まず何と言ってもバトルシーンに迫力があるので見ていて力が入ります!
そしてやはり歴代のライダーが揃うシーンなんかは圧巻ですね!
これは以前プリキュアを扱った際にも言いましたが、長く続くシリーズ物ともなるとそのシリーズを作ってきた様々なキャラクターがいるわけてす。
特に強い愛着を持つキャラクターも当然人によって色々ですし、親子二代でそのシリーズを見てきたなんて事も珍しくありません。
その点今作においてのそのニーズへの対応力は何ともはんぱない!

歴代の平成ライダー達がこれでもかと出てくる!
平成ライダー弱者の自分にとっては「へ~、こんなライダーが居たのか~」なんて興味深く見ておりました!
そして仮面ライダーと言えば若手俳優の登竜門とも言えるシリーズでもありますが、今作には今や超売れっ子の人気俳優となった彼が登場します!
劇場によっては登場した瞬間、どよめきがあったなんて言いますが、貫禄ありますよ!
そういえば前作では福士蒼汰くんがフォーゼとして登場。
「宇宙キタ~‼‼」と惜しげもなくアクションをしてくれてましたけど、こういう人は好感持てますよね。
ファンも嬉しいんじゃないでしょうか。

さて、本作のストーリーですが、パラレルワールドと言うのでしょうか。
ふたつの世界で展開されます。
ひとつはライダー達のいる世界。
もうひとつはライダー達はあくまで架空の存在でテレビの中で活躍していると認識される世界。
つまり今僕達の居る世界です。
更に初代の平成ライダーが世に出る前の2000年1月までタイムスリップするという時空操作の要素まで含まれるというドラえもん映画も顔負けのSF的展開まで出てくるというなかなかボリュームのある内容となっています。
現在、18歳の少年がライダーと共に自分の出生の謎に迫るというミステリー要素まであるし、はっきり言ってストーリー的には大人の方が楽しめるのでは?

しかし、ライダーが現れればそこはいつもの特撮アクションに変わるわけでして、そこは大人・子供関係なくアガル構造です。
そして歴代のライダーが戦うシーンでは皆でライダーを応援するという描写が見られるのですが、世代によっての贔屓ライダーが如実に反映されていて面白い!
大人はやはり初期のライダーに思い入れがあるし、子供はもちろん最近のライダーを応援する。
前述のプリキュアも然りですが、こういうコンテンツを持つ東映の強みですよね!
単なる子供向け映画に終始させないサービス精神が感じられ、胸が熱くなります!
そしてそれだけでは終わらないのがエンディングの曲です。
歴代ライダーのテーマ曲をリミックスしてメドレーで流す。
いや、去年のもそうでしたが、毎回このエンディングへの強いこだわりを感じられます。
思い入れの強い人ほどエモいでしょうね!

見終わった後、爽快感が漂っていたのは今作もまた然り。
やはり仮面ライダーは偉大であると感じた次第です。

シュガー・ラッシュ:オンライン

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人間たちが知らないゲームの裏側の世界を舞台に、アーケードゲームのキャラクターである悪役ラルフと少女ヴァネロペの冒険と友情を描いたディズニーアニメ「シュガー・ラッシュ」の続編。好奇心旺盛なレーサーでプリンセスのヴァネロペと、心優しい悪役キャラクターのラルフは大親友。ある日、ヴァネロペが暮らすアーケードゲームシュガー・ラッシュ」が故障し、廃棄処分の危機に陥ってしまう。シュガー・ラッシュを救うべくゲームの世界から飛び出した2人は、刺激的だけど恐ろしい危険も潜むインターネットの世界に足を踏み入れるが……。アナとエルサ、シンデレラ、白雪姫らディズニー作品やピクサー作品のプリンセスたちをはじめ、多数のディズニーキャラクターが登場する。前作も手がけた「ズートピア」のリッチ・ムーアと、両作で脚本家としてコンビを組んだフィル・ジョンストンが共同で監督を務めた。
(映画.comより)

個人的に好きなディズニー作品に『インサイド・ヘッド』(2015)があります。
この作品で度肝を抜かされたのは人間の脳内を舞台にカナシミやイカリといった感情を擬人化し、その中でドタバタ繰り広げたその発想力でした。
そしてその過程では人間の記憶あるある等を可視化したりと作った人の想像力には敬服したものです。

そして次は何とインターネットの中の世界を舞台にするという荒唐無稽な発想力。
そういうアイデアが無尽蔵に生み出されるクリエイターの凄さたるやですよ!

まぁ、インターネットの中の世界なんて言われてもピンと来ないかもしれませんのでその辺りを詳しく見て参りましょう。
例えば普段ネットを使用するにあたって検索エンジンを使いますよね。
そんな時に頭二文字程度を入力したらドバドバ~と該当しそうな言葉が出てきます。
それすらも検索してくれるキャラクターが登場します。
そして探してる単語が見つかってもそれを当たり前に思ってしまうのが僕達人間でもあります。
すると検索してくれた彼が言うんですよ。
「見つけてもお礼も言われないんです。」と。
まぁ、確かにそうだ。
今度からお礼を言お。「グーグルさんありがとう」みたいにね(笑)

で、そのグーグルと言えば。
出てくるんですよ。
グーグルもAmazonSpotifyも。
Googleを「ゴーグル」と読んじゃうラルフが笑いを誘ってくれるんですけどね。
ネットオークションも出ればYouTubeも出る。
好きな動画につける「イイネ」のシステムもあれば、TwitterFacebookも出てくる。 
何て楽しいんだ、ネットの世界!
それからネットという顔の見えない場所だから、好き勝手に書き込む罵詈雑言ってありますよね。
それが人間の醜さを現す象徴としても登場するのですが。
それからポップアップについてもしっかり可視化されます。
ラクにお金を稼げます」、「人妻と出会えます」、「確実にやせます」等々見た事ない人は居ませんよね。
そんなインターネットの世界には昼も夜もない。
常にきらびやかでかつて手塚治虫が描いた未来の姿をイメージさせる近未来都市そのもの。

そして更に見所と言えばディズニーの自虐を惜しげもなく披露するその太っ腹ぶり!
今やスターウォーズもマーベルも傘下に置く巨大エンタメ帝国・ディズニー。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートも出れば『スターウォーズ』からも大量にキャラクター投入。
ズートピア』のニックがなに食わぬ顔で歩いてたりする。
そしてディズニープリンセス大集合!
白雪姫にシンデレラに人魚姫、アナとエルサも居るしモアナもラプンツェルも!
それだけでも華やかなのですが、何とそのキラキラプリンセスの皆さんにパーカーやスカジャン、Tシャツを着せてしまうという大胆さ(笑)
更にディズニー映画ではまず見ない事はない急に唄い出すあのミュージカルシーンをもパロディにしてしまう。
でもこのシーンって別の見方も出来るんですが、ドレスを脱いでカジュアルな服装になるプリンセス達ってめっちゃリラックスしてるんですよね。
綺麗なドレスを着飾ってるプリンセスだってたまには解放されたいんですよね。
そしてC-3POがこの楽屋に居るプリンセス達を呼びに入った時、プリンセスの面々が口を揃えて「またドレスに着替えないと~」なんて事を口にしてたりする。
プリンセスだってたまには楽になりたいなんてシーンでもあるんですよね。
ちなみにこのプリンセス達の中でやや浮いてたのがメリダ
メリダがよくわからない事を口にするのを聞いたヴァネロペが何て言ってるのか他のプリンセスに聞くんですよ。
すると「私たちもわからないの、だって彼女だけ別のスタジオだから」と答えます。
そう、『おそろしの森メリダ』ってピクサーの製作なんですね。
いや~、そういうところも細かい(笑)
ちなみにこのプリンセスの楽屋に現れたヴァネロペを当初、不審者と思い各々が武器を手に戦おうとするのですが、ディズニープリンセスってキラキラしてるイメージがあるけど、それぞれ映画内では戦ってたりもするし、何気に戦闘能力高いんだよな~と改めて感じた次第です。


更にこれは前作でもそうでしたが、オールドゲームからもしっかりキャラを拾う。
ストリートファイターⅡ』のザンギエフがめちゃくちゃよく出てくる(笑)
ゲーム内では戦う同士の春麗とは「お前ら付き合ってんのか?」て位仲良いし、終盤にはゲームキャラを集めて読書会なんて開いたりします(笑)
更にヴァネロペとラルフの間ではザンギエフはムダ毛処理をしてるかどうかで話しが盛り上がったりするし。
後、ゲームキャラではソニックも登場してましたね。

2018年は『レディプレイヤー1』が話題となりましたが、一つの映画作品内で多様なキャラクターを登場させ、視覚的な楽しさを生み出す作品は今後も生まれるかもしれません。
ちなみにそういう映画っていくらキャラクター使用料使ってんだろう。
素朴な疑問…。

さて、この作品で描かれる肝となる部分について。
ラルフとヴァネロペは見た目こそ親子とも思える年の差ですが、二人は年齢を超えた大親友です。
彼らの友情が生まれたきっかけ等については前作に譲るとして、今作では二人の間にギャップが生まれていきます。
まず、好奇心旺盛で変化を求めるのがヴァネロペ。
対してラルフは前作で見つけた自分の居場所とヴァネロペとの関係を維持したい。
いわば保守的なラルフと革新的なヴァネロペ。
二人の考えがぶつかります。
両者の考えはいずれよくわかります。
しかし、そこにどう折り合いをつけていくかそれが本作においての最大のポイントでしょう。
心優しいラルフの行動がとんでもない事態を引き起こしてしまうのも事実です。
しかし、例えば友人でありカップルであり夫婦であり、二人の関係では考え方の相違という問題は避けては通れません。
その問題提起がしっかり描かれていました。

それからヴァネロペがネットの世界で友人となるシャンク。
彼女はレースゲーム「スローターレース」のキャラクターなのですが、『ワイルドスピード』に出てきそうなクールな女性レーサー。
僕は吹替版で見ましたが、菜々緒さんの雰囲気にピッタリでした!

ちなみにこの作品はエンドロールが流れてもすぐに立たないで下さい。 
ヒントを言えば「うさちゃんかわいそう~!!」
とだけ伝えておきます。

インターネットの世界で繰り広げられる一級のエンターテインメント作品。
この冬、是非親子でご鑑賞下さい。

ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー

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鳥山明原作の大人気アニメ「ドラゴンボール」シリーズの劇場版20作目となる記念作品で、2015~18年に放送されたテレビアニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」を映画化。15年の劇場版「ドラゴンボールZ 復活の『F』」同様に、鳥山が自ら原作・脚本・キャラクターデザインを担当した。「力の大会」が終わり、宇宙にはまだまだ見たことのない強者がいることを知った悟空は、さらなる高みを目指して修行に明け暮れていた。そんなある日、悟空とベジータの前に、見たことがないサイヤ人ブロリーが現れる。地獄から再び舞い戻ったフリーザを巻き込み、悟空、ベジータブロリーという3人のサイヤ人の壮絶な戦いが始まる。
(映画.comより)

明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願い致します。
昨年に引き続き当映画ブログをご贔屓頂きます様よろしくお願い申し上げます。
本年も拙い文章ではありますが、日本の商業映画の素晴らしさを私見等々も織りまぜながら紹介していく所存です。
皆様の映画ライフの参考にして頂ければ幸いです。


なんて新年のご挨拶もしたところで2019年最初にお届けする作品はご存じ『ドラゴンボール』の劇場版作品です。
私と同年代の男子であれば通過しなかった人は居なかったのではないかという男子のバイブルにして国民的人気マンガです。
原作の『週刊少年ジャンプ』での連載開始は1984年。
何と34年前なんですね。
それがいまだに現役バリバリの人気コンテンツとして存在する辺りに驚きを隠せないところではありますが、今後も日本を代表する人気アニメとして世界中で愛される事でしょう!

さて、劇場最新作『ドラゴンボール超 ブロリー』ですが、私は昨年12月19日に鑑賞。
2018年中にアップしようとしたのですが、年末年始の忙しさを言い訳に更新に時間がかかってしまいました。
と言うのもね、この映画をどの様に伝えるべきかめっちゃ悩んだんですよ。
何故?自分の中で『ドラゴンボール』は天下一武道会やらでわちゃわちゃやってた頃が好きでぶっちゃけ超サイヤ人がどうこうというのに深い思い入れがないからというのもそうなんですが、この最新作あまりに出来が良いのと実際この目で見ないと凄さが伝わらないというのがあるんですよね。
前作の『復活のF』では正直そこまでの高揚感がなかったというのが正直なところでして、「ハイハイ、フリーザ凄いね」以上の感想がなかったんです(思い入れのある方ごめんなさい)
ところが本作に関して思いの外(?)脚本も良く出来てたし、ブロリーをフィーチャーしながらも悟空、ベジータフリーザ等々お馴染みのキャラクターが確実に活きる構成で見ていて飽きさせませんでした。
で、前半は本来の『ドラゴンボール』らしくわちゃわちゃしてるんですよ。
ブルマがキャンキャン騒いでるの見ると「あっ、ドラゴンボールだ!」なんて妙な安心感ありますよね。
もちろんそういう件は健在です。
そしてフリーザ様の登場。
相変わらずの悪党ぶりですが、今作ではそこにブロリーが絡んできて、という流れです。

で、やはり『ドラゴンボール』と言えば何と言ってもバトルシーンなのですが、本作はハッキリ言ってヤバいです!
強さのインフラに付いていけなかった『ドラゴンボール』はZ以前が好きな僕もスクリーンに釘付けになりました!
悟空とベジータ、そしてとてつもなく強いブロリー
このバトルシーンこそが『ドラゴンボール』の真骨頂ですよ!
ま、最終的にはピッコロのサポートを得て悟空とベジータがアレしてアレするわけですけどね。

で、本作で描かれるエピソードオブサイヤ人的なドラマパートが印象的なんですよね。
カカロットベジータブロリーの生い立ちや彼らサイヤ人が暮らす惑星の滅亡等が描かれています。
様々な命運に導かれ今の彼らが居るのですね。

それから作画がとにもかくにも素晴らしかった!
バトルシーンを中心に話しますが、空中戦で見られる一手一手の攻防。打撃をくらい、吹き飛ばされ、そしてまた反撃へ転じるというサイヤ人
カカロットベジータブロリーという三人のサイヤ人によるその攻防をカットを割らず引きのカメラで捉えて独特の緊張感を生み出す。ものすごい勢いでの「寄り」と「引き」、そしてサイヤ人同士の駆け引きに見る者もまた引き付けられます。そしてそれがいわゆるドラゴンボール弱者にも絶対に「何をやっているか分からないという心理には至らない画面構成。脳への刺激が心地よくクライマックスには拳を突き上げ、歓声を挙げたくなる様なつくり。
はっきり言って見て損はないです!

鑑賞後の心地よさは近年のアニメーション作品の中でもかなり上位に入るかとは思います。

さて、先程いわゆるドラゴンボール弱者という表現をしましたが、ドラゴンボールをあまり知らないという人でも楽しめるかという点です。
ドラゴンボールに今まで一度たりとも触れた事がないという人はさすがに厳しいかもしれませんが、Z以降のドラゴンボールをかじる程度でも見た事があれば問題ないでしょう。
むしろそれくらいの人の方が満足出来る内容かもしれませんね。
この冬、サイヤ人達が繰り広げる熱いバトル、刮目せよ!

グリンチ

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「怪盗グルー」シリーズや「ミニオンズ」など、数々の人気アニメを生み出すアニメーションスタジオのイルミネーション・エンターテインメントが、2000年にジム・キャリー主演で実写映画化もされたドクター・スースの名作絵本に登場するアメリカの国民的キャラクター「グリンチ」を、新たにアニメ映画化。幼い頃はつぶらな瞳が愛らしかったが、成長してすっかりひねくれてしまったグリンチ。洞窟の中で暮らす彼は、愛犬マックスの献身的な愛にもぶっきらぼうに対応し、山麓の村人たちに意地悪ばかりして楽しんでいた。いつも不機嫌で孤独なグリンチは、村人たちが大好きな「クリスマス」を盗んでしまおうと思いつくが……。オリジナル英語版ではベネディクト・カンバーバッチ、日本語吹替え版では大泉洋グリンチの声を担当。
(映画.comより)

イルミネーション・エンターテイメントの作品が大好きなワタクシ。
『怪盗グルー』シリーズはもちろん、『ペット』更に『SING/シング』については自分の生涯でトップクラスに感動した作品でもあります。
そんな私にとってはこのイルミネーション最新作『グリンチ』もかなりの期待作でした。
さて、そんな『グリンチ』は私の目にどの様に写ったのでしょうか。

実は私もこの映画が公開されるまで知らなかったのですが、このグリンチというキャラクター、アメリカではかなり長い歴史を持ち愛されるキャラクター。
しかし、ここ日本では殆どが私の様に知らない人が多いのが事実。
この辺りにアメリカと日本ではグリンチに対する思い入れに雲泥の差があるという事がこの映画を取り巻く前提として抑えておきたいところでしょう。
実際、それが興行面でも大きく反映されている様です。

本編が始まる前に上映されるのが、イルミネーションの人気者・ご存じミニオンを主役に配す『ミニオンのミニミニ脱走』があります。
昨年の人気作『怪盗グルーのミニオン大脱走』のスピンオフの様な内容。
刑務所から脱走する時点でミニという次元の話しじゃねぇだろ?とも言いたくなりますが(笑)、相変わらずな可愛くもブラックユーモアに溢れたミニオンワールドが展開され、思わずニヤリ。
尺的にもちょうど良い短編です。

そしてミニオンズに温めてもらってから本編がスタートします。

まず、本作はこれまでのイルミネーション作の違いとして、絵本が原作になっているだけあって、まるで読み聞かせでもする様にナレーションが挿入されます。
グリンチとはどんなヤツでどんな生い立ちを歩んできたのか等々。
ストーリーも実にシンプルで展開も王道。
何かの事情によって53年間孤独に生きてきたグリンチが幸せに過ごす人達を妬み、僻み、クリスマスをむちゃくちゃにしてやろうとする。
基本的には彼がひっそりと暮らす彼の家と人々が住む村が舞台。
ひねくれもののグリンチときれいに対称を成す、ピュアな女の子シンディ・ルーが出会い、彼の心境にも変化が生まれるというのが大まかな流れです。

それにしてもこのグリンチというキャラクターを題材に選んだイルミネーションは良い仕事してるなと思います。
イルミネーションらしさに満ち溢れてるじゃないですか。
ひと昔前のディズニーの様な非の打ち所のない優等生ではなく、一般的な社会からはぐれたアウトロー
それでいて憎めないし、何なら情も入ってしまう。
その辺り、元々は泥棒だったグルーに近いですよね。
それにクリスマスを盗むという荒唐無稽な発想は月を盗もうとした怪盗グルーのそれに通じるところがあり、ニヤリとさせられます。
ただ、グルーには手下にミニオンズが居るし、三人の娘に彼を好いてくれる妻もいる。
グリンチの場合は53年間、山の上に篭りっきり。
孤独を絵に描いた様な生活を送るのですが、そんな彼の唯一の理解者が相棒である犬のマックスです。
このマックスってホントいいヤツなんですよね。
ひねくれ者のグリンチの事が好きなんだなとよくわかる。
クリスマスを盗みに行こうとソリに跨がったグリンチ
そしてそのソリをトナカイよろしく先頭で引っ張るマックス。
ところで『ペット』の犬の名前もマックスだったよなぁ。
あのマックスとは関係あるのかな?

グリンチの魅力をアニメーションで表現するという狙いはクリアしていたのではないかと思います。
毛並みや雪の質感、クリスマスに華やぐ村の人々の躍動感やきらびやかな装飾等々細かいところの描写はさすがはイルミネーション。
ハイレベルであったと思いますし、グリンチが生み出すユニークで斬新なんだけどどこか滑稽でまぬけな発明品には思わず笑いを誘われます。
全体を通してストーリーのテンポも良かったですし、クリスマスは過ぎてしまいましたが、冬休みにファミリーで見る映画の候補としては申し分ない作品だとは思います。

ただ、これまでのイルミネーション作品と比べてしまうとどうしても物足りなさがついて回るのも事実。
問題は脚本なんですね。
まず、クリスマスを憎むあまりそのクリスマスを盗もうとしたグリンチ
どうもその動機付けが弱い気がするんですよ。
孤独な境遇で育ってきたというのはわかるのですが、それが故に人々が幸せに過ごすクリスマスをむちゃくちゃにしようというのがどうしても短絡的に見えて仕方ないです。
例えば、村人達から迫害され、徹底的にいじめられ、そのトラウマがルサンチマンとなり、グリンチの行動を駆り立てたというならわかるんですけどね。
後、グリンチが改心した後についてもスッキリしないんですよね。
確かにグリンチの家の前には「出てけ!」等のイタズラをした立て札等は目にしました。
しかし、村に下りてからは誰もグリンチが歩いていても気にもとめないし、シンディの家のパーティーに行っても温かく迎え入れてくれる。
村人は何て優しいんだと思う反面、ここにひと波乱盛り込んだ方が話しとしては面白くなるのではないかとは思いました。
あくまで、子供向けの絵本がベースにあるわけですから、それを忠実にというのもわかります。
しかし、もう少し脚本に手を加えてでもひと波乱欲しかったというのが個人的な印象です。
更に言えばシンディ・ルーのシングルマザーにしろ髭のビリクルバウムにしろ、キャラクターは良いのに、心理的描写等いちいち掘り下げ不足な感が否めません。
その辺、『SING/シング』は良かったんだけどなぁ。

ちなみに僕は吹き替え版で見てきましたが、最後に吹き替え版の大泉洋さんについて触れておきましょう。
ひねくれたアウトローグリンチとイメージがばっちりはまっていて良かったです。
イルミネーションの他作品で言えば『SING/シング』のネズミ・マイクを大泉さんの声で聴きたいと思いました。あ、決して山寺さんのマイクを否定しているわけではありませんよ…。

来る

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嫌われ松子の一生」「告白」「渇き。」の中島哲也監督が、岡田准一を主演に迎え、「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化したホラー。黒木華小松菜奈松たか子妻夫木聡らが顔をそろえる。恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。
(映画.comより )

はじめに言っておけば、僕は邦画実写の監督として中島哲也監督は好きです。
いや、正確に言えば『下妻物語』、『嫌われ松子の一生』、『パコと魔法の絵本』の初期三作が好きと言うべきかな。
ポップさの中にも悲哀を帯びそれをひとつの作品に仕上げる。
元々CM業界で旋風を巻き起こしたクリエイターだけあって作中で見せる映像的なインパクトは非常に秀逸だと思います。
2010年の『告白』からその作風にも変化が出てきた感じですね。
『告白』は確かに面白かった!
それまでの中島作品の世界観を踏襲させながらもサイコサスペンスの要素を取り入れ、後半に進めば進む程、息を飲む展開は見事でしたね!
しかし、それで味をしめたのか2014年の『渇き』。
それがいけなかったなぁ。
『告白』の流れを踏襲しながらも、ブラッシュアップさせた内容であれば文句も出なかったものの、そうではなかったから。
結果、興行収入もがた落ち。
その後、今回の『来る』まで4年のブランクが出来てしまったわけです。

なので正直、楽しみ半分不安半分の心境だったんですよ。
しかも夏ではなく、今の時期にホラーってのもどうなんだ?

それが私の見る前の心境です。
果たして鑑賞後の心境に変化はあったのか?

今回は『来る』についてです。
まず、ホラーが苦手な人に伝えておきますが、実は意外にもホラーホラーしてる感じではありません。
むしろ霊的な何かに恐怖感を植え付けるよりは人間そのものの性質や醜悪さをクローズアップしている点が特徴です。
なんて言ってもピンと来ないでしょうからもっと深掘りしてみましょう。
この映画は三幕で構成されます。
一幕目。
妻夫木聡演じる田原秀樹という人物が婚約者の黒木華演じる香奈という女性を大阪の実家に連れていきます。
葬儀の為の帰省なのですが、そこで秀樹は小学生の時のとある記憶がフラッシュバックします。
二幕目。
結婚式を終えた秀樹と香奈。
マンションも購入し、娘も授かり、一見幸せに見えるのですが…。
秀樹を中心とした描写で展開されます。
三幕目。
秀樹の妻・香奈を中心とした展開。
遂に「あれ」の実態にクローズアップされる中、他キャスト陣も絡み、『幻魔大戦』さながらの祈祷バトルが繰り広げられる事に。

ざっとこういう展開です。
前半はほぼ秀樹が主人公。
幸せを掴んだ男・秀樹。
家庭に恵まれ、娘の育児にも熱心でイクメンパパとして開設したブログも大人気。
しかし、その実態は…?

まず、ここは何と言っても妻夫木くんに軍配をあげたい。
いつの頃からかな、中島作品の前作『渇き』でもそうでしたが、一見人当たりの良さそうな人気者。しかしその実、傲慢で自己中心的、醜悪な心を持ち合わせた人物を何とも清々しく演じてくれていますね。
奥田民生になりたいボーイ』で見せたサブカルチックでかつ童貞臭い約どころも良いのですが、このテの役が見事にハマる!
見れば見る程、「こいつ、クズだな」と感じさせられます。
そしてこの秀樹を取り巻く人物達もとにかく人間の持つ醜さが非常によくあらわれていましたし、中島監督は決してキレイな所は見せないという仕事に終始徹底していたなと感じました。

二幕目の香奈パートについてです。
夫・秀樹は秀樹で徹底的なクズであったのに対し、妻の香奈は香奈で邪な思いを巡らす女でした。
ことこのパートで犠牲になるのは愛娘(となるはずだった)の幼女です。
醜悪な父親と母親の間に挟まれ、翻弄されてしまうのが子供。
そこに小松菜奈演じるキャバ嬢霊媒師・真琴と岡田准一演じるオカルトライター・野崎、更に真琴の姉・琴子(松たか子)も加わりいよいよサイケな展開に拍車がかかっていきます。
一幕目で秀樹を襲った怪現象そしてそれを引き起こしたであろう「あれ」の実態調査が展開されていきます。
この辺りにくるとかなり荒れてきますねぇ。
しかし、そんな中でも繰り広げられる人間達の欲望が渦巻く魑魅魍魎。
そして三幕目。
ありとあらゆる祈祷師を寄せ集めての大バトル。
非常に見ごたえありましたし、かなりエンタメしてました。
全国から集められた祈祷師と琴子があれの猛威を鎮める為に行う祈祷シーンが本作最大のハイライトと言えるでしょう。
何気にスーツ姿のサラリーマン風祈祷師の一団がカプセルホテルでスーツから祈祷用装束に着替えるくだりは吹きました(笑) 

そしてクライマックス。
いよいよあれの正体が?

となるのですが、ここからはご自身の目で確かめてみて下さい。

そんな中島哲也監督の『来る』。
久しぶりに中島作品を見ましたが、ふと懐かしさを覚えましたね。
この監督の作品に共通か言えるのですが、脚本の妙と言うのかストーリーの運び方が良い!
本作でも次の展開がなかなか読めなかったし、「ああ、こう来るか~」と感心させられる事しきり。
更に映像的なインパクトは流石でしたね!
後半に千沙ちゃんが劇中で何度も歌う『オムライスのうた』(ってタイトルかな?)の映像が出てきます。
この映像なんかも如何にも中島哲也監督らしいんですよ。
はじめは『パコ』以前の中島作品が好きなそれこそ僕みたいな人へのサービスショットかな?という程度の認識だったんですが、後々考えるとこれもかなり不気味なんですよね。
妙に脳裏に焼き付いて離れないというか。
あれも監督の意図的なものなんでしょうね。

そういえば妻夫木くん以外の主要キャストについて最後に触れておきましょう。
黒木華さんのあの幸薄そうな雰囲気は良かったですね。
以前、『日日是好日』を評した時に言いましたね。
彼女の魅力は東洋的な佇まいに基づいた上品な色気にあると。
そして他方では決して派手ではない女性像がハマる女優さんだと思います。
本作においてはことほどさようにその魅力がいかされていました。

次に小松菜奈さんですね。
今年は『坂道のアポロン』、『恋は雨上がりのように』といった出演作がありますが、いずれもスルー。
2016年の『僕は明日昨日のきみとデートする』(名作だったなぁ)以来、2年振りに見ました。
彼女の魅力と言えばその透明感のある繊細さにあると思います。
『ぼくは明日』も然り『バクマン』然り。
言ってみれば天使の様な存在なんですよね。
本作ではそのイメージを打ち破る様なパンキッシュなピンクの髪のキャバ嬢。
小松菜奈の新たな一面を引き出した印象ですねぇ。
そういえば小松菜奈ちゃんの出世作が中島監督の『渇き』でしたね。
中島監督は小松菜奈のプロデュース力に長けてるのでしょうか?
松たか子さんも『告白』に続きエキセントリックな存在感を放ってましたね。
ぶっちゃけ怖かったです。(もちろん誉め言葉)
そして岡田准一さん。
久しぶりに侍、武将、軍人、実業家以外の岡田さんを見ました(笑)
いつの間にか時代劇大作=岡田准一
という図式が出来上がった感がありますが、こういうやさぐれた感じの役は良かったですよ。
関ヶ原』で共演した役所広司さんからも「時代劇ばかり出てないでもっと色々な役に挑戦しなさい」なんて言われてたらしいですから(笑)
本人ものびのびとこのやさぐれライターを演じていたのではないかなと思います。

賛否分かれる作品だとは思いますが、個人的には好きな作風です。
ちなみに余談ですが、以前チサという女性と付き合ってました。(正確には千里ですが、チサと省略して呼んでいた)
なので、劇中で千沙ちゃんの名前が出る度にいちいち反応してました(笑)

くるみ割り人形と秘密の王国

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チャイコフスキーのバレエで広く知られる「くるみ割り人形」を、ディズニーが実写映画化。監督は「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレムと、「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」のジョー・ジョンストンが務め、くるみ割り人形に導かれて不思議な世界に迷い込んだ少女の冒険を壮大なスケールで描き出す。愛する母を亡くし心を閉ざした少女クララは、クリスマスイブの夜にくるみ割り人形に導かれ、誰も知らない秘密の王国に迷い込む。「花の国」「雪の国」「お菓子の国」「第4の国」という4つの王国からなるその世界でプリンセスと呼ばれ戸惑うクララだったが、やがて「第4の国」の反乱によって起きた戦いに巻き込まれていく。「インターステラー」のマッケンジー・フォイが主演。キーラ・ナイトレイモーガン・フリーマンヘレン・ミレンら豪華キャストが脇を固める。さらにバレエ界からも、ミスティ・コープランドやセルゲイ・ポルーニンといったトップダンサーたちが参加した。
(映画.comより)

西洋ではクリスマスにくるみ割り人形を贈るという風習がある様ですね。
古く伝わる童話でもありますし、何よりチャイコフスキーのバレエで有名なくるみ割り人形
ところが、日本に居るとくるみ割り人形がどういう話しか知らないし、馴染みがないというのが正直なところです。
そこを、ピクサー・マーベルからスターウォーズまで取り込んでいく映画界の大帝国・ディズニーがその有り余る資金力と高い技術力をもって映画にしたのが本作『くるみ割り人形と秘密の王国』なのです。
物語は至ってシンプル。
母の死にショックを受ける少女が叔父の主催するパーティーに参加。
そこから非日常の世界に迷いこむというファンタジー作です。
まず、冒頭でこの主人公の少女・クララを端的に紹介する場面が登場します。
暗い屋根裏部屋。ピタゴラスイッチの装置を用いてその物理的根拠を弟に説明するシーン。
彼女が如何に聡明な少女であるかを物語る上で実に効果的なシーンであったかと思います。

その後、現実世界から異世界へ迷いこむ辺りも実にディズニーらしくサラッと違和感なくやってのけ、見ている側としても自然に物語の世界へと投入させていく事が出来ます。

その世界というのもディズニー的というのかイメージとしては、『アリス・イン・ワンダーランド』のそれに近かったなぁ。
とにかく色彩鮮やかでまさに絵に描いた様なおとぎの国感。
城の内装だって『美女と野獣』さながらのゴージャス感に満ちていて視覚的にも楽しめる。
様々な仕掛けも用意してあってそのポップ感なんかは好きな人にはとことんハマるんだろうなと思います。
更に本作において言えばCG帝国・ディズニーにしては(?)CG抑え目。
むしろ贅を尽くしたきらびやかな衣装であり、ゴージャスなセットであり、本来の映画的演出を余すところなく見せてくれるつくりです。

更に映画のテンポとしても悪くない。
無駄なシーンがなくサクサクと進む一方、コメディ要素も用意してあるので、飽きさせない。

また、クララに仕えるくるみ割り人形の兵士はここ近年のディズニーの傾向ですね、黒人を起用していますが、クララと彼の関係性もよかったですね。
亡き母に仕えていた彼。
当初はクララにも女王陛下として仕える一兵士としての登場でしたが、上下関係を嫌う女王・クララの「敬語をやめて」の命令を服従
あっさりバディの関係へと変わり、そこからは共に冒険を繰り広げていきます。
それでいて、ヘンに恋愛関係におとしこまない辺り
も懸命。
その脚本には好印象です。
それから敵の黒幕も最近のディズニー的でしたね。
端的に言えば『ズートピア』や『リメンバー・ミー』のパターン、これ以上言えばネタバレになりますからここからは広げないですけどね(笑)

また、ポップなんだけど妙にホラーというのが、本作の特徴でもありまして、例えば廃墟になった遊園地に表れる体が真っ二つに割れるピエロなんてなかなかカオスですよ。
かれこれ一年前になりますが、『IT~’それ’が見えたら終わり』って映画がありましたよね?
僕はあの作品を紹介する時にピエロとホラーの親和性についてかなり触れました。
だって、怖いもん、ピエロって。
メルヘンと恐怖って決して対極にはない事を語る上で、これほどぴったりなキャラクターっていないんですよ。
ピエロが夜道を走ってきてまともでいれますか(笑)
僕は無理です。
そしてこの映画ではこのピエロがポップにぴょんぴょん跳ねながら恐怖を与えてくる。
ホラーのツボ抑えてるなぁ(笑)

あらゆる要素てんこ盛りでいち映画としては非常に楽しめました!
そこは腐ってもディズニー。
良い感じにエンタメしてる!


しかし、最近見た映画でも群を抜いて面白かったかというとそうでもないんです。
もっと言えば物足りなさを感じました。
では、その辺りについて触れていきますね。

メッセージ性もあるし、演出とか装飾面はよかった。
しかし、テンポの良さが仇になって主人公の心理描写とか他キャラの深堀り、もっと描くべき部分を省略していたりそんな部分が否めません。
例えば、クララが母親からのメッセージの意味を理解した部分なんかあまりにあっけなくて、もっと盛り様はあったんじゃないかなと思うし、前述の様に冒頭で彼女が科学や物理に強いクレバーな子であるという振りが活きてないんですよね。
もっと見ている側にとっての目から鱗の戦闘方法を見せてほしいのにそれもないし。
そもそも後半の展開は何であんな行動に出たのかな?
俺の頭が悪いのかな?
他にはお菓子の国とか第四の国なんかはかなり大々的に登場するんだけど、花の国と雪の国に関しては全くフィーチャーされていないし。

なんて突っ込みたいところは色々あるけどま、いっか。

映画好きのいちオッサンがあれやこれや講釈垂れるよりもこの映画は子供が楽しんでナンボです。
色彩豊かでテンポもよく、ストーリーもシンプル。
笑える部分もあるし、ちょっぴりホラーな要素もあったりで飽きさせない作りである事は保証します!

この冬休み、ファミリーで楽しめる映画です!
おすすめです!