きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

パディントン2

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1958年に第1作が出版されて以降、世界40カ国以上で翻訳され、3500万部以上を売り上げるイギリスの児童文学「パディントン」シリーズの実写映画化第2弾。ペルーのジャングルの奥地からはるばるイギリスのロンドンへやってきた、真っ赤な帽子をかぶった小さな熊のパディントン。親切なブラウンさん一家ウィンザーガーデンで幸せに暮らし、今ではコミュニティの人気者だ。大好きなルーシーおばさんの100歳の誕生日プレゼントを探していたパディントンは、グルーバーさんの骨董品屋でロンドンの街並みを再現した飛び出す絵本を見つけ、絵本を買うためパディントンは窓ふきなど人生初めてのアルバイトに精を出していた。しかしある日、その絵本が何者かに盗まれてしまう事件が発生し、警察の手違いでパディントンが逮捕されてしまい……。イギリスの人気俳優ヒュー・グラントが、新たな敵役フェリックス・ブキャナンを演じる。

超絶おバカ映画『テッド』~『テッド2』のヒットも記憶に新しかった2016年1月。
何とも愛らしくもマヌケなクマちゃんに出会いました。
その名もパディントン
テッドがお下劣でオッサンキャラであるのに対してこのパディントンは実にお上品。
英国紳士そのものな佇まいと語り口調。それでいて愚直な故に巻き起こす騒動の数々。
私はすっかりこのパディントンの虜になってしまいました。


あれから2年。
待望の続編が登場し、再び私は彼に萌えてしまいました(笑)
嗚呼、パディントン。君は何て可愛いんだ。
そして逞しいんだ。

という事で今回は『パディントン2』をチェックだぜ!!

さて、この新作に関して一言言うのであれば


騙されたと思って見て!!

です。

子供向けというイメージがありますが、なかなか深いメッセージ性もあり侮れない!
子供向けと子供騙しは似て非なるものでありましまて、本作の鑑賞ポイントを挙げれば挙げるほど凡庸な作品ではないとご理解頂けるのではないでしょうか?

すっかりロンドンの生活にも慣れたパディントンですが、本作はそんなパディントンにおいてもピンチが訪れます。
あらぬ濡れ衣を着せられ裁判にかけられてしまうパディントン
そこがこのパディントンというキャラクターにおける真価が問われるシーンでもありましてこれまで彼を受け入れていた街の人々の対応に変化が見られます。
パディントンと彼を巡る人間模様。
それをメタファーとして本作の本質的なものが浮かび上がってきます。

それは人種差別あるいは移民問題というテーマです。
思えば『テッド2』にも裁判のシーンがありました。
本来所有物であるテディベアが人間の女性と結婚をする事の是非を問う描写。
まさにあのシーンにも通じる非常に奥深い問題が潜んでおります。
例えるならイギリス版『ズートピア』といったところでしょうか。
単純明快なくまちゃんのドタバタコメディではないのです。

また、本作を見て感じたのはイルミネーションアニメに影響を受けたであろう描写の数々。
特に昨年大ヒットした『怪盗グルーのミニオン大脱走』からは相当なインスピレーションを受けたのではないでしょうか。

本作ではあらぬ疑いをかけられたパディントンは刑務所に送られてしまいます。
主要なアイコン的キャラクターが刑務所へ送られるくだり。
そう、去年のミニオンがまさにそれでした。
面白いのはミニオンが囚人達をパシリにしたり手下の様に従わせたのに対してパディントンは囚人達と友達になっちゃう辺り。
らしくていいなぁ!

また、本作の敵キャラ・フェリックス・ブキャナン。
元々売れっ子だったのが、仕事が激減し今は犬の着ぐるみを着たドッグフードのCM一本のみという落ち目の俳優。
このキャラ設定、元天才子役から日の目を見なくなり悪に手を染める様になった『怪盗グルー…』のバルタザールに相通ずるではないですか!

更にはアルバイトをするパディントンが自分の体をこすりつけて窓拭きをする辺りは『SING / シング』のコアラ・バスタームーンの洗車の発想ですよ(笑)

他名作群の良いところを巧みに取り入れる描写はいくつも見られますがそれが嫌味がなく盛り込まれているので映画ファンは思わずニヤリとしてしまうかもしれませんね。

また、ギャグパートは本作でもしっかり健在。
英国製スラップスティックコメディ特有のものですが、無作為で意図しないマヌケな行いがとんでもない事態を引き起こす展開。
かつてMr.ビーンが見せていた様なコメディパターンが真面目で無垢なパディントンによって引き起こされていきます。
とりわけ好きなのは理容店でバイトをするシーン。
そもそも理容店ではどんな雑用的な仕事も理容師免許を持った理髪師見習いがやるものではないの?という野暮なツッコミはこの際置いといてパディントンは人生(熊生?)初のバイトを理容店でします。
そしてやらかしてしまうとんでもない大失態。
風が吹けば桶屋が儲かるじゃないですが、ちょっとした失敗から次々にミスが重なり、お客の頭にバリカンを深く入れるわ店は無茶苦茶にするわ。
でも許せちゃうんです、パディントンが可愛いから(笑)

また、刑務所内で囚人服の洗濯を命じられたパディントンがやらかしてしまうシーンもたまりません。
ドジなのに萌えちゃうんです。

とにかく面白くその実内容は深い!
キングスマン』と言い今年の1月公開作は期待以上の作品が続き、個人的にも大満足です!
惜しむらくは日本ではパディントン知名度が弱いのか興収に結び付かないというところかなぁ…。

ジオストーム

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地球の気候をコントロールすることを可能にした人工衛星が暴走し、世界中が異常気象や大災害に見舞われるなかで、未曾有の危機に立ち向かう人々の姿を描いたディザスターパニックアクション大作。「インデペンデンス・デイ」の製作・脚本を手がけたディーン・デブリンが監督として初メガホンをとり、「エンド・オブ・キングダム」のジェラルド・バトラー、「クラウド アトラス」のジム・スタージェスをはじめ、アビー・コーニッシュエド・ハリスアンディ・ガルシアといった豪華キャストが出演している。世界各国の最新テクノロジーを集結し、天候を完璧に制御することを可能にした気候コントロール衛星の運営開始から3年。突如として衛星が暴走を始め、世界中で異常気象を発生させる。衛星の生みの親でもある科学者のジェイクは、衛星の暴走原因を突き止めるため宇宙へ向かうが……
(映画・com より)


帯に短し襷に長し

中途半端で役に立たないものの例えを現わすことわざです。

そんな言葉が本作ほどしっくりくるものはないのでは?という所からこの『ジオストーム』について語らせて頂きます。

本作を予告編で見た時かなり惹き付けられる物を感じました。
かつて90年代後半の終末感を煽る様に作られたディザスタームービー。
インデペンデンス・デイ』、『アルマゲドン』等大ヒット作も数知れず生み出されたのも今や昔。
久しく災害を扱ったディザスターものが影を潜めてしまった中、2018年早々にお目見えしたこの作品に対する期待は並々ならぬものがあったわけです。
東京に巨大な雹が降り逃げまとう人々を写したあの映像にスリリングな展開を期待した映画ファンはきっと私だけではないでしょう。
年末に放送された某映画紹介番組でも映画ファンで知られるキャイ~ンの天野さんが多大な期待を寄せてました。

そんなワクワク感を胸にいざ劇場へ。

しかし、蓋を開けてみたら。

ありゃりゃ、こりゃ何だい。ディザスタームービーじゃねぇだろっ!!

と思わぬ肩透かし。

総論として言えば

コンビニの幕の内弁当の様な内容でした。

味は悪くないしおかずの種類もあるが栄養面でよくない(スッキリしない)

まず、本作の主体となるべくディザスター要素が限りなく薄く、前半に少々登場した後、後半まで一切登場しません。

その間は何が展開されるかというとSFでありラブロマンスであり人間ドラマでありそれが何とも冗長的に行われるだけなのです。
災害に対峙する人類が主人公なのでラブロマンスや人間ドラマに関しては甘んじて良しとしましょう。
しかし、宇宙へ行くというSF要素があまりに蛇足なんですよ。
『オデッセイ』とか『インターステラー』みたいなハナから「これ、宇宙の話しですよ~」とわかってたらこちらの受け入れ体制バッチリですよ。
本作の場合、そうじゃないでしょ?
予告編では一切そんなシーンなかったやん?

また、予告編詐欺と言えばビーチでくつろいでた黒人カップル。
大写しで登場してたもんだから彼らが主要な人物となるかと思ったらほんの一瞬登場しただけ。
男性に至っては即効で氷付けにされてハイ、おしまい。だからね いちいち予告で出す必要もなかったでしょ。

一方、主要人物たちのやり取りに関しては悪くはなかったと思います。
まず、兄弟の描写。
異常気象を制止する装置(その名もダッチ・ボーイ!)を開発した研究者の兄と異端児ゆえ彼を追放した弟。
その後、非常時が訪れ袂を分かった兄の元を訪れ懇願する虫の良さはありますが、その後の兄弟間での心理面を抽出させていく過程には一定のメッセージ性もあり共感出来るものはありました。
もしかしたら災害映画にかこつけてその部分こそ最も描きたかったのかもしれません。

また、弟と恋人の関係性も良かったです。
彼女は大統領の警護をする要職に就いている為、同じく要職にある弟との交際は大々的に明かせないのです。
しかし、そんな二人がとある秘密を知ってしまった為、バディとなり秘密をつまびらかにし、危機に直面した大統領を救うのです。
そしてその大統領もまたなかなか良い味を出した好人物でした。
危機に瀕し派手なカーチェイスを伴うアクションにも巻き込まれながら彼ら二人によって助けられるのですが、絶妙なコンビネーションの二人に思わず大統領が発した言葉が

「お前達、結婚しろ」


なかなか粋じゃないですか。

思わず「よっ!大統領!」なんて言いたくなりました。

トランプ政権に以降後、映画でもトランプ大統領を皮肉る描写は数々見てきました。
この大統領も確かに強い個性はありますが、嫌いになれない人物像が印象深いです。

そしてメイン(?)となる災害シーン。
確かに見応えがあります。
特に香港では地熱が上昇し、そのマグマが大爆発。
人々を混乱に陥れます。
買い物帰りの青年がうっかり卵を落とし、それが瞬間的に目玉焼きになるのですが、この地熱が如何に上昇しているかを伝える上で非常に効果的なシーンだったと思います。
一方ではそこまで地上の温度が上がってるのに何故そこにいる人達はマグマが吹き上げるまで平静を保っているのだというツッコミはありますけどね(笑)
他予告編でも流れた東京での巨大な雹、リオデジャネイロでの人を氷付けにする大津浪(2011年だったら日本では公開されなかったでしょうね。)
と各地での災害を写すシーンは確かに迫力がありますが、全体的にはやっぱり中途半端。
あれこれ詰め込み過ぎなければもっとまとまった作品だったと思うのですが、そこが何とも勿体ない。

ちなみに日本版の主題歌はB'zとの事。
そういう攻めのスタンスは嫌いじゃないですよ。

キングスマン:ゴールデン・サークル

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世界的なヒットを記録したイギリス製スパイアクション「キングスマン」の続編。イギリスのスパイ機関キングスマンの拠点が、謎の組織ゴールデン・サークルの攻撃を受けて壊滅した。残されたのは、一流エージェントに成長したエグジーと教官兼メカ担当のマーリンのみ。2人は同盟関係にあるアメリカのスパイ機関ステイツマンに協力を求めるが、彼らは英国文化に強い影響を受けたキングスマンとは正反対の、コテコテにアメリカンなチームで……。主演のエガートンやマーリン役のマーク・ストロングら前作のキャストに加え、ステイツマンのメンバーにチャニング・テイタムジェフ・ブリッジスハル・ベリー、謎の組織ゴールデン・サークルのボスにジュリアン・ムーアら豪華キャストが新たに参加。さらに、前作で死んだと思われていたコリン・ファース扮するエグジーの師ハリーも再登場する。前作に続き、「キック・アス」のマシュー・ボーンがメガホンをとる。
(映画・com より)

2015年9月京都のシネコン・TOHOシネマズ二条で人生初の試写会にて鑑賞。
センセーショナルなカメラワークやアクションイメージのなかったコリン・ファースによるキレッキレのアクションシーン。
そして不謹慎という言葉を嘲笑うかの様な過激極まる演出に胸を躍らされたものです。
それから二年と数ヶ月。
待望の新作あって公開直後に鑑賞したのですが、いや~、さすがはキングスマン
期待を裏切らない極上のアクションエンターテイメントに仕上がってましたよ!

まずは流れる「カントリー・ロード」のメロディー。
「何故にカントリーロード?」なんて不思議に感じるのも束の間、タロン・エガートン演じるエグジーが登場します。
そして前作にも登場したあのヤローと繰り広げるカースタントを含めたアクションシーン。
キングスマン」ならではのガジェットも登場し、視覚的なエモーションを高めます。
面白かったのは車の中で取っ組み合いの攻防を展開するのですが、その衝撃からカーラジオに当り軽快なロックが流れます。
それをバックに二人のアクションシーンをより盛り上げていくのですが、なかなか効果的な音楽の挿入表現ではないでしょうか。

コリン・ファースも健在です。
前作ではサミュエル・L・ジャクソン演じる悪の実業家・バレンタインによって射殺されてしまったハリー。
昨年秋、本作のクレジットを初めて見た時に「あれ、コリン・ファース?前作で死んだのでは?」って。
本作ではそんなコリン・ファース演じるハリーがどんな形で登場するのか個人的には非常に興味深いポイントでした。
まさか、回想ジーンにちょっとだけって事はないよな?
なんて一抹の不安もありましたが、そんな不安は軽く一蹴されました。
う~ん、こんなやり方で持ってきたか~!
まぁ、多少のご都合主義はありましたが、いいんです。コリン・ファースが戻ってきてくれたら心の中で「お帰りなさい」と拍手を送りましたよ(笑)

前作のサミュエル・L・ジャクソンも然りですが、悪役が魅力的なのがこの「キングスマン」もポイントでありましてジュリアン・ムーア演じるポピー。
かわいい名前とは裏腹にとんでもないサイコパスなんです、こいつ。
麻薬を流布させる事で人々をパニックに陥れていくのですが、何より冷酷非道なのが人をミンチにしてしまうという昔中国の映画で見た様な胸糞悪い所業をケロッとやってのけるあの残忍さ。
本作をこれから鑑賞する皆さん、どうかハンバーガーやホットドッグを食べながら鑑賞しないで下さいね(笑)

そして本作ではアメリカ版キングスマンとも呼ぶべき組織が登場します。
その名もステイツマン。
米国・ケンタッキー州に拠点を構える機関でウエスタン調の衣装を身にまといカウボーイさながらのガンプレイとロープさばきで戦います。
メンバーの名前もウイスキー、バーボン、スコッチ、ジンジャーエール等『ドラゴンボール』や『ONE PIECE 』を思い出す様なネーミング方式にニンマリしてしまいます(笑)

キングスマン=英国紳士
ステイツマン=ウエスタン
ポピー=50’sアメリカン調

という本作は各陣営に明確な世界観があったのが面白かったなぁ。

さて、本作のMVPをあげるとするならば個人的には何と言ってもエルトン・ジョンですね。
あの世界的スーパースターエルトン・ジョンにあんな事やこんな事させちゃっていいの?なんてハラハラしながら見てましたが、最後はしっかりおいしいトコ持っていきましたからね。

それから冒頭の「カントリーロード」が意外なところで結びつきます。
これまで縁の下の力持ちだったマーク・ストロング演じるマーリンが遂に戦闘現場に降臨します!
スマートにスーツを纏いハリー、エグジーと共にポピーのアジトへ。
カントリーロード」を歌い上げ身を挺したアクション。
マーリン一世一代の大舞台が繰り広げられます。

でも敢えて苦言を言うならば主要キャラの復活は今作のハリーだけにしてほしいな。
今作では重要なキャラが犠牲になってましたけど、あまりやり過ぎると「次作で復活するんでしょ?」と冷めちゃうんですよね。

ちなみに本作で最も好きなスパイガジェットは

コンドーム型GPS

です(笑)女の子の⚪⚪に挿入し、体内に入り込んでいく描写はかなり生々しいです(笑)

スターウォーズ/最後のジェダイ

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スター・ウォーズ」の10年ぶりの新作として大ヒットを記録した「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に続くシリーズ作品で、伝説のジェダイの騎士ルーク・スカイウォーカーを探し当てた主人公レイがたどる、新たな物語が描かれる。前作で「スター・ウォーズ」の新たな主人公レイに大抜てきされ一躍注目を集めたデイジー・リドリーのほか、ストームトルーパーの脱走兵フィンを演じるジョン・ボヤーガ、ダースベイダーを受け継ぐカイロ・レン役のアダム・ドライバー、そしてルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミル、2016年12月に急逝したレイア・オーガナ役のキャリー・フィッシャーらおなじみのキャストが出演。監督・脚本は「BRICK ブリック」「LOOPER ルーパー」などで頭角を現したライアン・ジョンソンが担当した。
(映画・comより)

公開から一ヶ月。
満を持してこのブログでレビューさせて頂きます。
話題作のタイミングに乗り遅れる、これも当ブログの特色ですな(笑)

言わずと知れた世界一有名なスペース大作『スターウォーズ』シリーズ最新作は『フォースの覚醒』に続く三部作の第二弾。
ネットからも賛否両論様々な意見が飛び交っておりますね。

ちなみに私が鑑賞したのは1月4日。
正月休みでごった返す新春のシネコン
そんな中で2018年の映画初めとして本作を鑑賞した次第です。

結局二回程見てきたのですが総論として感じたのは


腐ってもスターウォーズ

でした。

まず、冒頭のスクロールとあのテーマ曲。
視覚的にも聴覚的にも高揚するあの瞬間。
「おお、きたきた!」と気持ちを高めるのにシンプルかつ最高の演出です。
続いて序盤では息つく暇もなく繰り広げられるあの銃撃シーン。
正につかみはOK!
謎の東洋人女性のミステリアスな雰囲気共々この部分の作りは実に圧巻です!
もし今TOHO シネマズのフリーパスがあればこのシーンだけを見て退席…なんて事を何度もやっていたかもしれません(笑)
それくらい新進気鋭の監督・ライアン・ジョンソンなかなか良い仕事をします!


しかし、しかしです!
掴みが良ければ全編通して良い映画かというとさにあらず。
この後、『フォースの覚醒』以降のメンバーが登場してからの前半~中盤が実に冗長的かつ蛇足が多すぎる。
結局のところ、あらゆるストーリーを詰め込みすぎた故に「帯に短し襷に長し」になってしまったと感じます。

昔のレイア姫モノグラムヨーダ登場などのサービスシーンは良いと思います。しかし、それよりもレイとフィンのシーンはもっとうまくまとめられなかったものでしょうか?

これまでスカイウォーカーという血筋によって使われていたフォースという能力がレイという血筋に依らない能力者を生み出したというのは別に良いのですが、ルークの元で修行を積むというまるで天下一武道会に備える悟空と亀仙人の様なくだりは「スターウォーズ」らしくない。
いや、百歩譲ってそれをアリと肯定してもだれてきてしまってストーリーに没頭出来ない。
正直眠かったですもん、ここ。
更にそのフォースを超能力か何かの類の様にしてるのが気になりましたね。
えっ?フォースってそういうもんなん?って目を疑いましたよ。

それからフィンの場面についてですが、あのローズという準ヒロイン的な女性が…う~ん…。

チェンジで!!


冒頭の東洋人女性でお願いしま~す!(実際ローズと深い関係ですね)


つまりそれ程ローズがひどかった!
見た目にとやかく言いたくはないがそれ以上に存在がね~。
別に無理にこのキャラ出さなくてもよかったんちゃうか?
アジア人だからという理由からなのか知りませんけどカミカゼアタックなんて事もさせちゃうし(笑)

正直このキャラの意義がいまだに見いだせません。
フィンとのキスシーンなんてありましたが、こいつらいつからそういう関係なん?

しかし、その一方ではカイロ・レンは良かった!
『フォースの覚醒』では悪役でありながらどこか頼りなさげで青臭い。タイプは違いますが『マイティ・ソー』のロキに通じる様なキャラでしたが、本作では風格がありました。
『フォースの覚醒』でのラストを経てきたカイロ・レンという役どころに説得力が生まれ、アダム・ドライバーの俳優としての経験値勝ちとも思わせてくれました。

フォースを使って遠方にいる二人を引き合わせる描写は突っ込みたいですが、さておきレイと対峙するシーンは見応えありましたね。
それでいて少年漫画的展開に傾倒しなかったのは良かったです。
少年漫画はレイとルークのシーンで十分です(笑)

それから不可解な点として挙げたいのが作中に登場する少年。
中世ヨーロッパ風いわんや『フランダースの犬』のネロの様な服をまとったあの少年です。
スターウォーズ』のあのスペイシーな世界にあって彼の存在が浮いてしまってるんですよ。
そこがノレなかったですね…。
しかも彼、重要な鍵を握ってそうじゃないですか、どうすんの、三作目?

ちなみに私は『スターウォーズ』に関してさほど強い思い入れがあるわけではありません。
しかし、先日スターウォーズ好きな友人に聞いたところ、ジョージルーカスが製作を離れた事によって今は完全にディズニーのスターウォーズになった。エンタメとしての厚みこそあれスターウォーズらしさが新作公開の度に抜かれてるという事を申しておりました。
ライトセーバーでの格闘シーン減少についても憂いておりましたよ。

しかし、腐ってもスターウォーズ
鑑賞後の満足度は一定の水準以上に満たされておりました。
結局スターウォーズだからこそのハードルを皆それぞれに抱くからこそ否定的意見も増えるんでしょうね。

8年越しの花嫁 奇跡の実話

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YouTube動画をきっかけに話題となり、「8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら」のタイトルで書籍化もされた実話を、佐藤健&土屋太鳳の主演で映画化。結婚を約束し幸せの絶頂にいた20代のカップル・尚志と麻衣。しかし結婚式の3カ月前、麻衣が原因不明の病に倒れ昏睡状態に陥ってしまう。尚志はそれから毎朝、出勤前に病院に通って麻衣の回復を祈り続ける。数年後、麻衣は少しずつ意識を取り戻すが、記憶障害により尚志に関する記憶を失っていた。2人の思い出の場所に連れて行っても麻衣は尚志を思い出せず、尚志は自分の存在が麻衣の負担になっているのではと考え別れを決意するが……。「64 ロクヨン」の瀬々敬久監督がメガホンをとり、「いま、会いにゆきます」の岡田惠和が脚本を担当。
(映画.comより)


正直この作品は直に見るまでは不安でした。
と言うのも予告編ですね。
試写会に集まった若い女性を写し月並みな「なきました」「感動しました」「こんなに泣くとは思いませんでした」というコメントの羅列。
僕がひねくれてるからなんでしょうが、そういうの見る度に「絶対泣かんとこ」と斜に構えてしまうものです。
そもそも泣ける映画を謳う邦画にありがちなのですが、過剰に泣かせよう泣かせようとさせる演出が悪目立ちしてしまいその度に鑑賞後に得られるべきエクスタシーを悉くそぎおとされてしまった事は数知れず。
過去の鑑賞体験から本作に対しても過度な期待は持たずハードルは低くして見て参りました。
その結果……。


ごめんなさい、舐めてました。
近年の感動作『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、『きみの膵臓をたべたい』等心を掴まれてしまった感動大作と比較しても決して遜色劣らない名作でした。

まず、本作でのキャスト陣の演技に魅了。
とりわけヒロイン・麻衣を演じた土屋太鳳の演技力が見事でした。
この麻衣という女性。元々は気丈で物事をズバズバ臆せず発する女性でして、それを象徴するシーンとして尚史と麻衣が出会った合コン後のやり取りが印象的です。
飲み会で終始冴えない表情を浮かべ当然二次会にも合流しない尚史に麻衣が態度がよくないと指摘します。
初対面の相手にここまでズバズバ言う女子ってどうなんやろ?とも思いますがそんな私のひねくれ思考はともかくここでは麻衣という気の強い女性像が伝わります。
そんな気が強く一見病気とは無縁な女性が難病に冒されるという残酷な現実をリアリティたっぷりにまざまざと見せる上で非常に効果的なシーンと言えるかもしれません。

病に伏し昏睡状態を続ける麻衣の回復をひたすら待つ尚史の姿にも胸を打つものがありますが、彼を支える仲間たち、杉本哲太薬師丸ひろ子による麻衣の両親の姿も印象的です。

麻衣の恋人である尚史と麻衣の両親を結ぶ上で欠かせないものとして「家族」というキーワードが浮かびます。
来る日も来る日も麻衣の回復を信じ見舞いに訪れる尚史ですが、両親からは家族でないからと残酷にも告げられてしまいます。
しかし、その言葉のもう一方の意味としては麻衣の事によって尚史の生活或いは人生に負担をかけてはいけない、尚史は尚史の人生を歩んでほしいという彼らなりの想いでもあります。
ただ、それ以上に深い尚史の麻衣への愛。
それがあったからこそこの奇跡のストーリーが生まれるべくして生まれたのですね。

ところで8年という時間は振り返って見ればあっという間かもしれません。
しかし、生まれたばかりの赤ん坊が小学校2年生に上がるまでの時間でもあり、20代前半で出会った二人もアラサーになる時間の経過があるわけです。
本作において好印象だったのはその時間の経過をあくまで映像面のみで実に巧妙かつ秀逸に表現していた点にあります。
例えば目覚めた麻衣が劇的変化を示すシーンとして挿入される音楽番組でのいきものがかりが『ありがとう』を歌唱するシーン。
その描写からこの曲がヒットした2010年の光景である事が伝わりますが、安易にテロップのみで表現させない点は評価出来ます。
その後の東日本大震災の映像もまた然りです。

しかし、その一方勿体ないと感じる部分もあります。
本作は非常にドキュメンタリズムに満ちており安直な感動作に甘んじない作りは良かったです。
ストーリーのテンポもよく見やすかったのは確かなのですが、健康な麻衣が病に蝕まれ病床に伏すまでの過程はもう少し尺を使って丁寧に見せてほしかったです。
また、病に冒される光景を比喩的に全身に虫の様なものが侵食し、麻衣が狼狽するというシーンがありましたが、あれは不要でしたね。
パニック映画やディザスタームービーならいざしらず本作はあくまで実話に基づいた難病モノですからああいうシーンを入れると重みがなくなるんですよね。
残念ながらあのシーン流れた時に褪めてしまいました。

しかし全体的には過剰な泣き演出もなく、役者陣の演技もただただ素晴らしい!
泣きこそしませんでしたが、(感動こそすれ泣きはしないぜ・笑)過去に騙された感動させる気(げ)な作品群とは一線を画す名作だったと思います。

ところで佐藤健くんと土屋太鳳ちゃんによるアクション映画を見たいと思うのは私だけでしょうか?

DESTINY 鎌倉ものがたり

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ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が、同作の原作者・西岸良平のベストセラーコミック「鎌倉ものがたり」を実写映画化し、堺雅人高畑充希が年の差夫婦役で初共演したファンタジードラマ。幽霊や魔物、妖怪といった「人ならざるもの」が日常的に姿を現す古都・鎌倉。この地に居を構えるミステリー作家・一色正和のもとに嫁いできた亜紀子は、妖怪や幽霊が人と仲良く暮らす鎌倉の街に最初は驚くが、次第に溶け込んでいく。正和は本業の執筆に加え、魔物や幽霊が関わる難事件の捜査で警察に協力することもあり、日々はにぎやかに過ぎていった。しかし、そんなある日、亜紀子が不測の事態に巻き込まれ、黄泉の国へと旅立ってしまう。正和は亜紀子を取り戻すため、黄泉の国へ行くことを決意するが……。主演の堺、高畑と同じく山崎監督作初参加の安藤サクラ中村玉緒をはじめ、山崎組常連の堤真一三浦友和薬師丸ひろ子ら豪華キャストが集結した。
(映画・com より)

2020年の東京オリンピックで演出を出掛ける事も決まった山崎貴監督。
いまや日本を代表するヒットメーカーと呼んでも過言ではありません。
そんな山崎貴監督の最新作『DESTINY 鎌倉ものがたり』は山崎監督が得意とするCG/VFXの技術を余すところなく詰め込んだファンタジー大作となっています。

堺雅人高畑充希が歳の離れた新婚夫婦を演じてますが、新婚というある種の生々しささえ覚える響きとは程遠い爽やかなカップルを演じます。
その他、堤真一薬師丸ひろ子國村隼ら山崎組常連キャストが作品世界へ色を添えます。

そして何といっても見ごたえのあるCG/VFX といった映像的手法。
もはやハリウッドの大作と比べても遜色ない仕上がりとなっています。

また、鎌倉のご当地映画の側面もあり、江ノ島、大仏、江ノ電等の鎌倉らしい光景もふんだんに盛り込まれ視覚的にも非常に色彩豊かな作品になっており、山崎監督の手腕にさすがと脱帽するばかり。

また、過去の様々な名作のエッセンスを巧みに取り入れております。
パイレーツ・オブ・カリビアン』や『美女と野獣』等明らかに本作製作中に山崎監督がインスピレーションを受けた作品のテイストを感じさせるのですが、とりわけジブリ映画、更に限定して言えば『千と千尋の神隠し』の影響が明らかに感じられ、正面切りつつもかつ実験的に『千と千尋』の実写リメイクに取り組んだのではないかと思わせてしまいます。
そこに関しては評価が別れるところでしょうが、私的にはアリです!
千と千尋の神隠し』という日本の映画史上燦然と輝く金字塔的作品(興行収入300億円という記録は未来永劫破られる事はないと思います。)の実写リメイクに大胆かつ不敵にも挑んだ山崎監督のチャレンジスピリッツは高く評価されるべきだと思います(目も当てられない様な模倣であれば話しは違いますけどね)

また、民話、説話、仏教・神道等の宗教観等の日本的哲学や民俗学が多分に作中に盛り込まれまさに日本人的思想に基づいた作品であるとも言えます。


しかし、その一方で気にならない点がないと言えば嘘になる。もっとも去年の『海賊とよばれた男』や『STAND BY ME ドラえもん』等ツッコミどころのない山崎作品に巡りあった事はないんですけどね(何となく名作が多いから許されてる感じですが)

まず、本作の時代設定。
主人公・一色正和と妻・明子がクラシックカーに乗り、蓄音機もある昭和初期に立てられたであろうモダンなお屋敷に住み、また作中に登場する民家にも黒電話があったり、昭和風の髪型をしたガキンチョがキャベツ太郎を食べていたりと見た限りでは昭和40~50年代と思わせるつくりになっています。
ところが百均が普通に登場したりと明らかに時代設定がムチャくちゃ。
そういうのハッキリさせてほしいですね。

また、市川実日子さんが演じる女性が旦那さんを亡くし未亡人となります。
それまで旦那の収入で生計を立てていたのが経済的に困窮して家賃が支払えなくなります。
するとそこに生前旦那さんにお世話になったという謎の人物から送られてきた一通の封筒。
中には一万円札が複数枚(10枚以上は入ってる)
そこに疑いもなく「これで家賃が払える~」なんて言うのですが。
普通こういうシチュエーションてもっと疑わないですか?
何処の誰ともわからない人からお金が送られてるんですよ。
「あの人の字とそっくり…」じゃないよ(笑)


ま、そんなわけでいつもの山崎作品同様ツッコミどころの多さは相変わらずですが、それを補ってあまりある見応えたっぷりな映像はこの年末年始ファミリーで鑑賞するにはぴったりな作品となっています。
おすすめです!


なんて言っちゃう辺りやっぱり嫌いになれない山崎貴ワールドなのでした。

オリエント急行殺人事件

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1974年にも映画化されたアガサ・クリスティの名作ミステリーをケネス・ブラナーの製作・監督・主演、ジョニー・デップミシェル・ファイファーら豪華キャストの共演で新たに映画化。トルコ発フランス行きの寝台列車オリエント急行で、富豪ラチェットが刺殺された。教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人という目的地以外は共通点のない乗客たちと車掌をあわせた13人が、殺人事件の容疑者となってしまう。そして、この列車に乗り合わせていた世界一の探偵エルキュール・ポアロは、列車内という動く密室で起こった事件の解決に挑む。主人公の名探偵ポアロ役をブラナー、事件の被害者ラチェット役をデップ、未亡人役をファイファーが演じるほか、教授役にウィレム・デフォー、家庭教師役にデイジー・リドリー、公爵夫人役にジュディ・デンチ、宣教師役にペネロペ・クルスが配されている。

(映画・comより)

アガサ・クリスティーの古典サスペンスとしてあまりにも有名な原作ですが、豪華俳優陣を配してさながら舞台演劇を見るかの様な作りとなっております。
探偵・ポアロを演じたケネス・ブラナーも天才的名探偵でありながらかなりの変わり者というキャラクターが愛らしくもあり。
そんなポアロのキャラクターを端的に表すものとして冒頭の玉子を朝食にするシーン、そして食しようとしたまさにその時に発生した事件の推理から解決に至るまでにおこした一連のアクション。
本作のプロローグは実に明解かつスピーディーに展開され見る者を一気に作品世界へ引き込んでくれます。
実に見事な掴みです。

そしてポアロは休暇を利用してオリエント急行で旅へ出掛けるのですが、そのシーンがまた印象深いです。
列車に乗る乗客達、つまりは本作の主要な登場人物たち。
彼らが旅への高揚感を高めながら列車に乗り込んで荷物を置く。
バーカウンターのある食堂車にはジャズを鳴らす蓄音機があり、それが何ともお洒落です。
乗り物と旅、そして乗客の高揚感なんて言ったらかの大ヒット映画『タイタニック』を思い出しましたよ。後に待ち受ける悲劇というテーマにも共通しますな。

そしてオリエント急行は発車するのですが、その後もこの急行と周囲の風景というコントラストは実に見ごたえあります。
特に大雪原を走るオリエント急行はまるで絵画を見る様な素晴らしさ。
広大なロマンを感じさせ、思わず大瀧詠一の名曲が頭に流れました…ってアレはシベリア鉄道か(笑)
また食堂車での料理も実に美味しそう!
こんな列車で旅をしたいな~!

とここまでは「豪華寝台列車オリエント急行」という題名でもつきそうな情報番組の一コーナーでやりそうな内容です(笑)

しかし、本作はあくまでもサスペンス映画です。
誰かが殺されるという事は予めわかってるわけです。

オリエント急行の優雅な旅から劇的変化を余儀なくされるのが雪原を走る中、発生する列車の事故、そして遂に本作の核となる殺人事件が発生します。
その事件を映すシーンが印象深いものでして、天井から事件現場前の廊下を写し、ポアロらが事件について語り出します。
つまり事件現場の生々しさの描写ではなく現場を目撃した関係者の心理的動揺や機微をリアルに伝える情景を優先したカメラワークとなっています。
それによって見る人に一定のリアリズムとインパクトを与えます。
そんな秀逸なカメラワークは好印象です。

しかし、そんな視覚的訴求が素晴らしいものだけに聴覚的あるいは心理的訴求が少々残念なものになってしまったので個人的には惜しいという感がどうしてもあります。
それは事件発生後の展開があまりにも早すぎてついていけなかったという点でしてこういう作品に求めるものとして登場人物の内面から吐露される証言などから見ている側も一緒に推理する楽しみも必要かなと思うのですが如何でしょう?

それが探偵・ポアロの名推理劇場を押し出すあまり他の登場人物の内面的描写が弱かったのが残念でした。
その結果、ポアロの独壇場と化した後半は眠くてたまらなかった、二回鑑賞していずれも同じ箇所でその心境に至ったのはよほど僕にとって後半が合わなかったかわかって頂けますでしょうか。

次回作を匂わせるナイル川の事件。
今作の反省から次作の構成を期待したいところです。